杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

6月12日藤枝試写会で試飲できます

2010-06-10 08:42:00 | 吟醸王国しずおか

 先日お知らせした、6月12日(土)開催の『吟醸王国しずおか』パイロット版の藤枝試写会ですが、準備期間が短く、間際になってバタバタと決まりました。

 会場の藤枝市生涯学習センターは、JR藤枝駅からバスで10分、歩くと30分以上かかるので、車でお越しになる方もいらっしゃるかと思いますが、共催の藤枝市と、吟醸王国しずおか映像製作委員会の会員酒造会社のご厚意で、お酒の試飲が出来ることになりました。

 

 映像を見て、蔵元の話を聞いたら、絶対に「呑みたくなる」のは間違いない…!と、制作当事者としても確信をしております。藤枝試写会に参加を予定されている方は、ぜひお車を置いてお越しくださいますよう、お願いいたします!

 

 

急遽決定!「吟醸王国しずおかパイロット版」試写&トーク 参加者募集

◆藤枝会場

◇日時 6月12日(土) ①15時~ ②17時~ ③19時~

 <各回およそ1時間・試写(20分)+蔵元&監督トーク>

◇会場 藤枝市生涯学習センター 第1会議室 

(藤枝市茶町1-5-5 TEL054-646-3211

*JR藤枝駅よりバス中部国道線10分、「上伝馬」もしくは「千才」下車、徒歩10分)

 

◇費用 無料

 

◇申込 直接会場へお越しください。

 

◇参加蔵元  杉井均乃介さん(「杉錦」蔵元・杉井酒造)、青島孝さん(「喜久醉」蔵元・青島酒造)

 

◇吟醸王国しずおか映像製作委員会加盟の蔵元より試飲酒を提供していただきました。試飲ご希望の方は、公共交通機関にてお越しくださいませ! お車でお越しの方には、杉錦、喜久醉のおいしい汲みたて仕込み水をご用意いたします。

 

 

 

 

◆掛川会場
◇日時 6月27日(日) 15時~ *随時上映

◇会場 <試写>掛川ターミナルホテル1階「駅前天国PACCHI」、<はしご酒交流会>「さんぱち屋」「蔵」 *いずれも掛川駅徒歩3分圏内

◇費用 1000円 試飲・おつまみ付き

◇申込 吟醸王国しずおかHP *当日参加もOK


お酒の神様はしご詣り

2010-06-08 21:47:04 | 吟醸王国しずおか

 6月4~5日と、京都・奈良へ行ってきました。『吟醸王国しずおか』の撮影はひと段落したのですが、パイロット版の“祈り”のパートの評判がよく、自分も気に入っていて、さらに深みのある構成にしようと思い立ち、酒造の神様・京都の松尾大社、酒林(杉玉)発祥の地でもあるモノ造りの神様・奈良の大神神社、そして日本清酒発祥の地である奈良・菩提山正暦寺の外観を撮りに行ったのです。

 

 

 3か所はかなり距離が離れているので、一日で回るのはちょっと難しいんですね。とりあえず4日昼前に京都に着いて、JRか近鉄に乗り換えて奈良へ向かおうと思ったら、運悪く両線とも事故で運転中断中。いつ復旧するかわからないと言うので、切符を払い戻し、バスで松尾大社へ向かいました。

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 いきなり真夏になったかのようなカンカン照り。平日昼間の境内はとても静かで、お参りをする人もまばらです。松尾大社には京都へ行くたびに、時間があれば足を伸ばし、お世話になっている蔵元さんや酒販店さんにお守りを買って帰ったものです。今回はとにもかくにも「映画が無事完成できますように」と、ただひたすら一心にお祈りしました。

 

 

 

 京都駅に戻り、JRが復旧したのを確認して奈良線・桜井線を乗り継いで大神神社へ。ここへ来るのは2度目で、1度目は10年ぐらい前、寒い冬だったと思います。三輪駅で降りると、昭和の時代のまま時間が止まったような素朴な門前商店街が続き、「三輪明神」の立派な鳥居が現れます。

 

 

