杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

大臣のおやつ

2007-12-30 11:42:22 | 国際・政治

 ゆうべは国務大臣(少子化対策・男女共同参画担当)上川陽子さんの静岡事務所で、今年最後の取材&打合せでした。年始早々、陽子さんの政策記録集の制作に入るため、正月中はガラに似合わず政治のお勉強です。他にも正月明け締め切りの仕事が2本。振り返れば一年前は映像作品『朝鮮通信使』脚本執筆に忙殺され、初詣にも行けず、正月気分を味わうのは、サッカーの天皇杯や箱根駅伝の中継を、“ながら見”する時ぐらいでした。SOHO事業者の宿命なのかもしれませんが、まったく気分の晴れない大晦日イブです…。

Photo  陽子さんは2000年Photo_3に初当選する前、地元静岡市で数年間、政策コンサルタントとして活動していました。政治家になるため、それまで勤めていた東京のシンクタンクを退社し、東京に夫と娘も残しての決意の帰郷でした。

 その頃、私は、いきつけのおでん屋さんで偶然陽子さんとお会いし、 生家が隣近所で横内小学校の先輩と知って意気投合。その後、陽子さんが企画・出版した静岡のタウン情報誌『SHAKE』の編集に加わることになり、以降、折に触れて広報物のお手伝いをするようになりました。

 政治の世界とアクセスする機会など皆無だった私ですが、二世議員やマドンナ議員などとチヤホヤされる新人とは一線を画し、まっとうに政策を勉強し、プロとして実績を重ねた上で、政治家になるという確かな信念を持って地道に活動する陽子さんを通し、政治のひとつの理想を見たような気がしました。

 今でもありがたいと思うのは、陽子さんが事務局長を務める『おいしい水推進議員連盟』のお手伝いができたこと。

 水の問題は環境問題であり、国際紛争の火種にもなっていますが、その理由の原点は、河川が複数の地域にまたがっていること。私が、酒の取材をしていることを知って、「静岡市は、ひとつの市の中で一級河川が、源流部から河口まで貫く貴重な町。静岡市だから出来ることがあるはず」と示唆を与えてくれたのです。2003年には京都で開催された第3回世界水フォーラムにも同行させてもらい、おいしい水を当たり前のように享受できる日本や静岡という地域の価値を改めて実感しました。当日はイラク戦争開戦日で、議員の皆さんは徹夜国会明けで駆けつけるという緊迫状態だったことも忘れられません。

 私の場合、酒というカテゴリから水→地域の川→環境資源→地球の水資源、というように視野を広げて考察することができました。農業、子育て、医療、地場産業等々、それぞれの身近なテーマを切り口に、生活者レベル、地域レベル、国レベル、地球レベルで視野を発展させる・・・それが、政治を考えるということなのでしょう。陽子さんはさまざまな切り口を、絞りから広角までいろいろなサイズで提示し、ともに考える機会を与えてくれる導き手です。そして、有権者から、ここはこう変えてほしい、という声を聞けば国政に届ける。<代議士>という名の職業の所以でもあるわけです。

Photo_4  過去にお手伝いした政策集やインタビュー記事を見直しながら、水や農業や子育てという、きめ細かな生活者目線を持ちつつ、当選3期目で大臣に抜擢された女性代議士の存在を、同性として改めて頼もしく感じた仕事納めでした。

 ちなみに会議のおやつは、JA静岡市女性部でも活躍中のアグリロード美和代表・海野フミ子さんお手製のスイートポテト&芋まんじゅう。農家のお母さんが採れたてイモの自然の甘みをたっぷり生かして作るおやつは、おせちに負けないおごちそうでした。私が遠慮なくイモ菓子をぱくついていると、隣りの陽子さんは、完成したばかりの干支の土鈴にご満悦の様子でした。


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