新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

この際言っておこうと思うこと

2024-09-17 07:38:15 | コラム
腹が立つこと、情けないこと:

楽楽精算のCMは腹立たしい:
所謂「時計代わり」として早朝見ているチャンネルに5時半頃になると必ず出てくるのが、この滝藤と横沢を使った怪しからんCMである。何が怪しからんのかと言って、この株式会社ラクスが提供するCMではズーッと「紙は怪しからん」と言い続けていることなのだ。現在流しているのは「滝藤にプリントアウトされた書類を持たせて『紙の請求書は時代遅れ』であるかのように言わせ、その背景にコピー用紙を三つほど積み重ねて紙代も郵便代も上がる時期だからネットにしてコストを削減しましょう」のように言わせるのだ。

超後期高齢者である私ですら、事務の合理化と経費節約志向くらいは理解している。だが、如何にも紙が怪しからんとでも誤解させるかも知れない表現には、紙パルプ業界で長年過ごしてきた者としては本当に腹が立つし、許しがたいのだ。最悪でも「紙の請求書を辞めよう」ではなくて「プリントアウトするのを避けましょう」くらいにしろと言いたいのだ。

この会社のCMは「紙は自然環境破壊」と言いたい雰囲気で、紙パルプ産業界の在り方を誤解し、誤認識しているのには、怒る前に情けなかった。紙パルプ産業が国内の森林から野放図に樹木を切り出して、自然環境を破壊しているなどという妄想に近い誤解は、80年代の頃のことであり、時代遅れの感覚だ。製紙会社は自社の森林地に計画植林・伐採しているし、森林保護法があって無闇に伐採など出来ないのだ。第一、大手製紙会社は海外に森林地を持ち、そこから国内に原木とチップを輸送している時代だ。

認識不足は何もラクス社だけに限られていない。東電も小田急百貨店も請求書をオンライン化する際に「自然環境を保護する為に紙を使うのを辞めますが、従来通りにプリントアウトした形をお望みならばお知らせを」などと言う目を疑いたくなるような戯言の文書を送ってきていたのだから。

誠に腹立たしいし、情けない事はと言えば、そもそも製紙産業は自然環境の破壊などしていなかったのにも拘わらず、実態を知らない環境保護論者どもが紙パルプ産業を目の敵にして非難攻撃した為に生じた誤認識が、未だに消え去っていないのである。念のために楽楽精算に教えてあげるが、今やコピー用紙などは過半数が輸入紙なのである。原産地国にでも赴いて「森林を無駄にするな」とでも言ってくれば良い。

一寸情けないと感じること(自分の国に誇りを持とう):
昨日から真田広之の「SHOGUN」がエミー賞を独占したと、各テレビ局が我が事のように喜び続けている。「情けない」と言いたい私だって「立派なことだ」くらいは分かっている。では何が情けないのかと言えば「我が国のマスコミは戦後70年以上も過ぎて世界に冠たる国になっているのにも拘わらず、未だに海外に出て輝かしい成績を残すことが何物にもまして素晴らしい国威の発揚であるかの如くに欣喜雀躍すること」だ。

戦後間もなくの頃には、海外渡航も制限されていて企業であれ、スポーツであれ、芸能であれ、何であれ海外に出て行って認められさえすれば一大事業を成し遂げたかのように賞賛されていた。古橋広之進さんが続々と世界記録を出して敗戦に沈んでいた国民の士気を高めた。湯川秀樹博士のノーベル賞受賞も「日本国、ここにあり」と大いに国威の発揚となった。

他にも、野球では野茂英雄が大リーグに進出して三振を取りまくると我が事のように喜びに酔いしれた。音楽やballetのコンクールで3位以内に入れば褒め称えた。大谷翔平の大活躍にしたところで、あの連日のような過剰とでも言いたくなる報道振りだ。彼をあれほど賞賛するのならば、北口榛花さんのオリンピックの優勝とDLの連覇をもっと讃えても良くはないか。

何が情けないと言って、我が国が最早G7の一員である世界の一流の国になったと遍く認められている存在であるにも拘わらず、海外で何らかの賞を獲得したくらいで舞い上がる必要など無用なのではないのか。賞を取った人たちの弛まぬ研鑽と日頃の努力を褒め称えるのは当然だと思うが、喜びすぎに見えて仕方がない。世界第4位の経済大国らしく、その国のマスコミにも矜恃を持って欲しい気がしてならないのだ。

最後にカタカナ語排斥論者でローマ字批判派から一言。エミー賞の会場で女性が「将軍」=SHOGUNを「ショーガン」と読み上げたこと。アメリカ人ならば先ず「ショーグン」とは読まないのだ。


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