201006041616071  『吟醸王国しずおかパイロット版』第1弾で、岡部町にある神(みわ)神社の夏期大祓いに参拝する初亀の蔵元橋本さんを紹介していますが、神神社は、この奈良・大神神社の分霊。大神神社は三輪山を神体山とし、国造りの神様である大物主神(おおものぬしのかみ)をお祀りしています。農業、工業、商業、方除、治病、造酒、製薬、交通、航海、縁結びetc・・・あらゆる暮らしに結び付く守護神なんですね。ご神体の三輪山は、杉、ヒノキ、松、榊など40種以上の樹木にも神が宿ると信じられ、中でも酒造家が清めの効果がある杉を蔵の軒先に吊るしたことが、酒林(杉玉)の伝統につながったようです。

 

 

 ちなみに岡部の神神社は高草山をご神体とし、高草山はその昔、三輪山と呼ばれていました。644年、皇極天皇の時代に東国の疫病を鎮めるために建立されたといわれますが、志太のこの地に大物主神がおでましになったことで、この地が酒どころになったに違いない、と橋本さんも私も確信しています。

 

 

 

 4日は京都の格安ビジネスホテルに泊まり、翌5日、ふたたび奈良へ向かい、正暦寺行きのバスを探したら、1日に2本しかなく、バス停から歩いて30分以上かかるとのこと。やはり10年ほど前、最初に行った時は友人の車でサーッと連れて行ってもらったので、そんなに遠いとは思わなかったのです・・・。やむをえず友人にSOSの電話を入れたら、昼前にならないと体が空かないとのImgp2529 こと。時間がもったいないので、“せんとくん”で盛り上がっている平城遷都1300年祭を観に行くことにしました。

 

 

 友人には「すごーい混んでるから覚悟しといたほうがええよ~」と忠告されたんですが、行ってみると、確かに人は多かったけど、順番待ちするほどでもなく、大極殿などもスイスイと見学できました。

 

 

 

 お昼に友人と合流し、奈良の市街地から車で20分ほどの菩提山正暦寺へ。この寺は正暦3年(992)に一条天皇の勅願で創建され、当時は大伽藍を誇っ201006051405321 たそうですが、平氏の南都焼き打ちで焼失し、現在は1681年建立の福寿院客殿(国重文)が残っています。寺のそばを流れる菩提仙川の清流を使って醸された僧坊酒は、日本の清酒技術の原型となり、今も日本の寺院では唯一酒造免許を持つ寺として、年明け1月に酒を仕込んでいます。正暦寺の僧坊酒についてはこちらをぜひご覧ください。

 

 

 福寿院客殿と、その奥にある本堂には合わせて3体の愛染明王像がお祀りしてありました。なぜ愛染明王ばかり残っているのか聞くと、昔は数え切れないほどの仏さまがあって、数々の戦火をくぐりぬけて残ったのが、たまたま愛染明王さまだったとのこと。御本尊は薬師如来さまなんですが、なんとなく愛染明王さまの生命力の勁さに惹かれ、明王さまのお守りを買いました。全身真っ赤で血潮が燃えたぎるお姿は、恐ろしさと同時に、情愛のみほとけらしい温もりを感じます。

 

 

 

 5日夜は、薬師寺で開催された朗読活劇『義経』を観賞しました。朗読は、3年前に脚本を書いた『朝鮮通信使』の林隆三さんの朗読に魅せられてImgp2545 以来、自分でも“音読する文章の書き方”を意識したり、実際に朗読講座に通ったりもしました。考えてみれば初めて書いた脚本を、林隆三さんに朗読してもらうって、ライターとしてこんな幸せないですよね…!

 

 

 朗読活劇『義経』は、大沢たかおさんの朗読です。ただ座って台本を読むのではなく、ところどころにパフォーマンスを取り入れて、視覚効果や音楽(吉田兄弟の津軽三味線&井上鑑氏のキーボード演奏)や踊りも加えての総合舞台になっていました。演劇の世界はあまり詳しくなく、こういうスタイルの舞台は初めて観るので、とても興味深かった! 

 

 朗読劇って実力ある俳優さんなら一人で演じられるし、お寺みたいな場所を借りれば舞台美術にはそんなにお金をかけずとも済むし、静岡にもこういう演劇が増えるといいなぁ・・・。ライターの仕事の幅も増えるかも!?

