杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

和太鼓ライブとクラフトコラボ

2010-09-19 14:52:40 | しずおか地酒研究会

 やっと涼しくなったかな~と思ったら、また冷房&日焼け止め必須に逆戻り。汗をかきかき東奔西走しています。

 

 

 15日(水)~16日(木)は、しのだ日本酒の会の吟醸王国ノミの市ブースに出品協力をしていただいた正雪さん、初亀さん、喜久醉さんへ直接お礼にうかがい、私の素人写真を買ってくださった磯自慢さん、開運さんには写真を追加焼き増ししてお届けしました。本当にありがとうございました!

 

 17日(金)は、蒲原の『よし川』さんにお誘いいただき、和太鼓ユニット『ようそろ』の浮月楼ライブに行ってきました。ようそろさんのライブはここ4年ぐらい、毎年観ていますが、演奏の合間のMCトークなどもすっかり慣れて板に付いてきたようで、プロのライブパフォーマンスを満喫できました。浮月楼の葵六角弁当「観月の宴」も上品かつほどよいボリュームで、これで地酒が付けば申し分なかった・・・!Imgp2940

 

  よし川さんでは2階大広間で落語や三味線や和太鼓などの伝統芸能を楽しむ会を定期的に開催していて、ようそろのリーダー・はせみきたさんの独奏会を拝見したことがあります(記事はこちら)。

 よし川さんは、ようそろのことを、私のブログを見て知って招聘できたと、今でも恩義を感じて今回もご招待くださいました。本当にありがたいことです。

 

 

 来る10月22日(金)に清水テルサで開催される清水地区4醸の試飲イベント『駿河路地酒メッセ』で酒肴弁当を担当されるよし川さん。ようそろ浮月楼ライブ招待のお礼に、微力ながら私もメニューのアドバイスをさせていただきます。参加予定の方はお弁当もぜひご期待くださいまし!

 

 

 18日(土)Imgp2965は午前中、磐田市で取材があり、午後は島田の大村屋酒造場で開催中の『地酒×クラフトコラボ おいしい地酒のある風景』を見学。県中部地区のアートクリエーターたちが、家呑み派のためのテーブルウェアを展示即売するイベントで、以前、松坂屋で開催したLIVE LOVE LABO展と似た内容(記事はこちら)。

 でも酒蔵が会場だけに、雰囲気は格別で、大勢のお客さんで賑わっていました。

 大村屋酒造場副杜氏の日比野哲さん&出展者の一人・陶芸家日比野ノゾミさん夫妻のご厚意で、吟醸王国しずおかのパンフとポストカードも置かせていただきました。そうそうたるImgp2964 クリエーターのお仲間に混ぜていただいたよう で、とても嬉しかったです。ご配慮ありがとうございました!!

 

 

 今回のイベントは今日(19日)で終わってしまうようですが、こういう企画は今後、各地の地酒イベントと連動できると思いますので、蔵元さんや酒販店さんはぜひご一考を! 私もしずおか地酒研究会や吟醸王国しずおか映像製作委員会で何か仕掛けられないか考えてみます。

 

 

 

 17日のようそろ浮月楼ライブの後、一人、ふらりと寄った地酒推奨の某店で、「猛暑のせいか、この夏は人出がぱったり途絶え、いつもの常連さんも来ないし、たまに顔を出したと思ったら、“激安居酒屋で飲み会をやった”と得意げに話すので情けなくなった・・・」と聞きました。

 

 

 川上側に立つ酒造組合や酒造会社は、さまざまな補助を受けて販促や海外輸出開拓に取り組んでいるようですが、川下で静岡の酒を一生懸命売る地元飲食店や酒販店は何の補助や支援もありません。

 地元の需要開拓よりも海外輸出が大事なのか、地元でやる販促も、大きな会場でフリーで飲ませる従来型のスタイルのまんまでいいのか・・・川下の苦労を目の当たりにするにつけ、複雑な思いに駆られます。

 

 

 そんな中でも、よし川さんや、地酒クラフトコラボのように、規模は小さくとも異業種との強い連携で伝統あるもの・手間暇かけたものの心を理解する消費者を一人ひとり獲得していく試みに、一縷の期待を感じました。

 

 酒をテーマに15年、異業種交流を続けてきたしずおか地酒研究会には、川下の立場で力になれることがあるはずだ、と思うのですが、何をどうしたらいいのか、つねにぐるぐる思考しつつも、ガバッと行動に出るパワーが足りないと焦る毎日です。

 

 


