少しヘビーな記事が続いたので、今日は好き勝手に映画の話をします。先取りネタもあるので、ネタバレ注意で読んでください。
アメリカ旅行中、サンタフェのシネコンで公開されたばかりの『ボーン・レガシー』を観ました。
ボーンシリーズ3作はお気に入りのシリーズで、とくに2作目・3作目のポール・グリーングラス監督作品は手持ちカメラのスピーディーかつリアル感たっぷりの映像が魅力。ヨーロッパや北アフリカが舞台なので、風景もお洒落で品がよかったですね。
4作目のボーン・レガシーは、前3作の脚本家だったトニー・ギルロイがメガホンを取って、主人公がマット・デイモンからジェレミー・レナーに替わりました。字幕ナシで観たのでちょっと判りにくいところもありましたが、字幕ナシでも大筋解るってことは、脚本家出身の監督でプロットを丁寧に組んで構成しているということでしょうね。でもその分、映像の迫力や面白みには欠け、舞台はアメリカだし、なんとなく、他のハリウッド産スパイアクション映画と似たかよったかになった感じ。ヒロイン役、せっかくレイチェル・ワイズが演じるならキャラ造形にもうひとひねりあればなあと思いました。
ちなみに今年、これまで観たスパイ映画の中では、『裏切りのサーカス』が秀逸でした(こちらで紹介)。字幕付きで観たけど、見逃したところがあったかも・・・と焦らせるほど複雑で奥深い作品(で、しっかりDVD予約しました)。これと『ボーンレガシー』を比べるのは無謀かもしれないけど、「わかりやすいけど忘れやすい映画」と「わかりにくけど心に残る映画」の違いを実感しました。
アメリカから帰る飛行機は、エコノミーのど真ん中の席で、両側を白人のごっつい男性にガードされてしまったので、13時間、ほとんど身動きできず。ボーイング777型でエコノミーでも個別スクリーンが使えたので、映画を6本も続けてみるハメに(苦笑)。
『アベンジャーズ』は現在日本でも公開中ですね。機内で観たのは字幕ナシだったけど、予定調和の内容なので、あらすじを気にせず、リラックスして観られました。ジェレミー・レナーがこっちではホークアイ役を演じていました。彼はせっかくアカデミー作品賞『ハート・ロッカー』で渋い演技を見せたのに、このままアクションスター街道を突き進むのでしょうか・・・?というか、ロバート・ダウニー・Jrも完全にアクションスター化しちゃったんですねえ・・・。
日本語吹き替え版で配信されていた『ミラー・ミラー』は、ジュリア・ロバーツが白雪姫のいじわる継母役で出演のコメディ。日本では『白雪姫と鏡の女王』という邦題みたいです。白雪姫と継母が王子をめぐって恋のバトルをし、王子が薬を飲まされておかしくなって、白雪姫がそれを助けるという、原作を逆転アレンジ?した内容。7人の小人を、村人から差別される障害者という設定にしたのは、なかなか深かったですね。
日本の作品もいくつかリストにあり、前の席の人は『テルマエ・ロマエ』を観てくすくす笑いしてました。私は見逃していた数年前のチャン・イーモウ監督・高倉健主演の『単騎、千里を走る』という中国映画をセレクト。チャン・イーモウが高倉健のために撮ったプロモーションビデオじゃないかと思うぐらい、健さんらしさ全開でした(苦笑)。
中国の地方の市井の人々の素朴でリアルな描き方(とくに子役の男の子は演技とは思えない!)は、さすがチャン・イーモウ。先日、NHKプロフェショナルの高倉健特集でこの映画のロケシーンが登場し、健さんが撮影終了時、中国スタッフと別れがたくて涙を見せていたのが印象的でした。
3本ぶっつづけに観終わって、さすがに疲労困憊。仮眠しようと思ったら、隣の白人のおじさんが画面をあれこれいじりながら、“最近の映画は面白くない、何も観るものがない”ってな感じだったところ、『ゴットファーザー3部作』を見つけて嬉しそうに観始めて、イヤホーンから音が漏れてくるのになんとなくつられてしまい、私は私で、字幕ナシでも十分観られる大好きな『ロード・オブ・ザ・リング3部作』を観ることに。自宅にDVDもあるけど、3本続けて観るってなかなかできないし、年末には待望の『ホビット』シリーズが公開されるし、復習のつもりで楽しみました。改めて、これぞ私的に「わかりやすく、心にも残る傑作だ~」です。
帰宅してから留守録してあった作品をチェックして、今、どっぷりハマっているのがNHKBSプレミアムで放送されたBBC制作のドラマ『シャーロック』。1話90分の3回シリーズで、1話1話が映画なみのスケールです。日本のテレビではヒットした刑事ものを、少しカネをかけて映画化したりしますが、まさにそれ以上のクオリティをテレビでちゃんと作ってる。さすがBBCが自国の伝説的ヒーローをドラマ化するとなれば、これだけのものを作ってくるんだなと思いました。
最初、ワトソン役のマーティン・フリーマンが、『ホビット』シリーズの主人公ビルボを演じるからという理由で昨年のシーズン1から観ていたのですが、録画したシーズン2をよくよく観ると、シャーロック役のベネディクト・カンバーバッチが、『裏切りのサーカス』で二重スパイを探るシャープな調査員役で出ていたのに気づき、あまりのキャラの違い&シャーロックのハマリ役っぷりにビックリ。「この人、『裏切りの~』ではたしか低音の渋~い美声だったよなあ」と思い出して原語モードで観たら、よけいに観入ってしまいました。・・・これで英語を勉強しようかなと一瞬思いましたが、シャーロックの台詞のほとんどが機関銃のように早口で、あっけなく挫折(苦笑)。
作品はコナン・ドイルが描いた世界をそのまんま現代に持ってきて、スマホやGPSなんかをうまく使いながらも、ホームズシリーズの細かな設定をきちんと踏襲しているそう。製作者コンビがシャーロックオタクで脚本も担当(うち1人はマイクロフト役で出演)しているからで、原作ファンもナットクだそうです。
有名な原作を大胆にアレンジしながら、原作ファンもナットクさせる脚本に仕上げるってやりがいがある仕事だろうなあと、半ば羨望の思いで観ているうちに、どうしても原作を確認したくなって、小学6年生ぐらいのとき読んだっきりで記憶の遥か彼方にあったホームズシリーズを、今、ちょこちょこ読み返しています。今の推理小説やサスペンスドラマの作者が、ほとんど“聖典”にしたんだろうなあと思えるほど色褪せない作品群・・・。19世紀末に書いていたなんて、ホントすごい。
今のところ、読み終わったのはドラマにもなった『緋色の研究』『バスカヴィル家の犬』『シャーロックホームズの思い出』。・・・詳しい方、他におススメがあったら教えてください。