特記すべき点はなかった展開だったと思う:
90分間の中から、何点か思い当たった事柄を取り上げてみよう。念のために申し上げておくと、アメリカの元の上司や同僚や知人たちに加えて、長年アメリカの有名私立大学のビジネススクールの教員を務めた友人のYM氏も、トランプ氏を支持する者は皆無である。外国人である私は支持するもしないもないことだが、好ましい人物ではないと思っている。
*初対面だった:
冒頭、ハリス氏がトランプ氏に歩み寄って「カマラ・ハリスです」と名乗って握手を求めたのが非常に印象的だった。政敵というのかどうか知らないが、同じように政界にいながら、所属する党が違えば会っていないことがあるとは、矢張りアメリカは広いのかと妙なところで感心していた。
何とか聞こえた音声ではトランプ氏が“Nice to see you. Have fun.”と答えたのは「楽しみましょう」だったので、やや拍子抜けした感があった。アメリカには「面会するのはこれが最初で最後だろう」と予測した報道機関もあった。
*非難と批判:
こうなったのは想定内のこと。トランプ氏の大統領在任中からの乱暴な言葉遣いや、激しい口調などに慣れきっているし、彼が語りかけているのは彼自身が言ったworking classを主体にした支持層なのであるから、態度にも姿勢にも新機軸は現れないと十分予想が出来ていた。
ハリス氏は予測されていたように元検察官的な語法でトランプ氏に切り込んでいたので、彼はかなり苛立たされていた感が濃厚だった。この辺りも捉えて、コメンテーターたちはハリス氏が有制と判定したようだった。私はどちらが勝ったか負けたかよりも、どちらの支持をしていない中間層がどのように受け止めたかの方が、重要ではないかという気もする。
*トランプ氏は学習していない事が気になる:
トランプ氏が在任中に中国からの輸入に高率の関税をかける政策を実行したときのこと。日本国内に流れたニュースでも、トランプ氏は「毎日多額の資金が国庫に流れ込んできている」とご満悦だった。記憶ではその場で側近が止めなかったが、彼は「関税とは輸出者、即ち中国が負担するもの」と信じていたのだった。
トランプ氏の最初の報道官・スパイサー氏もメキシコからの輸入に高率の関税をかける法案が上程されたときに「これは彼等にとっては大きな負担になるから輸入が減るだろう」と語って、その場にいた官僚(?)等が慌てて発言を中止させたという事もあった。
何が言いたいのかと言えば、トランプ氏が不勉強なことである。この討論会でもトランプ氏は相変わらず「中国からの輸入に関税をかけて多額の資金を得ていた」と誇らしげに語っていたのだが、この件はどの報道機関も取り上げていなかった。この程度の常識を欠いても彼は既に一期務め、また出馬してきたのである。それで良いのだろうかと、私は疑問に思っている。
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