3月26日(月)に静岡県清酒鑑評会の一般公開と表彰式がJR静岡駅前のグランディエールブケトーカイで開かれました。月曜のお昼にもかかわらず、多くの来場者でにぎわっていました。ここ2年ほど参加していなかったのですが、久しぶりに受付でもらった入賞者名簿の杜氏氏名の欄を見て、どことなく隔世の感を覚えました。
こちらが今年の吟醸の部の入賞者です。◎が首位賞(県知事賞)、順位ははっきり書いてありませんが、右から順の成績で、*は同点です。
そしてこちらがちょうど20年前、平成4年の静岡県清酒鑑評会の入賞者名簿。ちょっと汚れてしまって見難い部分がありますが、ご容赦ください。
当時は吟醸酒の部の入賞蔵が28もあって、純米酒の部、本醸造酒の部、普通酒の部もあったんですね。ちなみに、純米酒の部県知事賞は「開運」、本醸造酒の部は「喜久醉」、普通酒の部は「静ごころ」という結果でした。
杜氏氏名の欄をながめていたら、目頭が熱くなってきました。・・・この頃の杜氏さんの顔と名前、ほとんど覚えているんです。瀧上秀三さん、富山初雄さん、吹上弘芳さん、波瀬正吉さん、板垣馬太郎さん、大塚正市さん、高綱孝さん、佐々木清さん、阿部勲さん、鎌田正美さん・・・吟醸王国しずおかの黎明期を支えた、いぶし銀の職人さんたちでした。
南部流、能登流、越後流とそれぞれ保持する伝統の流儀を、新しい静岡酵母や静岡流の吟醸酒造りと、どう折り合いを付けて行くのか、ましてや雇われ職人の身としては、“結果”の重みは想像以上だったと思います。現場では多くの葛藤があったことでしょう。
私が今の年齢で、この頃の杜氏さんと現場でお会いできていたら、もう少し気の利いた取材ができたかもしれないな、と思いました。なにせ当時は私も尖がっていて、リクツばかり追いかけていたような気がする(苦笑)。そんな頭でっかちな小娘に、杜氏さんたちは辛抱強くお付き合いしてくれましたっけ。
20年前と今年の入賞者名簿、両方に名を連ねているのが、今年、県知事賞を2年連続で獲得した『正雪』の山影純悦さんです。会場ではお顔をちらっと見かけて「おめでとうございます」と一声かけただけだったんですが、帰宅して20年前の名簿を紐解いてみて、いやあ、すごいことだなあと改めてジワジワ迫ってくるものがありました。
この先、20年後、今年の入賞者の中で誰が現役で残っているのかしら・・・。とにかく、そういうことが確認できるまで、酒が美味しく飲める健康だけは保持しておこうと肝に銘じた今年の鑑評会でした。