新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2月3日 その2 トランプ大統領は誤解している嫌疑は濃厚

2025-02-03 16:47:39 | コラム
トランプ大統領は関税とは輸出国が負担すると信じているのでは:

本日のReutersが報じていたことを、そのまま引用すると、

>引用開始

[ワシントン 2日 ロイター] - トランプ大統領は2日、メキシコ、カナダ、中国に対する包括的な関税が米国民に痛みをもたらす可能性があると述べた。 カナダとメキシコの首脳と3日に話し合うと明らかにしつつ、「劇的なことは期待していない」と指摘。フロリダ州の私邸からワシントンに戻った際、記者団に「彼らはわれわれに多くの借りがある。彼らが支払うことを私は確信している」と語った。 また、欧州連合(EU)に対しても関税は「間違いなくかかる」と述べたが、時期については明言しなかった。

<引用終わる

「彼らが支払うことを私は確信している」とは、一体何だろうということ。元の英文は知らないが、ロイターともあろうものが、誤訳したわけではあるまい。

即ち、この報道からは、私がズッと指摘してきた「トランプ大統領は関税は輸出国がアメリカに納付するもの」と思い込んでいると思わせてくれる。

そうでなければ「External Revenue Serviceを設立する」などという発想が出てくることはないのだ。このこと以外にも、トランプ氏が「関税とはアメリカの輸入業者が払う」とはご存じではないと証明する言動は一期目に立候補した時から続いている。だから、私は疑わざるを得ないのだ。

トランプ大統領の政策を考えてみよう

2025-02-03 07:45:01 | コラム
論評は避けて感想だけ述べてみよう:

トランプ大統領の独自色:
予告された通りにカナダとメキシコには25%、中国には追加の10%の関税をかけるという大統領令(executive order)に署名したと報じられた。世界の常識の範囲から逸脱していると思うトランプ氏ならではの手法だ。その前にも無数のEOの署名を終えて、パリ協定からの再度の脱退やWHOからの撤退も決めていた。

トランプ大統領はバイデン前大統領が出してあったEO等々の政策をすべてひっくり返したと報じられているが、こういう手法は何もトランプ大統領だけに限られた行為ではなくて、オバマ元大統領もブッシュJr.大統領のころでもあったこと。但し、今回は以前よりも圧倒的に多かったのである。

私はそれらを取り上げて論評するよりも、「アメリカファースト」、「MAGA」及び、マスコミや有識者が指摘される「自分ファースト」がアメリカをどのように変え、世界にどのような影響を与えるかを、ジッと見守っていくしかないかなと思っている。そこで、私が見る「ドナルド・トランプ氏とはそもそも如何なる人か」を振り返ってみよう。

何もかも承知なのか、無知なのか:
私も22年間もアメリカの大手メーカーのビジネスマンを経験してきたが、トランプ氏はそこで見て経験したビジネスマンとは全く異なる存在であるとしか思えない。故に、何かというと「トランプ大統領はビジネスマンだから」と規定するような言い方には限りない違和感を覚える。彼と一緒にしないでくれと言いたくなる

彼が真のビジネスマンであるのかないのかという点が、前任期中に最も分かりにくかった点の一つだ。少なくとも「製造業界のお方ではないのは間違いない。私は前任期中に「森羅万象をご承知の上で言っているのか、無知だからこそ言えるのかと悩む」と指摘してあった。

“tariff man”という自称:
その代表的な疑問点が「関税の賦課政策」だった。即ち、トランプ氏は選挙キャンペーン中の言動でも「関税(実は22年間対日輸出を仕事としていても、tariffという言葉が使われた例の記憶がなかった。あれはimport dutyだ”とばかり思ってきた)とは輸出国が負担するもの」だと信じて疑っていなかった点だった。その誤解/誤認識はつい先ごろまで変わっていなかったと思う。

変わっているのかもしれないが、カナダやメキシコに対して「関税を払うのが嫌だったならば、アメリカに工場を作って現地生産したらどうか」と語りかけていたので、正しく認識できたのかと思う。External Revenue Serviceを設置すると言うようでは、甚だ疑問に思う。

論点は「国際貿易取引とはどういう仕事か」を正しく認識できていても関税をかけると言うのか、アメリカの輸入者が関税を支払っているとは知らずに主張しているのかは分からないのだ。

アメリカ国民の「民度」をどう評価/認識しているのか疑問では:
私は正確な統計があるかどうかは知らない。だが、トランプ氏を支持していないか、毛嫌いしている高学歴層(所謂知識階級)がアメリカの3.3奥の人口のどれほどを占めているのか分からないが、精々5%程度かと認識している。トランプ氏は前任期中から意図的か偶発的かは不明だが、明らかに圧倒的に数が多く、民度が低い層に向かって語り掛ける語法で演説をするようになっていた。

それがどういう事かといえば「大勢の人が集まる会場での演説では、swearwordという知的水準が低い階層でしか使われていない汚い言葉と表現を使って語り掛けるようになっていた」点なのである。トランプ氏は彼が語り掛ける人たちをworking classと呼んでいたが、単純に訳せば「労働者階級」である。この手法は少なくとも、先ごろの選挙の勝利にとっては賢明な策だったのである。

即ち、この層に属する人たちの支持を確保することが、自分の政治にとっては肝要であると見抜いたのであろう。アメリカでは多くの評論家や学者が「間もなく少数民族(minorities)が白人の人口を超える」と指摘している。故に、トランプ氏は的をこれらの階層に的を絞ったのであろう。だから、「アメリカに来て生産せよ」と、諸外国に告知するのだ。アメリカに工場が増えれば、彼らの働き口が増えるのだから。

移民の排斥:
二進法でしか物事を判断できない/しない文化と思考体系の国であるからこそ「違法に滞在する移民たちを、家庭の事情等々を一切考慮せずに強制送還する」というような決定ができたのだと見ている。知識階級の中には勝手にアメリカに入ってきて、下層の仕事を得て生計を立てているヒスパニック系やアジア系の人たちとイスラム教国の者たちを毛嫌いする人たちはいるが、圧倒的少数派だ。

トランプ大統領がどのような思想/信条に基づいて彼らを排除しようとするのかは、私は不勉強にして知らない。だが、彼ら不法に流入した者共がアメリカを食い物にしている(アメリカ人の税金を浪費している)とは言えるだろう、丁度ここ新宿区に巣食うモズレムやアジア系の者たちと同様に。トランプ氏はこれを嫌ったのではなかろうか。

ある大企業の副社長は「アメリカ建国の頃にモズレムがいたか!」と吐き出すように言った。リベラル派という札をつけられたバイデン前大統領は、トランプ氏の移民排斥の強硬策を緩和したので、トランプ氏は候補者のころから反対の方針を明らかにしていた。

この問題も、上記の点も、トランプ政権があと何か月かを経た時点で、その政策がどこまで浸透しているかなどは、予想や見通しを言えるような簡単な性質ではないと考えている。

結び:
事態は最早「トランプ氏がやることは予測不可能(unpredictable)」などと言っていられる時期を過ぎてしまったのではないか。現実に大統領に就任して、懸念されていた25%もの対カナダとメキシコからの輸入への賦課を決めたし、両国が報復を正式に表明したのだから。石破首相が来る7日の会談で、何処まで「日本ファースト」を主張する準備を整えておられるかに期待しよう。