日本酒を嗜む粋な女性たち

2010-09-17 11:47:09 | 地酒

 スーパー猛暑といわれた今夏の異常気象も、やっとひと段落ついたみたいですね。朝夕と真昼の温度差がグッと広がる、季節の変わり目のこの時期は、私にとって一年で一番、体調が狂う辛い時期でもあります。涼しいのに異様に汗をかいたり、後頭部がしびれるように痛くなったり、物事が思い通りに行かないとドーンと落ち込んだり・・・。友人から「ああ、それ、更年期だよ、気にしない気にしない」と励まされたりしています。

 

 

 

 先週のしのだ日本酒の会で準備をしていたとき、汗びっしょりになっていたのを心配してくれた萩原和子さん(篠田酒店)が、翌月曜の夜、ご自分の行きつけのスナックに誘ってくれました。昭和9年生まれで私の父と同い年なのに、ご自宅のある島田から篠田酒店ドリームプラザ店(清水)Photo まで毎日1時間以上かけて電車通勤し、職場では立ちっぱなしでつねにニコニコ接客している萩原さん、「篠田社長、大人しいから、自分の酒の会のときぐらいもっと目立ちなさいとハッパかけなきゃ!」と意気軒昂に語る姿には大いに勇気をもらいました。

 

 

 

 翌火曜は、浜名湖舘山寺のレストピア山崎さんに打ち合わせでうかがった後、久しぶりに樹木医塚本こなみさんにお会いしました。こなみさんは現在、P1000002 旧浜北市で農園を作り、さまざまな作物を育てています。樹木医として土に触れる姿は何度もお見かけしていますが、ご自分の農園で、初めて本格的に野菜づくりに取り組むこなみさんの表情は、いのちの源を育てる悦びややりがいに満ち溢れ、まったくのノーメイク姿だというのに、以前よりお若く、イキイキされています。こなみさんも還暦過ぎという御年、信じられません・・・。

 

 

 

 

 こなみ農園で収穫したてのサツマイモ、ゴーヤ、キュウリなどを持って、夜は豆腐料理『豆岡』へ。女将の岩崎末子さんは「昨年、お客さんが開店30周年と80歳の誕生祝いをしてくれたんですよ」と嬉しそうに語ります。女将さんの年齢を正確にうかがったのは初めてだったので、目がテン!になってしまいました。

 

 「今でも毎日寝る前に2合はお酒をいただくの、それが元気の源」とニッコリする女将。同い年で先に逝ってしまった栗田覚一郎さん(元県酒造組合専務理事)や松尾正弘さん(國香酒造前社長)の思い出話をひとしきりした後、こなみさんがボトル買いした國香純米大吟醸をいとおしそうに酌み交わしていました(私は車だったので麦茶でグッとガマンです・・・)。美しく年齢を重ねた女性たちが、日本酒をしみじみ味わう姿は、なんと粋だろうと見とれてしまいます。

 

 そうそう、『豆岡』には、いまだにアットエスの記事を見てきてくださるお客様がいらっしゃるとか。ご愛読、本当にありがとうございます!

 

 

Dsc_0001  翌水曜は、しのだ日本酒の会の吟醸王国しずおかノミの市ブースに貴重な本藍前掛けと手ぬぐいを出品してくれた『正雪』の神沢川酒造場にお礼にうかがいました。蔵の店先では99歳のお祖母様がシャンと座って迎えてくださり、女将さん(社長のお母さん)も現役で事務所を切り盛りしています。「義母は、代々のお客様リストがすべて頭に入っていて、◎◎さんは△ページの何段目、とパッと言い当てるんですよ」と女将さんは感心しきり。なかなか家を空けられない嫁と姑が、なんとか休みをもらって一緒に伊豆の温泉に行った話を嬉しそうにしてくださいました。

 

 ・・・日本酒が、女性の心身にどんな影響を与えるのかよくわかりませんが、少なくとも私の身近にいる酒と縁の深い女性たちは、揃いも揃って元気で長寿で美しい。・・・更年期だなんだと落ち込んでいる自分が恥ずかしくなります。

 

 

 やっと涼しくなって、グッと日本酒が美味しくなる季節を迎えます。私にとって更年期の治療薬は、日本酒を粋に美しく飲む同性と会うことかもしれません。もっと多くの粋女から、元気をもらいたいとしみじみ思う今日この頃です。

 


カウンター7席の濃密な時間

2010-09-15 16:48:04 | 地酒

 先週、東京ビッグサイトの展示会に参加した帰り、西麻布の『一汁三菜』さんで夕御飯をいただきました。

 この店のことは過去ブログでも紹介したとおり、静岡の安東米店さんからこだわり米を仕入れ、魚料理、お総菜、お漬物に味噌汁という一汁三菜をいただけるカウンター7席の小さな定食屋さん。夜は釜で炊いた玄米食用巨大胚芽米カミアカリが食べられます。1銘柄だけ置いてあるお酒は「喜久醉松下米50」。大都会のど真ん中で味わうカミアカリと松下米は、また格別の味わいです。

