本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

どろどろとした実存:松山情報発見庫#317

2005-10-28 00:00:00 | 松山情報発見庫(読書からタウン情報まで)
ホムンクルス 5 (5)

小学館

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めずらしく自分で買ってずっと読んでいるマンガだ。
ホムンクルスとは、脳科学の最新の世界ではどうやら否定されている概念ではあるが、脳の中にいるもう一人の自分の小人のような存在のことだ。
その小人が世界を世間を他者を感じている、その結果として自分もそれを感じているように感じる。
そんな位置関係だと思えばいいと思う。

このマンガ、今日たまたま立ち寄った古本屋で4,5巻を買って気づいたのだが、明らかにサルトルの『嘔吐』という小説を意識しているのではないかと感じた。
そもそも1巻の始まりが、主人公の嘔吐のシーンを含めて始まっている・・・

このマンガの中では、トレパネーションという頭蓋骨に小さな穴を開けるという手術を行った後に「ホムンクルス」による他者認識が始まるということになっている。
つまり、客観的に見える物質としての人ではなくて、その人の実存、「ただそこに存在するどろどろとした実態」としていわばあるがままの生々しいその人の現状の意識などを含むグロテスクないわば、本質的なものが現れるようになるということだ。
人間の醜い部分、世間体であったり、世間に期待される記号としてのあるべき姿としての実態。
そんなものばかりが見えてしまうという主人公のグロテスクなマンガだ。

ちなみに、著者の公式サイトはこちら(漫画化:山本英夫【公式】)
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