杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

アメリカ西部モーターハウス旅行8~ホピ族の村

2012-09-03 19:37:30 | 旅行記

 8月14日(火)は、妹の家から西へ車で2時間ほど、ナバホ・ネイションの中にあるホピ族のリザベーション(居留地)を訪ねました。

 

 ホピ族、恥ずかしながら今回の旅で初めて知ったインディアン部族ですが、調べれば調べるほど興味深い民族です。ウィキペディアの解説をまとめてみると、

  • 主にアリゾナ州北部の6,000km?の居留地(Reservation)に住み、ナバホ族の居留地に周囲を囲まれている。
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    ●男子の正装は、鉢巻に白服。女子はベルベットのロングドレスで、20世紀初頭までは蝶々型の独特の髪型を結い上げていた。

     

  • 母に髪を結ってもらう少女(1900年)

     

    ●トウモロコシの作付け・収穫が全ての儀式の中心である。主食はトウモロコシのパンで、村のあちこちに円いパン焼き窯を持つ。

     

    ●西方のサンフランシスコピークの近くの聖なる山に住んでいる「カチーナ」という数百に上る精霊群を守護とする。儀式の際には、このカチナ群に扮したダンサーが踊りを捧げる。儀式の際のトリックスターは「コシャレ」という。

    ●子供たちへの教育用に作られるカラフルな木彫りの「カチナ人形」は、民芸品・芸術品としても人気が高く、日本にも輸入されている。

     

    ●夏至の頃、「ニーマンの儀式」という非公開の仮面行事を行う。水木しげるはこっそりこれを写生して、画に残している。

     

    ●フォーコーナーズというホピの住む土地にはウラン採掘所があり、広島市・長崎市に投下された原子爆弾の原料となったウランは、ここから採掘されたものである

     

    ●彼らの居留地(Reservation)には、ウランのほかにも石炭や地下資源が豊富で、20世紀初頭からたびたびアメリカ政府によって埋蔵資源が狙われている。

     

    ●マヤ文明の末裔とされ、神に導かれ現在の地にやってきたのが1000年前のこととされる。「ホピの予言」として、神からの様々な預言を伝承している。

     

    ●現在から未来にかけての予言「世界は今物質への強欲のためにバランスを失っており、このままでは世界は終わる。」という警告であった。正しい道を選べば発展の道が残されているという。2012年に人類の滅亡がうたわれたきっかけはこの予言なのだがこの部分をホピ族は全く発言していない。

     

     

    原子爆弾についても予言がされており、「灰のつまったひょうたん」と表現されていた。また、「東に黒い太陽の昇るとき、ホピは雲母の家に向かい、世界は滅びに向かう」とあった。

     

     

    ●第二次大戦の後に、トマス・ベンヤクヤたちホピの長老は環境破壊と地球の危機を訴えるため、ニューヨークの国際連合に向かった。このとき、インディアナ州の工業都市ゲーリーの、スモッグと煤煙に煙る空に、黒い太陽が昇るのを見た。そして、ニューヨークに着き、国連ビルを見た彼らは、それが「雲母の家」だと悟り、有名なホピによる全世界への呼びかけを行った。

     

     

     

     当日は、何の予備知識も持たず、「昔ながらのインディアンの暮らしをしている村」とだけ教えられて向かいました。居留地は、ファーストメサ(第一丘陵)、セカンドメサ(第二丘陵)、サードメサ(第三丘陵)と3つの小高い丘陵ごとにエリアが分かれ、小さな村がいくつか点在しています。

     

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     家は伝統的な土レンガの伝統的な家屋。私たちが訪ねたセカンドメサのKykotsmoviという村は、一部、太陽光パネルを屋根に乗せた家はありましたが、ほとんどの家は電線を引いておらず、電気なしの暮らしのようです。残念ながら、人物はおろか風景も含めて写真撮影は一切NGといわれ、ビジターセンターの看板と中庭だけしか撮れませんでした。

