新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2月4日 その3 「何を話しに来るのか知らないが」

2025-02-04 13:25:46 | コラム
石破首相とトランプ大統領の会談:

先ほどのテレ朝のニュースでトランプ大統領が「何を話しにくるのか知らないが会いに来るそうだ。日本は尊敬しているし、楽しみにしている」と、この会談について語ったと報じたのを聞いた。正直に言って愕然とした。トランプ大統領が何を言いたかったのかは不明だが、この文脈からは「石破首相側からは会談のAgenda(協議事項、議事)が提示されていないと解釈できるのだから。あり得ないことだと思う。

凡そ、一国の総理大臣とアメリカの大統領の会談が、事前に討論/話し合いの項目が提示されておらず、ぶっつけ本番で語り合うことなどあり得ないと思う。国会では石破首相が討論したいか、提示したい内容を語っておられたが、それらを正式に提示せずに7日に向かい合うなどとはとても想像できない。だから、トランプ大統領の発言が「何を話しに来るのか知らないが」となったのだろうか。トランプ大統領の方でも当然Agendaは用意されていると想像できる。Agendaの事前の交換があって然るべきでは。

我々は副社長が公式に日本の全取引先を訪問する際には、予め当方が全社を回って担当部門の部長から常務さんに「如何なる目的で訪問するかを伝え、先方様がこの機会に副社長に言いたいことがあれば承って伝えておきます」というように準備しておくものだった。取引先の我が方も限られた時間内に十分に話し合いができるように整理したAgendaを当日に交換して、討論を開始していた。

ビジネスの場でもこれくらいの用意をするのだから、今回のように先月末だったかに予定が決まったのであれば、外務省や官邸は議事内容の準備に徹夜が続いてもおかしくないのではないか。通訳の重責を担う方が石破首相と十二分に発言の内容を打合せし、言葉遣いや重点項目を叩き合ってあると思う。

こんなことを縷々述べている私は、失礼な見当違いであり、杞憂であって欲しいのだ。

2月4日 その2 石破首相トランプ大統領の初めての会談に

2025-02-04 09:05:30 | コラム
「石破構文で語り掛けられない方が」と余計なお世話を:

20年以上もアメリカからの日本向け輸出を担当してきた経験から、石破首相に申し上げておきたい重要な事がある。既に、会談において主張したい重要な論点は整備されているようだ。因みに、ここに取り上げた「石破構文」とは、マスコミの皮肉な表現を借用したもの。

私が言いたい事はそのような英語でいうhome work(事前の準備)も重要だが、トランプ氏のような方には回りくどい説明を長々と展開するよりも、いきなり核心に触れた議論を展開されるほうが良いか、有効なのではと思う点なのだ。

それは、「言うべき事」、「主張したい事」、「質問に答える時」、「議論/討論する時」に、回りくどい表現を用いるのではなく、ズバリと要点を述べる事を言うほうが良いという点なのである。即ち、何を言いたいのか、何を指摘したいのかを明白にして語る方が、アメリカ人の思考体系にはまるのである。

何故、そう言うのかは、日本のビジネスマンの論法は往々にして「先様に遠慮するのか、直接的なむき出しの表現を使うのは神経に触ると気を使われるのか、直ぐに交渉事の核心に触れることを言い出さない傾向があるから」なのだ。アメリカのビジネスマンたちは「核心(sweet spot of the argumentなどと表現する)に触れず、その周囲をぐるぐる回っている時間が長いので苛立たされる」などと言って嫌う。

石破首相の国会における答弁などを聞いていると、質問に直接答えるのを避けて、長々と持論を展開するような「石破構文」で逃げて?聞く者を飽きさせる。また、立憲民主党の議員がしばしば使う質問に「イエスかノーでお答えを」に対しても、何を言っているのか分かり難い答え方をされる傾向がある。アメリカ人の思考体系は二進法でできているので、この方法は通用しないのだ。

繰り返して言うと、しばしばアメリカ人たちが「感情論であり、debateの形になっていない」と嘆く、従文に時間を費やすのではなく、主文から入っていくのは、アメリカのビジネスマンとの話し合いや折衝では非礼でも何でもなく、ごく普通の討論の進め方である。トランプ氏独自の交渉の仕方など知る由もないが、社交辞令や時候の挨拶などは無用に思えるのだが。

となると、通訳をされる方が(故安倍総理を担当された方か?)如何にトランプ氏という難しそうな人物の語法と顔色を読んで、石破首相の複雑な語法/構文を英訳して、トランプ大統領に石破茂を理解してもらえるかがカギとなる気がする。通訳とは間違わずに異なった言語に変えるのが仕事だ。だが、その人物に日頃から接していないと、何を言いたいのかを瞬時に正確に読み取りにくくなるのだ。

トランプ大統領のように強硬に持論を展開するだろう人に対しては、遠慮せずに臆することなく持論を展開して論破するなり、自己の主張を理解させる事が肝要であろう。そこには通訳者の技術が重要になってくる。私は「石破構文」式論法は通用しないので、どのように訳していくのかも肝心であると思う。

Reutersが報じたトランプ大統領の関税について

2025-02-04 06:43:47 | コラム
ロイターはトランプ大統領が「彼らが支払うと確信している」と報じた:

私はずーっとトランプ大統領が「関税(tariff)とは輸出者がアメリカ政府(IRS?)に納入すると信じておられるのではないか」と疑ってきた。そこに昨日取り上げたロイター電が出てきたのである。そこにはトランプ大統領が「カナダとメキシコが払うと確信している」とあった。

有難いことに、このロイター電の原文を畏メル友RS氏から知らせて貰えたので紹介しよう。

"I don't expect anything dramatic," Trump told reporters as he returned to Washington from his Mar-a-Lago estate in Florida. "They owe us a lot of money, and I'm sure they're going to pay."

となっていて、彼らはtheyとなっていた。即ち、トランプ大統領は25%の関税を課されるカナダとメキシコが支払うと確信しておられると解釈できる。実際には関税を負担するのはアメリカ側の輸入者であり、輸出国ではないのだ。まさか、トランプ大統領が自国民が払うと承知でアメリカ国民をtheyという代名詞を使って表現したわけではあるまい。

もしかすると、アメリカの報道機関はトランプ大統領が「関税を正しく理解しておられない」と報道しかねているのではないだろうか。

なお、先ほどメキシコに対する関税の賦課は延期となったと報じられていた。トランプ大統領のdealが功を奏して、シェインバウム大統領が不法移民と麻薬問題で譲歩したようだ。