杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

愛知江南・曼荼羅寺のフジ

2013-05-05 09:54:35 | 旅行記

 連休後半もお天気に恵まれていますね。3日は愛知県江南市にある曼荼羅寺のフジを観に行きました。

 連休後半初日、東名下りの渋滞はある程度覚悟していましたが、新東名の三ケ日ジャンクションから東名岡崎ICあたりまで数珠繋ぎ。途中の新城PAも駐車場に入るまで路肩で大渋滞。これぞ行楽渋滞、トイレを我慢できない子どもがいたらほんと、タイヘンだ・・・としみじみ実感です。目的の曼荼羅寺は小牧ICから15分ほど。通常なら静岡から3時間弱で着くところを、朝8時に出て14時着でしたから結局、6時間かかりました。といっても、わが車は、同乗の友人2人が先を争っておしゃべりする人たちだったので、まったく飽きずに過ごせました。せっかく、落ち着いて聴けると思って車に持ち込んだ、映画『シュガーマン~奇跡に愛された男』のサントラもほとんど聴けず終いでした(苦笑)。

 

 

 

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 この曼荼羅寺がフジの名所だと知ったのは、樹木医塚本こなみさんから指導をしているとうかがってから。現在、浜松フラワーパークの再生で大活躍のこなみさんは、あしかがフラワーパークはじめ、全国のフジの名所旧跡から治療や指導を依頼されており、ここ曼荼羅寺も数年前から面倒を見ておられるそうです。

 

 

 

 こなみさんから、連休中に特別公開される曼荼羅寺御厨子の胎内仏、江南駅前・大口屋の麩まんじゅう三喜羅を見逃すな、といわれていたので、まずは曼荼羅寺正堂を拝観。後醍醐天皇が1324~1329年にかけて造営した、南北朝前期の紫宸殿に似た堂々とした御堂(国重文)です。蜂須賀小六が幼少時代に学問を学んだり、織田信長夫人の桂昌大禅尼が寄進した銅鐘があったり、本尊の釈迦如来は太閤秀吉の念持仏だったと伝わるなど等、戦国時代の名将たちとのゆかりも深い名刹。明治のはじめまでは13ヶ寺の塔頭寺院を要した(現在は8ヶ寺)大伽藍だったそうです。

 

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 寺の名前は、天平の時代、中将姫が17歳のときに織ったと伝わる曼荼羅があることから。御厨子に納められた曼荼羅の両脇仏・観世音菩薩像と勢至菩薩像が3年前に解体修理されたとき、それぞれの胎内から室町初期の作と考えられる胎内仏が発見され、それが、GW中に限定公開されていました。長年、胎内で守られていただけあって、2体とも、おそらく完璧に近い美しいお姿の仏さまでした。

 

 

 

 

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 寺の境内は、曼荼羅寺公園として整備され、長フジ、白フジ、八重フジなど12種類約60本のフジが咲き誇っていました。ボタン、シャクナゲ、ツツジなどこの季節はさまざまな和花の競演が楽しめます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 世界一の大フジを擁するあしかがフラワーパークに比べたら量的パワーは劣るものの、ひとつの寺院の境内で、これだけの花を無料で観賞できるというところは、なかなかありません。これだけの人を集め、経済効果を生み、曼荼羅寺という名刹の価値を多くの人に再認識させる。こなみさんの、花を咲かせて感動させるという仕事は、なんと尊いものだろうと、あらためて深く感動させられました。

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 イベントや出店で賑わう曼荼羅寺公園フジまつりは6日までですが、お花見はもう少し楽しめそうです。機会があればぜひ足をのばしてみてください。


裾野の富士山資料館

2013-05-02 09:40:50 | 社会・経済

 富士山の世界文化遺産登録がほぼ決定となりました。長年、世界遺産登録への過程を取材してきた身としては、ホッとしたというのが正直な気持ちです。

 

 

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 今まで富士山が日本代表の世界遺産じゃなかったというのが不思議、という日本人も多いと思いますが、今まで時間がかかったのは、西欧が作った規格や条件に合わせるための“登録申請書づくり&プレゼンテーション”に要した時間、ともいえるかもしれません。

 自分たちの固有の文化や価値観を海外の異文化の人々に、いかにツボを押えて伝えるか・・・海外生活の経験のある人には、ひとつやふたつ、苦労話があろうかと思います。これを、ユネスコを舞台に繰り広げてきた、壮大な異文化圏同士のかけひき、なんですね。

 

 

 と同時に、オリンピック招致問題でもそうですが、未だに、なんでもかんでも、西欧が作ったグローバル基準に合わせなければならない現実を痛感します。日本は、基準に合わせるばかりでなく、基準を作る側にならなければ、真の先進国とは言えないのでは、とも思います。文化とか思想といったジャンルは、東洋の価値観をもっと大事にして、これを世界基準にしていくぐらいのイニシアティブを取って欲しいと思うのですが、中国や朝鮮半島とゴチャゴチャしているうちは無理でしょうか。

 

 今朝のネットのニュースでは、奈良国立博物館と九州国立博物館が企画した「百済展」が、韓国では(展示物が返ってこなくなる恐れがあるとかで)開催取りやめになったと伝えていました。残念極まりません・・・。

 

 

 

 

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 それはさておき、GW前の4月20日(土)、中日新聞朝刊広告特集で富士山周辺の観光レポートを書きました。この取材で、4月初旬、初めて訪ねたのが、富士山資料館(裾野市須山)。市営のコンパクトな博物館ですが、4年前にリニューアルしてとてもきれいで観易く、宝永の噴火に関する史料も揃っていました。

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 撮影はNGでしたが、専門絵師が描いた緻密な古地図(複製)や、須山村の土屋伊太夫が書き残した『富士山宝永の噴火事情書』(実物)は、大地震が数日間続いた後、大噴火を起こし、「茶釜や大きな天目茶碗ほどの大きさの火石が飛んできた」「5尺(1.5m)の砂が積もった」等など、人々が驚愕する姿をリアルに伝えています。ちょうど取材した日に現代語の読み下し文パネルが完成したと、館長さんが丁寧に説明してくれました。

  

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 展示物で
印象的だったのが郷土館の民俗資料。よくある昔の農機具や懐かしい民具の展示ながら、きちんと保全されていて解説もていねいで、すぐにでも使ってみたくなるようなモノばかりでした。こういう展示物にハマるなんて、年齢を食った証拠かな(苦笑)。

 

 

 

 静岡県では富士山をテーマにした一大ミュージアムを作る計画があるみたいですが、こういう、小粒ながらキラリと光る既存の資料館・博物館を各地で充実させて、巡回できるようなしかけを考えてもいいような気がします。

 富士山資料館、須山の陸上自衛隊演習場に隣接し、時折、地響きを起こすような砲弾の音にビックリさせられますが、機会があったらぜひ一度訪ねてみてください!