「国家と国家の約束だから北朝鮮に返すべきだった」
「あんな北朝鮮みたいな国に、日本は政府と政府の約束さえ守らない国だと言われるのは、片腹痛い」
報道によると、7月7日に自民党の加藤紘一議員が出演したテレビ番組で、日本に帰国した北朝鮮拉致被害者が北朝鮮へと戻るはずだった当初予定を変更し、日本に留まったことを質問されて返した言葉だという。
この発言に対して拉致被害者家族会と救う会は激しい反発を示し、加藤氏に対して抗議声明を発表している。
当然だ、被害者やその関係者でなくても日本国民であればその多くはこの発言を容認できないだろう。拉致被害者の生命・人権よりも国のメンツが大切だというのか。
彼らは帰ってきたのだ。日本以外のどこに戻る国があるというのか。何故、今頃になってこんなことを言う気になったのか理解に苦しむ。
仮にこの時、拉致被害者が再び北朝鮮に戻ったとして、現状に大差は無かっただろう。下手をすれば帰ってきた5人の拉致被害者が再び祖国の土を踏めなくなっていた危惧すらある。
この発言、間違いなく本心だろうな。
自分の意思を明確に他者に伝えることは、政治家にとって必要な能力だろう。実はこれが(したくても)出来ない政治家は案外多いのではないかと思う。ただ、それに対してどのような反応が起こるのか、どんな影響があるのかを予測するというのも政治家にとっての必須能力だと思うが、彼にはそれが抜け落ちていたのか。
かつての大物政治家もその求心力は失われて久しい。それにしても数年ぶりに浴びた脚光の内容がこれでは、あまりにも寂しすぎるのではないか。政治家は常に現状を鑑みて仕事をするべきだ。過去のことを言っている暇があったら、今何ができるかを考えるべきだろう。
もはや政治家としての本分を忘れ、国民の意識と大きく乖離した加藤氏の議員辞職を望みます。