     

     ビジターセンター内でホピ族の歴史文化を紹介した写真パネルには、ウィキ写真の蝶々結びの髪の女の子が大勢紹介されていて、「おお、スターウォーズのお姫様はこれがモデルか~!」とビックリ。ホピの女性は、明治大正時代の日本人モデルにも似ていて、親近感を覚えます。

     

     

     

     Kykotumovi村では、「SANDRA HAMANA」というアート&ジュエリー店を訪ねました。ホピ族のジュエリーは、2枚のシルバーの板を張り合わせる『オーバーレイ』という手法で、一枚目(上側)のシルバーの板は様々な模様を描いて切り抜き、もう一枚(下側)のシルバーの板に上から被せます。模様を切り抜く精密な作業には定評があります。模様の一つひとつに意味があって、雨、雲、太陽、熊、鳥、スパイダー、トウモロコシ、豆・・・というように、自然信仰をモチーフにしています(こちらを参照)。

     

     

     

     インディアンジュエリーにハマッている妹夫婦と、アクセサリー好きの平野さんは、オーナーのDennis Koeyahongyaさんとアート談議に夢中。Dennisさんが、精霊“カチーナ”になるための修行を経験し、村のアーティストたちから信頼され、ジュエリーショップを任され、村人たちの生活の糧を支えていることを聞き、日頃はほとんどアクセサリーのImgp0843
    類を身に着けない私も、カチーナを象ったネックレスを買いました。

     

     ホピ族のジュエリーは人気が高いそうで、ビジターセンターや大きな町の土産物店でも売っていますが、この店はホピ族直営店なので紛い物ナシ&お買い得とのこと。ただし、「カード払いだと手数料が引かれ、その分、アーティストたちの収入が削られるから、できたら現金で払ってあげて」と言われ、現金をあまり持ち合わせていなかった私は、結局、このネックレス1本しか買えませんでした・・・。

     

     写真は撮れなかったけど、Dennisさんは俳優のウィレム・デフォーに似た渋メンで、長いシルバーヘアを後ろで束ね、ホピの文化について饒舌に語ってくれました。

     私の英語力では理解しきれませんでしたが、カチーナにはレベルがあって、段階を追って厳しい修行をこなしていくのだとか。Dennisさんは、一度は村を出て都会暮らしを経験したそうですが、村に戻り、伝統的な修行を経験して、今は村の文化の伝道師としておだやかな暮らしをされているようでした。

     

     

     

     帰国してから、友人たちに「写真NG,電気なしの村があった」と話したところ、現代社会を否定する宗教家かエコ活動家の集団、みたいに受け取られてしまいましたが、私の首にネックレスをかけてくれたDennisさんの明るく人懐っこくて饒舌な応対を思い出すと、そんな雰囲気は微塵もありません。もちろん実情を知らない一見のツーリストの勝手な印象に過ぎませんが、なんていうのかな、本当にインディアンの伝統的な暮らしや価値観を、必死になって守っているという気負いなく、淡々と続けているような気がしました。

     

     ちなみに、写真NGの意味ですが、インディアンの教えというのは口伝えによるもので、彼らが1000年間、先祖からの教えや価値観を失わずにいるのは、直接ひとからひとへ情報伝達する口承文化の伝統を守り続けているから。写真や映像などでうかつな誤用を防ぐ目的があるからだそうです。

     

     

     帰国後に読んだ本の中から、ホピ族の言葉を紹介しておきます。

     

    「善人にも、悪人にも、雨は降り、陽は昇る」

     

    「慎ましく食べ、慎んでしゃべる。そして誰も傷つけない」

     

    「答えがないのも、答えのひとつ」

     

    「怒りは自分に盛る毒」 

     

    「泣くことを恐れるな。涙はこころの痛みを流し去ってくれるのだから」

     

    「物語りに長けたものが、世界を制する」

     

    「ひとりの敵は多すぎ、100人の友は少なすぎる」

     

     


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