リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

流行性感冒

2017-04-30 06:55:00 | オヤジの日記

誰にだって、気づかないことはたくさんある。

それが、どれほど重要なことでも、その人が気づかないことには理由がある。

 

私の朝は早い。

ヨメが花屋のパートに行く月火木土は、4時40分頃起きて、家族全員の朝メシを作り、26歳になる息子の弁当を作るのが日課だ。

そして、ヨメは5時20分頃起きて、私が作った朝メシを食って、花屋のパートに行くために朝6時に家を出る(家に帰るのは午後1時過ぎ)。

息子は毎朝7時に起きて、8時10分前に家を出ていく。

就職活動中の大学4年の娘は、朝起きる時間は不定期だ。

ただ、朝メシは8時過ぎには必ず食う(私と一緒に食うことが多い)。

我が家の朝のサイクルは、だいたいそんな感じだ。

 

木曜日。

そんな私の平凡な一日は、ドタドタという足音で踏みにじられた。

気がついたら、制服を着た男たちに体中を触られた後で、ストレッチャーに乗せられたのだ。

 

誘拐か? と背筋にお母んが走った(いや、悪寒が走った)。

 

車の中に拉致された。

酸素吸入の装置を口にはめられた。

え? なに?

人体実験にでもかけられるのか、と思った。

珍しいガイコツを見つけた宇宙人が、生態を研究しようと思ったのか、と。

 

だが、後でヨメに話を聞くと、いつもなら早く起きて朝ご飯と弁当を作ったあとで、仕事をしているはずの夫が、まだ寝ていた。

それも青白い顔をして、苦しそうにもがきながら寝ていたというのだ。

そこで、すぐに救急車を呼んだ。

 

救急病院に着いてすぐ、ストレッチャーを転がされ、イチ、ニッ、サンでベッドに移された私は、問診を受け体温を測られた。

そして、レントゲンのあと医師による受診。

「体温39.1度。流行性感冒(なぜインフルエンザと言わん?)と軽い脱水症状です。点滴をしてから精密検査ですね。他にも怪しいところがあるので、入院してもらいましょうか」

 

アワアワワワワ。

 

いえ、私には、かかりつけの医師が武蔵野におりますので、検査はそちらの方でしてもらおうかと。

「どちらの病院ですか」

医院名を告げると、「わかりました。必ず受けてください」と強烈な目力で顔を覗き込まれた。

30代の若造のくせに、圧力が強い。

 

点滴をしてもらって、イナビルをいただき、無罪放免。

家に帰らせていただいた。

点滴と薬、睡眠のおかげで、夕方には37度前半まで下がった。

 

この日、私には驚いたことがあった。

普段は、私が家で休んでいると不機嫌になるヨメが、いままで一度も休んだことのないパートを休んで、私に付き添ってくれたのだ。

娘も会社説明会を休んで、病院に付き添ってくれた。

息子も病院に行きたがったが、入社して4年間一度も休んだことがないので、ヨメが説得して息子だけは会社に行かせた。

 

「大丈夫? ちゃんと休もうよ」とヨメに言葉をかけられて、居心地の悪さを感じたのはなぜだろう。寒気がしたのはなぜだろう。

 

私が立ち上がると、「やめなよ、休んでいなよ」と言われた。

だが、意地になって、私は晩メシを作った。

エプロンをかけ、マスクをし、手にはラテックスグローブをはめて、みんなに伝染らないようにした(まるで手術時の医者の格好)。

作ったのは、ツナとレタス、卵焼きの太巻き寿司だ。

他にアサリの酒蒸し、タケノコの木の芽和えと油揚げ、絹さやの煮浸し。シジミ汁。

美味しくいただきました。

 

翌日、パートが休みのヨメに、「病院に付いていくからね」と言われた。

いや、大袈裟なことにはしたくないから一人で行く、となるべく角が立たないように断った。

午後、医者に行ってくる、と言って家を出たが、駅前のサイゼリアでピザを食いながビールを飲み、適当に時間をつぶして帰ってきた。

(みなさまのご迷惑にならないように、マスクをし、手には小型のアルコール除菌スプレーを持って、自分が触ったところはシュッシュした。まわりから見ると、超潔癖なガイコツに見えたに違いない)

 

家に帰って、ヨメに「どうだった?」と聞かれたので、検査と点滴を受けてきた、と嘘をついた。

企業説明会から帰ってきた娘と会社から帰ってきた息子に、「検査してきた?」と聞かれたので、もちろん、と答えた。

(しかし、夜、娘に小声で『おまえ、医者に行ってないだろ』と鋭いことを言われた。さすがだ)

 

熱が下がったのだから、大袈裟にする必要はない、と思った。

 

真面目に働いておられる世の多くの方々には、私の行動は賛同していただけるものだと確信しております(この程度のことで、医療関係者の方々のお手を煩わしてはいけない)。

 

私は、自分に腹を立てていたのだ。

なぜ、流行性感冒ごときで、多額の治療費を支払わなければいけなかったのか、と。

もっと、きちんと自分の体と向き合っていれば、そんなことにはならなかったはずだ。

 

今週は、大急ぎの仕事が2つあって、自分の体のことを考える余裕がなかった。

仕事中にアドレナリンが大量に出て、熱があることに気づかなかった。

2つの仕事が終わって、やっと人間に戻った。

そして、高熱が出た。ぶっ倒れた。

 

もし、一人暮らしだったら、と考えたらゾッとする。

 

それにしても、多額の出費でした。

また真面目に働かなくては。

 

いや、それよりも、簡単に金を稼げる方法を私は思いついた。

我が家のブス猫の写真集を出して、その印税で元を取るというのは、どうだろうか。

 

その話を娘にしたら、我が娘は、こう言った。

「バカだな、おまえ。こんなブス猫の写真集なんか出したら、世の中を不穏にする意志があるって思われて、『共謀罪』で捕まるぞ」

 

おお、何というタイムリーな、時事ネタ的なツッコミ!

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もっちゃん)
2017-05-04 12:19:33
たいへんでしたね…
どうぞお大事に。
娘さん、さすがです!
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Unknown (蓮の花)
2017-05-05 08:09:32
大きな病気でなくてよかったです。
読んでスクロールしている間、一体何が?何の病気?
とかハラハラしましたが、仕事過労が原因でしたね?
十分な休養をなさってください。
記事を読むのが楽しみです。
もしかしたら、今回が最後の記事か?と心配しましたが、よかったです。

因みにコネチカット州に引っ越しました。
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