私が時々広報のお手伝いをしているNPO法人活き生きネットワークで、長いこと緊急サポート事業(急病児の一時預かり事業)のコーディネーターとして活躍していた吉見佳奈子さんが、今月、退職され、実家である吉見書店に入社しました。
吉見書店といえば、静岡市民にとっては“参考書の聖地”としてお馴染みの老舗書店。唐瀬街道沿いの竜南店と県立総合病院店は、私の家の近所でもあり、行きつけの本屋さんの一つです。
7月23日(土)、安倍川西沿いの川原通りに吉見書店長田店がオープンしました(場所はこちら)。昨日(27日)、新店でカウンター業務に就いている吉見さんを陣中見舞いに行ってきました。
活き生きネットワークではずっと“裏方のコーディネーター役”に徹していた吉見さんは、「接客やお金の扱いに慣れるまで大変で・・・」と苦笑い。どんな仕事でも一から始めるのはタイヘンだろうし、家業である以上、途中で抜け出すこともできないでしょうし、彼女のプレッシャーは相当なものだと思いますが、静岡を代表する老舗書店の看板を、いずれは彼女が背負ってくれるのかと思うと嬉しい限りです!
ご承知の通り、今、街の本屋さんってどこも厳しいんですよね。私は職業柄、ヒマさえあれば本屋さんで時間つぶしをするのが習慣になっていますが、よく考えると、雑誌や週刊誌はコンビニで買うことが増え、必要な専門書はアマゾンで取り寄せることが多い。街の本屋さんは、ホントにただの時間つぶしの存在になっちゃってる・・・と、反省させられます。
吉見さんから、吉見書店が東新田団地の近くに新店を出店すると聞いた時、あらためて、街の本屋さんのポジションというか、これからの可能性について考えてみました。
これは街の酒屋さんにも通じることですが、個人専門店である以上、商品に対するプロ意識を持った店員さんに期待したい。コンビニやネットにはない、対面販売の良さとコーディネート能力。最近、店員さんおススメ本とか、自分はここに感動したというひとことメッセージ付きのPOPを見かけることが増えましたが、個人専門店ならば、もっともっと店員さんは遠慮せず、“ゴリおし”していいと思う。本はどこで買っても同じかもしれないけど、商品に対する愛情や思い入れのある店員さんから買いたいし、(ライターとしては)売ってもらいたい。
また、街の本屋さんって敷居が低いから、私みたいに“時間つぶし”に来る客も少なくない。だったら有意義な時間つぶしになるよう、お店の一角に本を売る以外のスペースがあってもいいと思います。
吉見書店はサーティーワンアイスクリームのショップを併設しています。カフェでもギャラリーでもいいし、雑貨販売や子どもを遊ばせるスペースでもいいんだけど、ワタシ的には「今週のおススメ本朗読会」みたいな講座を定期開催してくれると、その店の“行きつけ度”がグーンとUPするんじゃないかと思います。・・・やっぱり本屋は、活字を愛する人が憩える場所であってほしいですからね。
たとえば、昼間は(親子向けに)絵本、夕方は(中高生向きに)青春ノベル本、夜は(大人向けに)ビジネス本やエッセイ本等など。作家別の解説講座でもいいし、その時々のニュースに応じた話題本の紹介でもいいし、新聞社とコラボして、新聞の文芸欄や書籍紹介コーナーに出ていた本の紹介でもいい。スーパーマーケットの試食コーナーみたいに、本屋さんならちょこっと解読体験できる場所があってもいいんじゃないでしょうか?
先日、静岡新聞で「静岡酵母25年」の特集記事を書いた社会部の小林稔和記者に久しぶりに会い、社会部スタッフが手掛けたシリーズ記事「安倍・藁科川ものがたり」が本になったので、自ら本屋回りをして手売りしていると聞きました。
書き手が地元にいるのが地域出版物の価値でもあります。こういう本を解説・紹介する機会を、地元の本屋さんがぜひ作ってほしいですね。
吉見書店長田店、30日(土)にはサーティーワンアイスクリームショップも開店、完全オープンと相なります。この地区には大型書店がなく、近隣住民のみなさんが大いに期待されていると聞きます。ご近所のみなさん、お店を育てるのはスタッフばかりではなく、お客さんの力も必要です。ぜひ一緒にいい店に育ててあげてくださいね。