私は文章を書く仕事をしていますが、小さい頃は漫画家になるのが夢で、女子高時代は少女コミック誌の新人賞に応募しては佳作程度の賞をもらって小遣い稼ぎをしていました。
ライターになったばかりの頃は、多少の絵心があるということで、CMやプロモーションビデオの絵コンテを描くアルバイトもしていました。はじめはディレクターやプランナーの指示を絵に描き起こすだけでしたが、そのうちに筋書きや台詞やキャッチコピーまで考えるようになり、それが後々、コピーライターの仕事に役立つことにもなりました。
ライター専業になってからも、遠藤ケイさんのようなイラストルポに憧れ、雑誌や新聞で似たような雰囲気の記事を書かせてもらう機会がありましたが、これだけCGが発展した世の中では、趣味に毛が生えたレベルの手描きイラストが仕事になるとは思えず、自分の肩書きにイラストの項目を付けたことはありませんでした。
ライターになって20年目のこの冬、初めて、自分のイラストが「商品」になりました。チャンスを与えてくれたのは吉見佳奈子さん(写真左)。彼女が静岡新聞出版局で編集の仕事をしていた頃、知り合い、結婚退社後しばらくは音信不通でしたが、偶然、私が広報支援をしている『活き生きネットワーク』で再会。シングルマザーとなった彼女は、このNPOで同じように子育ての悩みを持つ女性たちをサポートする仕事をしています。
ひと回りもふた回りもたくましくなった彼女から「吉見書店の2008年ダイアリーの挿絵を描いてみませんか?」と声をかけられ、はじめは挿絵程度なら、と軽い気持ちで承諾しました。しかし、いざ描こうと思ったら、干支、季節の花、食べ物、動物、縁起物、風景・・・日本の伝統のことを知らないでは一筆も進みません。絵に描き起こすという作業は、対象物の構造をトコトン観察する作業でもあります。参考になるような本や写真集をピックアップし、挿絵に向くようにデフォルメする。ペンか毛筆か鉛筆か、画材の選択もします。
文字でフォローできる今までのイラストルポや、コンペやプレゼンの資料にすぎない絵コンテとは違い、今回は、絵描きとしての直球勝負の仕事です。想像以上の労力を費やし、完成したダイアリーは、イラストが足りない部分は、吉見さんが名言集や季節の句などをセレクトし、上手に編集してまとめ上げてくれました。
定価200円。12月末現在、吉見書店では105円で販売しています。20年越しでイラストレーターになれた初めての仕事です。吉見書店という、静岡人なら知らない人はいない老舗書店の看板商品に採用され、しかも、チャンスをくれたのが、私よりずっと若いのに苦労をし、他者を支える仕事に自分を生かす道を見つけた女性だったことが何より嬉しく、長々と書いてしまいました。
くださったこと、大変ありがたく、感謝でいっぱいです。
ブログに紹介してくださるとお聞きし、ダイアリーのことを
宣伝してくださると思っていましたら、吉見書店のこと、
そして私のことまで…。写真も載せていただいて、何だか
気恥ずかしいのですが、あたたかいお気持ちに、とても
感激しました。真弓さんと再会させてくれた、活き生き
ネットワークにも、感謝しなくてはと思います。
ルポの挿絵とは趣の違う真弓さんの季節の挿絵が入った
ダイアリー、ぜひ多くの方に手にとっていただきたいと思い
ます。文章や句は、現在使われている、中学の国語、高校
の現代文の教科書から引用させていただいています。
真弓さん、活き生きのお仕事でも、いつもありがとうござい
ます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
また、いろいろお話できると嬉しいです。