 

 

 ビッグサイトの展示会にお誘いした静岡の食品販売会社の女性営業部長さんは、日本酒はまったくダメ…!と頑なに拒否していたのですが、「だまされたと思って一口」と勧めてみたら、「あれっ、違う? これホントに日本酒?」と目を白黒。スーッと美味しそうに呑み干していました。・・・こうして日本酒飲まず嫌いの人が一人ひとり開眼していくのを眺めるのも格別の趣です。

 

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 先日、アットエス地酒が飲める店の取材で訪ねた『板前てんぷら成生』さんもカウンター7席だけのてんぷら専門店でした。

 店主がカウンターの目の前で一品ずつ丁寧に揚げてくれるてんぷら。海鮮類のネタはすべて生食できる鮮度抜群のものです。取材当日は、築地から届いたばかりの東京湾アナゴをその場でササッと〆て、サクッと揚げて試食させてくれました。「てんぷらは、食材の持ち味をストレートに味わうベストな調理方法」と断言する店主。

 

 

 アナゴは駿河湾産だと海がきれいすぎて味が淡白で、東京湾のほうがてんぷら向きだとか。食べ比べてみないと何ともいえませんが、試食した東京湾あなご天は、ふっくらした甘みが衣の香ばしさに包まれ、てんぷらとはかくも奥深い料理か・・・と感嘆させられました。お酒は白隠正宗一銘柄のみ。「酒は、てんぷらの油分を口で洗う、リセットするためという位置づけをされるが、静岡の酒は油を一緒に抱き込んで包み、味をふくらませてくれる」そうです。

 

 

 店主ひとり、7席だけの小さな食空間。でもそこから醸し出される料理と酒は、一人ひとりのお客さんにかけがえのない時間を与えてくれます。

 飲んで食べるだけの時間が、かくも濃密かと思える店。低価格志向の時代にこういう店がしっかり息づいていることに感謝したくなると同時に、自分が醸し出す文字や映像も、たとえ読者や観客は少なくとも観てくれる人に濃密な時間を与えられるだろうか、いや、きちんと与えたい、と願わずにいられません。

 

 アットエス地酒が飲める店最新版はこちらをぜひ!


吟醸王国ブースのお宝グッズ

2010-09-13 14:11:43 | 吟醸王国しずおか

 昨日(12日)は清水マリンビル1階多目的ホールで『第36回蔵元を囲むしのだ日本酒の会』が開かれ、県内外20社の蔵元と150人のお客様が日本酒をたっぷり味わいました。チケット8000円は昨今のご時世、決してお安くない価格ですが、それでも集まるお客様というのは目(舌)が肥えているというのか、モノ選びImgp2930 に確かな価値基準を持った優良カスタマーなんだろうと思います。

 

 

 

 今回は吟醸王国しずおか映像製作委員会の募金ブースを作ってもらい、ノートパソコンでの映像再生、映像製作委員会オリジナルのおちょこ(500円)&ポストImgp2924 カード(100円)をワンコイン募金用に紹介させてもらいました。

 

 

 

 また蔵元さんから特製グッズやお宝道具を提供してもらい、ノミの市っぽいコーナーも設置しました。2年前に『吟醸王国しずおか』パイロット版を上映させてもらったときは、酔客から「なんだこの映像は」とクレーム?をつけられたりしましたが、今回は蔵元グッズのおかげで酔客が気前よく募金してくれました(笑)!

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 とくに目を引いたのは、白隠正宗の1988年産限定の大吟醸一升瓶白磁ボトル富士山画。これ、うらに「清酒二級」のシールが貼ってあるんです。当時はまだ級別制度が残っていて、山田錦40%精米の大吟醸なのに二級で売っていたんですね。…私にとって、この二級シールのほうが「お宝」度数ビンビンです。飲食店主らしきお客さんが「店に飾るのにちょうどいい」とお買い上げくださいました。

 

 

 ブースに映画撮影中に私が記録用に撮ったスチール写真(こちらをご参照)を何点かプリントして並べたところ、「店に飾りたい」「店で写真展をやらないか」「絵はがきセットにしたら売れるよ」とご好評をいただきました。被写体になった蔵元さんたちがどんな反応を示すのか心配でしたが、「もっと大きく引き伸ばしてよ」なんて喜んでくれました(展示写真は蔵元さんに進呈し、代わりにワンコイン募金をしていただきました)。

 

 素人の写真ですが、貴重な酒造りの記録なのでいずれ何らかの形で活かしたいと思っています。有効な活用アイディアがありましたら、ご連絡ください。

 

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 小夜衣の蔵元森本均さん書の映画のタイトル文字を刻印したオリジナルおちょこ(500円)、私の静岡酒すべてに対する愛情を線画に織り込むように描き込めたポストカード(100円)は、今後、幅広く紹介していきたいと思っています。

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 とりあえずは映像製作委員会の会員店に置いていただければと思っていますので、その節はよろしくお願いいたします!