 

 

 21時過ぎに薬師寺を出て、友人宅のある西大寺の駅の近くで一杯呑んで、京都を23時55分発の夜行バスで静岡へ帰りました。

 

 

 映像を撮り溜めるだけなら楽しい映画制作ですが、これから地獄の編集作業が待っています。合間には各地でパイロット版試写会をやって資金集めもしなければなりません。

 いつの日か、ふたたび朗読劇の脚本が書ける日が来るといいのですが、それまでライター稼業を続けていられるかどうか…。あちこちの神さま仏さまにあれこれお願いしすぎて、ひとつも実らなかったらどうしましょう(苦笑)。


志太平野美酒物語2010の奇跡

2010-06-06 23:54:38 | 吟醸王国しずおか

 3日(木)は恒例の志太平野美酒物語2010が焼津松風閣で開かれました。今年は美酒物語実行委員会(初亀、磯自慢、杉錦、志太泉、喜久醉、若竹の各蔵元)と松風閣のご厚意で、1~2階の階段の踊り場と、3階宴会場入り口Imgp2514 の2か所にテレビモニターを置いて、『吟醸王国しずおかパイロット版』を随時上映していただきました。

 

 これだけでも準備が面倒なのに、宴会場入り口に募金を呼び掛けるテーブルまで用意してくださったのです。もともとの上映のオファーも、「せっかくなら募金をしたら?」と言ってくださったのも、すべて実行委員会のみなさん。

 しかも、会場にいた人に後から聞いた話では、実行委員長の初亀・橋本社長と、招待者代表で挨拶に立った國本良博さんが、挨拶の中で映画制作のことや募金のお願いをしてくださったとのこと。・・・もうビImgp2516 ックリ&感激で、映像製作委員会ボランティアスタッフの斗瓶会員の面々は「便乗させてもらっている上に、こんな厚待遇、信じられない!」と面喰っていました。

 

 

 

 『吟醸王国しずおか』のプロジェクトは、2007年5月に『朝鮮通信使』の制作が終わった直後、志太平野美酒物語実行委員会で、「こんなことを企画しているんですが・・・」とおそるおそる提案してみたのが最初でした。

 なにも当初から志太の蔵元をターゲットにしていたわけではなく、私のような素人が考えた映画制作プロジェクトを蔵元サイドが本気で聞く耳を持ってくれるのかどうか、たまたま偶然、実行委員会におじゃまする予定があったので、ものの試しに話してみたのです。しかもプレゼンをする前の会議で、偶然にも蔵元の一人が「お客さんが開宴を待つ間、楽しめる映像みたいなものがあるといいよねぇ」とポツンと言ったそのひとことで、プレゼンが実にスムーズにできました!

 

 

 今となっては当然かもしれませんが、最初にこの話をキャッチしてくれた志太の蔵元衆が真っ先に支援の手を差し伸べてくれて、翌2008年の志太美酒物語では撮影をし、2008年夏に編集したパイロット版第1弾にその映像を入れ込みました。1~2階の踊り場で上映したのはこの映像です。

 

 

 2009年の志太美酒物語では、実行委員会が、宴会終了後にパイロット版の特別試写会をやろうと言ってくださって、宴会場で飲食しながら楽しめるよう、映像と音楽を中心にしたイメージ映像的なパイロット版第2弾を急きょ編集し、上映させていただきました。現在、各地で試写を行っているパイロット版は、この第2弾の映像です。

 

 

Imgp2520  そんなこんなで、志太美酒の常連客の方々には、『吟醸王国しずおか』のことが記憶にあったせいか、今回の募金活動も大変スムーズに行うことができました。

 集まった募金総額は97,503円。・・・この数字には、斗瓶会員が興奮し、志太美酒終了後ファミレスに場所を移して行った斗瓶会議も大いに熱が入りました。

 

 一晩で10万円近い寄付・・・斗瓶会員のみなさんは本当に手弁当で準備をしてくれて、当日も会場内へは一歩も入らず、外で懸命に募金を呼び掛けてくれました。その功績が大きかったのは当然ですが、ベースにあったのは志太平野美酒物語というイベントを長く続けてこられた蔵元衆と、全国から集まる志太酒ファンの方々の絆そのもの。限定された地域でありながら、これほどハイレベルの酒が何銘柄もそろい、同時に飲み比べできる価値をちゃんとわかる飲み手がいる・・・一朝一夕には築かれない絆でしょう。帰り際に「いいお酒を飲ませてもらったお礼に」と募金をしてくださった方が何人もいらしたのが、その証拠です。

 『吟醸王国しずおか』という映画も、そういう絆の延長線上に産み落とされた偶然の産物です。

 

 

