3月30日 キャッチ!
テキサス州で開かれた展示会「サウス・バイ・サウスウェスト」。
アメリカでもっとも勢いのあるこのITイベントに
今年は約300のベンチャー企業が参加し
アイデア勝負の試作品を披露した。
今回多くの企業が力を入れていたのがウェアラブル製品である。
ドイツのベンチャー企業が開発した“スポーツウェア”。
取り付けられた電極を通し
筋肉に刺激を与えて負荷をかけることにより
20分の運動で3時間分の筋力トレーニングの効果があると言われる。
(ベンチャー企業担当者)
「30キロの重りを付けているのに相当します。
トレーニングとしてとても効果的です。」
ニューヨークの美術大学の学生が考えた“身につけるキーボード”。
服に取りつけたアルファベットを触って文字を入力することができる。
(開発した大学生)
「1日10時間以上PCを操作していたら背中が痛くなったので
これを考案しました。」
会場でとりわけ多くの人だかりができていたのは日本のベンチャー企業のブース。
一見普通のスポーツウェアだが
東京大学の研究室で生まれた特殊な技術を搭載している。
このスーツを着用し画面に映る人物を動かす。
腕や肩などの部分に埋め込まれた6つのセンサーが
体が動く際の微妙な服の伸びを検知。
そのデータを無線通信で送ることで
離れた場所にいても体の正確な動きを把握することができる。
バーチャルリアリティーなどのテレビの操作や
お年寄りや赤ちゃんなどに着せて
健康状態を把握するなどの活用方が検討されている。
(ベンチャー企業 網盛一郎CEO)
「着心地が完全に普通の服と同じものは
使ってもらえるのではないか。」
ウェアラブル製品の今年の出荷台数の予測は1億1,000万台。
去年より40%の成長が見込まれているが
バッテリーが長く持たないなどの課題を抱えているため
スマートフォンの1割にも満たない数にとどまる見通しである。
中小企業のブースが立ち並ぶ会場内で存在感を見せていたのがソニーのブースである。
開発中の製品を業界関係者に評価してもらおうと
あえてベンチャー企業のイベントに参加した。
これまで製品の情報は発売まで秘密にしていたこの企業としては初めての試みである。
ソニーが最新のウェアラブル製品として開発中なのが
首にかけて使う“マルチメディア端末”である。
首にかけると臨場感あふれる音が聞こえる。
スピーカーから出る音を首の周りに集中させる独自の技術を採用。
イヤホンを装着することなく音楽を楽しめるのが売りである。
さらにこの端末には音声を認識して作動するカメラを内蔵。
プライバシーの問題に配慮し
撮影の時だけカメラがあらわれる仕組みである。
ブースでは有力なITメディアの記者や他社の開発者が次々に訪れ
試作品に触れる姿が見られた。
(元アップル社員)
「これを街で付けて音楽は聴かないね。」
(IT業界メディア カリッサ・ベル記者)
「GPSやカメラなどもついていて
手で操作をしなくても済むのもいいです。
実際に商品化されるのを期待します。」
一般公開が終了した後
開発担当者はこのイベントで得た様々な意見をまとめていた。
「音漏れとか気にしていた?」
「『音が漏れて聞こえているの?』と隣の人に聞いた人が3,4割いた。」
「音楽を見に付けるのが“新しいファッション”と言ってくれる人がいた。」
この製品は現時点では商品化の予定はないが
展示会での評価を生かし
今後も開発を続けていく予定である。
(ソニー システム研究開発本部 丸尾淳 副本部長)
「可能性はある。
ソニーから新しいものが出て
あ、こんなものがあったのか
という反響があればウェアラブルの次のブレイクスルーになるのではないか。」
多くの消費者に受け入れられるウェアラブル製品とは何か。
ヒット商品を目指す開発者たちの挑戦が続いている。