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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

花束を君に。

2023-11-16 20:04:59 | 毎日コラム
年度の後半は、花束を贈り贈られる季節と言える。
イベントのプレゼントに、あるいは出会いと別れの季節に、花束が贈られる。
人間の本質的な営為の中で、贈与というものがあるというのは、思想の世界でも話題にされてきた。
人間だけが贈与する。
贈り物をする動物はほかには見られない。
もちろん、見立てによっては贈り物のようなものをする動物はあるかもしれない。
けれども、その行動と、人間が行う贈与には本質的な違いがあるだろう。

そのように考えると、花束は非常に人間的なものなのかもしれないと気づいた。
花束は自分で買うことがほとんどないからだ。
そして、花束は、生活においてほとんど実用性がないからだ。
生活にまったく無駄なものとしての花束、そして贈与の代表的な物質としての花束。
他にも贈与するものはいくらでもあるが、贈与するためだけで、そこで完結してしまうような【物質】は、ほとんど花束だけではないだろうか。
そしてなによりそれは【残る】ことなく、枯れてやがて捨てることになってしまう運命にある。

私はあまり花束をもらうほうではない。
(そんな記念碑的なおめでたいことを何も成し遂げていないので)
だが、人には、何かあれば、贈ることがある。

街に花屋があること。
そしてそれが賑わっていること。
それは、食事をともにすることと同様に、その地域や国の文化的本質に関わることなのだろう。

いつもは贈る、結婚記念日の花束を今年は忘れた私には言う資格がないかもしれないが。

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