3月30日 キャッチ!
朝7時 日本人観光客が続々と観光バスに乗り込む。
韓国観光公社が始めたバスツアー
日本人観光客を対象にソウルから地方都市を日帰りで往復する。
費用は昼食付きで約5,000円。
観光公社がバス代を負担している。
ソウルから3時間半
一行は韓国東部の町アンドンに到着。
土曜日にもかかわらず地元の自治体が出迎えた。
「皆さんのアンドンご訪問を心よりお喜び申し上げます。」
もっとも韓国らしい村と言われ
数多くの文化財を残すアンドンだが
日本人観光客の出足はかつてほどではなくなった。
2004年放送の韓国ドラマ「冬のソナタ」をきっかけに
日本中で沸き起こった空前の韓流ブーム。
ドラマのロケ地を訪ねようと多くの日本人が韓国各地を訪れた。
その後も韓国の食事や文化を楽しむ人が増え
韓国旅行は定着したように見えた。
しかしイ・ミョンバク大統領の竹島上陸による日韓関係の悪化をきっかけに
観光客の数は減少に転じ
さらにマーズや円安の影響も加わり
去年の日本人観光客数は4年前の約半分にまで落ち込んだ。
そこで日本人観光客を呼び戻そうと
韓国観光公社は新しいプロジェクトを起ち上げた。
年間230万人の日本人観光客を誘致し
約2,000億円の経済効果を期待するものである。
日本人観光客の95%は個人旅行者で
ソウルなどの大都市にとどまっているのが現状である。
そこで個人でも気軽に地方へ足を運べる日帰りのバスツアーを企画した。
(韓国観光公社日本チーム代理 キム・ミンジさん)
「今は個人観光客が増えていて
このようなシャトルバスで地方を訪れてもらいます。」
一行が向かったのは世界文化遺産のハフェマウル(河回村)。
村には昔ながらのわらぶき屋根の家屋が軒を連ねている。
参加者は皆韓国旅行のリピーターだが
ここへ来るのは初めてだという。
「今も23代目の子孫が住んでいます。」
500年を超える家屋も現役である。
朝鮮王朝時代
役人試験の受験者を支援しようと
村人たちが旅の資金を入れたとされる“施しの穴”。
参加者は数百年前の地方文化を直接手で触れて味わっていた。
(ツアー参加者)
「よくソウルには来るが地方の町に来る機会はなかなかないので
いい経験になった。」
「ソウルと全く違う伝統的な村があるということを知れて
とても興味深い体験になった。」
このツアーを企画している旅行会社。
日本人向けツアーの売り上げが落ち込み
2年前から中国人観光客の誘致を始めた。
この数年中国からの観光客は急増し
年間500万人にのぼる。
しかし中国人観光客は買い物以外にあまりお金を使わないため
旅費を安く抑える傾向がある。
そのため安いツアーに人気が集中。
価格競争が激化し採算割れを起こした。
現在は中国人相手のツアーを中断し
再び日本人客の回復に乗り出している。
(ハンナラ観光 常務理事 チヨウ・ナムギルさん)
「当面は日本市場を活性化すべく取り組んでいく方針です。」
韓国政府が去年から始めた
韓国の伝統酒を無料で試飲できる展示コーナー。
週3回日本語での説明を行い
日本人観光客の誘致に力を入れている。
韓国の伝統酒といえば日本ではマッコリが有名だが
伝統酒の種類は2,000種類を超える。
ヨーグルトのようなマッコリなど
日本では味わえない伝統酒の味に韓国文化の奥深さを味わっている。
(ツアー参加者)
「日本でも地酒に違いはあるが
完璧に異なるフレーバーと舌触り。」
また韓国政府は伝統酒の蔵元を訪ねてもらう事業も始めている。
毎年複数の蔵元を選定し
年間700万円ほどを助成。
20万人の外国人を迎えた。
伝統酒をきっかけに韓国の豊かな地方文化に興味を持ってもらう狙いである。
(伝統酒ギャラリー 副館長 ミョン・ウクさん)
「韓国の地方と日本の方とのコミュニケーションが
伝統酒を通してできるという実感が沸いております。」
あの手この手で臨む国を挙げた観光戦略。
一過性のブームに終わらせない
確かなファンの獲得が客足回復のカギを握っている。