 

 

 貴重な機会を与えてくださった篠田酒店のみなさま、お宝提供してくださった蔵元のみなさま、募金にご協力くださった参加者のみなさま、終了後、22時過ぎまでノンアルコールビールで反省ミーティングにつきあってくれた斗瓶会員ボランティアスタッフのみなさま、本当にありがとうございました。

 

 

 吟醸王国ブースの様子はこちらもぜひご参照くださいね!


しずおかうまいもの調味料づくり

2010-09-08 21:21:55 | 社会・経済

 7日は東京ビッグサイトで始まった第8回グルメ&ダイニングスタイルショーに行ってきました。静岡県商工会連合会の地域資源全国展開支援事業『しずおかうまいもの創生事業』で今年度取り組む、新しい調味料の試作展示&試食マーケティングのお手伝いです。昨年はフルーツふりかけ『ふりーらフルーラ』、一昨年はフルーツゼリー『ふじやまさんちのいつかちゃん』、その前は地酒&酒肴セット『つまんでごろーじ』と、過去3回、この事業に関わって、そのたびにこの展示会でマーケティング調査をしています。

 

 Imgp2884 一日中立ちっぱなしで不特定多数の来場者に対し、試食の呼び子やアンケート調査をやるのは、ふだん一人でデスクワークをする身には体力的にもかなりこたえますが、人ごみの中で大声をはりあげてもオッケーなシチュエーションって日常生活の中ではなかなかないので、案外これでストレス解消になったりします(苦笑)。

 

 

 

 今年はうなぎ、桜エビ、お茶、わさびという4つの“静岡資源”を題材に、6社の業者さんが新しい調味料作りに挑戦しています。うなぎをテーマにするのImgp2890 は、先日ネーミングの件で打ち合わせに行った浜名湖舘山寺のレストピア山崎、浜名湖の海鮮食材の加工業で知られる雄踏Imgp2892町の海老仙。桜エビは由比の小倉食品、お茶は菊川のフンケン茶業、わさびは伊豆市の修善寺醤油と河津町の市山

 

 

 

 

 どの業者さんも、すでに“静岡資源”で商品化したラインナップを豊富に持つ実力者。したがって、これまでのふりフラやいつかちゃんのように、みんなで一つの商品を新しく開発するというものではなく、それぞれの業者が新たな商品を独自開発し、この支援Imgp2893事業を活用して新しい販路を開拓していきます。Imgp2894各業者さんにとっては、こういう展示会に参加してマーケティング調査や商談ができるのも大きいと思います。

 

 

 

 

 7日はうなぎがテーマの日で、レストピア山崎さんはうなぎのかば焼き風味の万能タレソース、海老仙さんはうなぎエキスやパウダーを加えた健康ドレッシングを試作し、豆腐にかけて試食してもらいました。

 

  

  レストピア山崎は、先日のブログでも紹介した『Imgp2887名湖らー油』、『うなぎの姿煮』をアピール。海老仙は浜名湖うなぎ100%使用の骨せんべい『骨まで愛して』、うなぎエキスとDHA入り栄養ドリンク『鰻パワー』、うなぎエキスを飼料に加えたことで酸化しない自然型DHAを含有する『浜松の卵』などなど、うなぎの栄養価を存分Imgp2897に活かしたユニークなオリジナル商品を紹介しました。

 

 

 

 

 来場者さんの反応って面白いもので、「うなぎのドレッシングの試食ですよ~」と呼びかけると、「エ~ッ、なにそれ~」って怪訝な顔をされたりする。そこでちょこっと工夫し、「浜名湖うなぎの栄養満点、健康ドレッシングですよ~」と掛け声を変えると、怪訝顔の女性客も足を止める。「本日限定!浜名湖うなぎ100%の創作ドレッシング、ここでしか試食できませんっ!」と“限定”を強調すると、ほとんどの人が足をとめてくれます。呼び込みの文句をあれこれ考え、工夫するだけでも、コピー創りの訓練になるな~(笑)。

 

 それぞれの試作品、味の評判は上々のようでした。これをいざ商品化し、値段を付けて実際に流通に乗せるまでが産みの苦しみ。補助金分を消化して終わり、じゃなくて、ぜひ静岡を代表するロングセラーに育てていってほしいものです。

 

 

 グルメ&ダイニングスタイルショーは10日(金)まで東京ビッグサイト東館3ホールで開催中です。なお今回の事業で開発する商品の完成品は、来年2月の第9回グルメ&ダイニングスタイルショー春2011でお披露目の予定で、県内でも披露発表会があると思いますので、乞うご期待を!