5月末、広島に行ってきました。27日は東広島市の西条酒蔵通りを散策したあと、第50回(独)酒類総合研究所講演会。28日は第102回全国新酒鑑評会製造技術研究会に参加しました。酒の取材をライフワークにする者にとっては年に1度、初心に戻る大切な自主研修の場です。
いつも講演会と鑑評会だけのトンボ帰りでしたが、今回は朝、夜行バスで広島に着いて、いつもの【てらにし珈琲】でモーニングを食べた後、西条へ直行。午後いちの講演会まで、酒蔵通りを初めて散策しました。
ご承知の通り、広島西条は兵庫の灘、京都の伏見と並ぶ日本屈指の銘醸地。JR山陽本線西条駅の周辺に8蔵が点在し、酒蔵の白壁、赤レンガの煙突、江戸時代の宿場町の面影を残す御門や商家が立ち並ぶ趣きのある町です。毎年10月には『西条酒祭り』が開かれ、大いに賑わいますね。今年は10月11日(土)・12日(日)の予定。こちらをご参照ください。
白牡丹酒造では棟方志功が描いた額絵が、賀茂鶴酒造では昭和の大女優山田五十鈴と田中絹代をモデルにした看板絵や文化人の【酒】の墨字を見て、ここが単なる製造産地ではなく酒が町の歴史や 文化に昇華していた姿を実感しました。
賀茂鶴酒造の大吟醸特選ゴールド、4月に来日したオバマ大統領が銀座のすきやばし次郎で味わった日本酒だそうです。
磯自慢が洞爺湖サミットの乾杯酒に使われたときは、酒蔵や小売店がそのことをガンガン宣伝する・・・なんてことはありませんでしたが、賀茂鶴では蔵はもちろん、小売店・百貨店・土産物店の酒売り場でもオバマさんと安部さんのツーショット写真入りでガンガン宣伝していました。もちろん、使われた乾杯酒のスペックや生産量が違うし、蔵全体の生産規模や流通範囲もまったく違うので、同列に語れません。が、地酒がその土地の顔になり、文化や歴史として認知されるためには、こういう仕掛けも必要なんだろうな・・・と感じさせられます。
なんですきやばし次郎で賀茂鶴?とこちらが質問する前に、蔵のガイドさんが「うちは日本で初めて大吟醸を初めて商品化した、品質最高峰を究める蔵元。大吟醸の最初のお客様が東京の高級すし店」と自信たっぷりに説明してくれました。
「静岡から来たなら、こういうの、欲しいでしょう?」と見せてくれたのが、富士山模様の白磁徳利。昔、外国人向けのノベルティとして造ったそうです。すっきりしたデザインで品があってイイですよね。
お昼は賀茂鶴のガイドさんが薦めてくれた駅前の居酒屋で魚ランチを食べ、午後1時から東広島市市民文化センターでの酒類総研講演会に向かいました。
演題は以下の通り。
①少量飲酒の健康への影響(Jカーブ)
②お酒の中の微生物を改めて知る
③清酒の中鎖脂肪酸等分析法とその成分調査
④平成25酒造年度全国新酒鑑評会について
⑤特別講演「世界は日本酒を待っている!~南部美人の海外戦略と世界の日本酒を取り巻く現状」
詳細は後ほど。