杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

パーソナリティTJさん

2008-09-06 10:48:27 | 吟醸王国しずおか

 5日(金)はシティエフエム静岡(FM-Hi)の『ひるラジ!静岡情報館』で、『吟醸王国しずおか』のPRをさせていただきました。タカラ堂提供の『SPICE UP YOUR LIFE』という20分のコーナーで、パーソナリティTJさんとたっぷりかけあいトーク。ラジオ出演は過去2回ありますが、こんなに長くお話したのは初めてです。

 TJさんは、30日の静岡での試写会にわざわざ来てくださって、観客の感想コメントもしっかり収録。実際にオンエアされた3名のコメントのうち、2名がたまたま私も日頃お世話になっている県職員の方でした(声を聞いた限りの判断ですが)。お一人は「静岡を世界に発信する強みになる」、もうお一人は「農の価値を見直すきっかけになる」とのお言葉。静岡空港セクションと農業セクションの方らしいコメントですね。粗削りの未完成映像にそこまで期待を寄せてくださって、ありがたいやら恐れ多いやらでした。

 

 

 

 実は、TJさんは、私が地酒と出会った昭和63年当時を知る数少ない人です。

  ライターになるきっかけを作ってくれたSBS静岡放送の名物女性部長・篠ヶ谷都さん(故人)が、当時、キャスタードライバーをされていたTJさんと引き合わせてくれて、つま恋のイベントで司会をされるTJさんにくっついてお手伝いした、というのが、初めての仕事らしい仕事でした。余談ですが、そのイベントにはアントニオ猪木と、当時、新人だったウッチャンナンチャンが出ていて、見た目も地味だし、ウッチャンナンチャンなんて名前も売れそうにないなぁと思ったことを今でも覚えています(苦笑)。控室でアントニオ猪木のマネージャーが、主催者から出演料としてその場で現金の束をもらって一枚一枚数えていたのも、キョウレツな思い出でした。

  

 

 

 その後、私はTJさんに紹介された発刊間もない『静岡ぐるぐるマップ』というタウン誌の編集室でライター修業を始め、TJさんはフリーアナウンサーとして多方面に活躍の場を広げていかれました。気が付いてみると、ぐるぐるマップ発刊当時の関係者で、今も現役フリーランスで仕事を続けているのはTJさんと私だけ。

  

 

 

 お世話になっていながら、TJさんとはすっかりご無沙汰をしてしまって、今回、ホントに20年ぶりぐらいの再会になりました。30日にお会いした時のTJさんの第一声は「おぉ、いいオンナに成長したねぇ!」。

 

 

 

 昨日のオンエアトークの中でも、「最初に酒に出会ったのは?」と訊かれ、「昭和63年ころ」と答えると、「おぉ、四半世紀になるのかぁ」と返って来ます。「私も、その頃のアナタを知っているよ」と無言で語りかけるような、温かい眼をされていました。この人は、20年前と今の私を比較できる貴重な人なんだ…とTJさんがものすごーく愛おしくなりました。

 

 

 

 

 

 TJさんは放送の合間に貴重なアドバイスをたくさんくれました。「試写会のアンケートで“酒造りの工程を説明してほしい”という声が多かったんですが、人の営みを追いかけるドキュメンタリーの中に説明映像的なものを挟み込むのが難しくて・・・」と悩みを打ち明けると、「そんなものは本来、酒造組合とか酒屋が作るべき。この作品では人間をじっくり見せて観客が何を感じるかにゆだねたほうがいい。ナレーションや音楽も要らないと思うよ」と、クリエーターの気持ちを代弁するようなお答え。「山本起也監督に資金集めについて相談したとき“ホントに作りたいものがあるなら、自腹を切るしかない”とバッサリ言われた」と話すと、「ははは、彼もそうやって苦労して作ってきたからね、彼らしい答えじゃん」とポンと返してくれます。

 

 

 

 

 

 20年ぶりに会ったのに、こうもハートに響く言葉をくれるTJさん。おこがましい言い方ですが、私自身が理想としてきた地域の人・モノ・情報の伝え方・つなぎ方を、TJさんはこの20年、見事に実践されてこられたのでは、と思いました。それはTJさんの番組でのトークを通しでじっくり聴いてみると感じるんですね。取材対象に対する眼の深さというか、その人のイチバン輝く部分を限られた条件の中でも的確に引き出す手腕を。相手を、ハナから批判の目で見て欠点を探そうとする人との違いが、そこにあるような気がします。私はそれを、今回、自分で創ったものが取材や批評の対象になったことで、ものすごく実感できました。

 

 

 自分はフリーランスながら、ホントに、仕事の上で指針となる素晴らしい先輩女性に恵まれている、と再確認できたラジオ出演でした。


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