本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

中流へのはしご:松山情報発見庫#312

2005-10-23 00:00:00 | 松山情報発見庫(読書からタウン情報まで)
ハードワーク~低賃金で働くということ

東洋経済新報社

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少し前に取り上げたNHKの「日本の、これから」の若者についての特集を見たときも思ったが、市場原理主義というか現在の資本主義の世では、ただ中流階級として、普通の暮らしをするのはどうやら国民の3~5割ほどの人にとって、難しくなって来ている。
そんな事実をまざまざとルポルタージュしているのがこの本だ。
題のハードワークとは、「酷い仕事」「キツイ仕事」というくらいの意味だと思ってもらえればいい。

この本では、英国の一流新聞紙ガーディアン社の記者である著者が「40日間最低賃金」労働をして暮らすというルポだ。
日本のアルバイト、フリーターなどにしてもそうだが、「週40時間働いて生活賃金が稼げない状態というのは、正義にもとる。税控除が貧困と戦う武器のひとつであることは疑う余地がないが、働くからには、胸をはって家に持ち帰れるだけの賃金がもらえてしかるべきだ」(275ページ)という著者の主張が当てはまると思う。
「病院、学校、レストラン,厨房」などこの本で、著者が経験する最低賃金労働は日本でも同じことがいえると思うが、社会が回っていくには欠かせない仕事でありながら、報酬はごくわずかよいう実情がある。

フリーターであれ、何であれ、労働に貴賎はないという考えもあるように、同じ時間働くならば、十分生活できるだけの給料を払うべきではないか?
そういう至極当たり前だが、時代の流れの中で忘却を強いられている疑問を思い出させてくれる意義深い本だと思う。
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