Imgp2522  この、奇跡とも思える幸せな偶然を引き寄せるには、「こうありたい」「これを成し遂げたい」と強く念じることしかありませんが、これまで一人で念じていたことが、斗瓶仲間の念が何重にも加わって強烈なパワーになったんですね。

 当日の様子は斗瓶会員の神田えり子さんが吟醸王国しずおかHPで、私の思いを代弁するかたちで綴ってくれましたので、ぜひご覧ください。

 

 

 志太平野美酒物語実行委員会のみなさま、松風閣関係者のみなさま、当日ご参加のお客さま、募金にご協力くださったみなさま、そしてパワーの源となった斗瓶会員のみなさま、本当にありがとうございました。


吟醸王国しずおかパイロット版試写会(藤枝・掛川)のお知らせ

2010-06-01 10:02:35 | 吟醸王国しずおか

 『吟醸王国しずおか』の制作は今月からいよいよ編集作業に入りますが、資金面での苦戦が続き、完成日はまだ未定です。

・・・すべては映画作りに対する自分の浅学非才が原因ですが、とにもかくにも、カメラマン成岡正之さんのご協力で、3年間撮りだめた素晴らしい映像を、何としてでも世に出さねばなりません。制作者の自分にできる資金調達方法といったら、パイロット版の試写会を行って募金を募るという愚直な方法しか採れないのですが、思えば、ライターとカメラマンが何のしがらみもなく、クリエーターとして思う存分作った映像を、純粋に評価してもらって、資金を募る・・・いまどきこんなアナログな方法、ないですね(苦笑)。

 でもこの方法は、多くの静岡の蔵元が、売れるか売れないかわからないが、いいものを造らねば生き残れないと腹をくくり、リスク覚悟で初めて吟醸酒造りに挑み、取引先に胸を張って「味を見てくれ」とプレゼンした姿に倣ったもの。それが自分にとって何よりの励みになっています。愚直ではありますが、支援の手をさしのべてくれる人のお気持ちに、精いっぱい応えていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 さて、これまでの試写会は参加者限定の酒の会や講演会にお招きいただくという方法が多く、2008年夏に、静岡市クリエーター支援センターと東京有楽町外国特派員協会で行った初試写会以降、広く一般の人に観ていただく場がありませんでした。

 

 これではいつまでたっても新たな支援者を増やせないと焦っていたところ、斗瓶会員(映像製作委員会のボランティアスタッフ)で掛川在住の会社員Sさんが、自分の行きつけの店のオーナーが駅前徒歩3分圏内に3店舗持っていて、うち1店舗にはテレビモニターがあるので、試写とはしご酒を組み合わせたイベントをやってみませんか?と企画してくれました。

 

 さらに、5月28日、以前藤枝市長への表敬訪問をセッテImgp2502ィングしてくれた市の職員Tさん&Sさんが、藤枝市幹部職員(約110名)定例会議場での試写会を 実現してくれて(それだけでもスゴイことなのに)、ずうずうしく「できれば藤枝市民の方にも広く観ていただきたい」とおねだりしたら、藤枝市生涯学習センターの会議室を紹介してくれました。

 スクリーンのある会議室が使用できる日が今月12日(土)しか予約できなかったため、迷う暇なく決めてしまいました。

 

 そんなこんなで、急な話で告知期間が短くて恐縮ですが、以下の通り、藤枝・掛川で一般の方に気軽に観ていただく試写会を開催いたします。お時間のある方はぜひお越しくださいませ! 

 

 

急遽決定!「吟醸王国しずおかパイロット版」試写&トーク 参加者募集

◆藤枝会場
◇日時 6月12日(土) ①15時~ ②17時~ ③19時~

 <各回およそ1時間・試写(20分)+蔵元&監督トーク>

◇会場 藤枝市生涯学習センター 第1会議室 

(藤枝市茶町1-5-5 JR藤枝駅よりバス10分、駐車場完備)

◇費用 無料

◇申込 直接会場へお越しください。

 

 

◆掛川会場
◇日時 6月27日(日) 15時~ *随時上映

◇会場 <試写>掛川駅前ターミナルホテル1階「駅前天国PACCHI」、<はしご酒交流会>「さんぱち屋」「蔵」 *いずれも掛川駅徒歩3分圏内

◇費用 1000円 試飲・おつまみ付き

◇申込 吟醸王国しずおかHP *当日参加もOK