新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

だから無闇にカタカナ語を使うのを止めろと言うのだ

2021-02-18 09:22:37 | コラム
橋本聖子大臣は「プロセスに則って」と言った: 

だから「無闇にカタカナ語を使うのを止めろ」と言いたくもなるのだ。密室ではないかと非難されている次期組織委員会長を選出する理事会で一本化されたと報じられた橋本聖子大臣は、ぶら下がりで例によっておかしな日本語である政治家用語で「差し控えます」(何を差し控えるのか目的語がないのはおかしい。恐らく「コメント」というカタカナ語が出てくるのだろうが)と逃げておられた。

そこまでは良かったのだが、橋本聖子大臣はその前に「プロセスに則って審議されている云々」と言っておられたのは、カタカナ語排斥論者としては「やれやれ。大臣ともあろうお方が」と大いに残念だったのだ。 

ここから先は意図的に揚げ足を取る。プロセスは“process”であり、その意味するところはジーニアス英和には「(物を作り出すための過程、工程;処理、措置)とある。私の推定では橋本聖子大臣は「手順、順序;手術、処置、処分」を意味する“procedure”と言いたかったのだろうとなる。発音は「プロスイージャ」が近い。この二つの単語は「プロ」までは同じだし、意味も多少似ているので、つい誤用されたと揚げ足を取ろうと決めたのだった。その意図は「あの場で組織委員会で定められた手順に則って」とチャンとした日本語で言うべきだったと批判したい点にある。 

私は橋本聖子氏を責めるよりも、前後も何も考えずに無闇矢鱈に難しい文語的な英語の単語を、日常会話や公式(ぶら下がりは公式か?)の場で濫用する風習を戒めたいのだ。繰り返して指摘して来たことは「圧倒的多数のカタカナ語は英語本来の意味とは違うことを表現するのに使われている。特に、マスコミはその濫用と誤用の代表選手であるのが怪しからん」なのである。橋本聖子大臣はバッハ会長とも昵懇の間柄との報道があったが、まさか英語で交信しておられるのではあるまいな。 

ここまでで誤用を採り上げたので、先頃発見した珍しい正しい表記をしておられた方の例を挙げておこう。それは週刊文春に連載のコラムを持っておられる十文字大学教授の東畑開人氏だ。東畑氏は「クライアント」と語表記されている“client”を、そのコラムの中で正しく「クライエント」と表記されていたのだった。思わず「偉い!」と声を上げて読んだ。カタカナ語製造業者はあの綴りをどう読んで「クライアント」と表すと決めたのだろう。何処の何方が「嘘の表記をして良し」と決めたのだろう。また、その誤記を平気で使うマスコミの無神経さが恐ろしい。 


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