明けましておめでとうございます。
昨年は、この「secret boots」をご愛読いただきまして、まことにありがとうございます。
今年ものらりくらりとやってまいりたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
さて、年末年始珍しく慌しく過ごしました。
その近況報告と、昨年暮れに起こった私自身の変化について、少し書かせてください。
昨年、モテないキャラを脱出して、結婚しました。
周りに話すと、「え? 嘘やろ? その相手かわいそう!」と悲鳴に近い言葉で祝福してもらいました。
奥さんも職場で話すと、「どんなもの好きな男やねん」と言われたそうで、似たもの同士でございます。
いまだに「それはリアルな男なの?」と聞かれる奥さんよりは、私のほうがまだ祝福が若干多いかと存じます。
馴れ初めを書いても全くみなさんは面白くもなんともないので、二つほど、ここ最近考えていることを記して、新年のあいさつに代えたいと思います。
………
生きるとは汚れることだ、とつくづく思う。
家で食事を作る。
これまでになかった変化だ。
食事を作っていると気づくことがある。
それは、どうしようもなく汚れていくということだ。
血を洗う、土を落とす、根を切る。
まな板が汚れ、流しが汚れ、コンロが汚れる。
その汚れを取るために、洗剤を使う。
排水溝はいつの間にか、ぬめりと悪臭を放つ。
少しほうっておくと、もう触るのもイヤになる。
洗剤で落としても、洗剤を入れておく棚も汚れる。
物が増えると、さらに汚れやすくなる。
本来清掃するはずの、掃除機や洗濯機でさえ汚れていく。
生きるとは汚れることなのだ。
そして、私たちは生き物を喰って生きているのだということ。
コンビニでフライド・チキンやファス・トフードで完成されているものばかりを食べたり、誰かが作ってくれるものだけを口にしていたりしていたのでは気づかないことなのだろう。
自分で作ると、どれだけの命を自分が奪っているのか、いやおうなしに気づかされる。
生き物は他の生き物を殺さなければ生きていけない。
そこにきれいごとはない。
「地球を救え」などということばは嘘なのだと知らされる。
それと汚れることとは同じなのだろうという気さえしてくる。
日常を生きるとは、穢れることだ。
その穢れの中で、楔を打ち込み、自分を奮い立たせる人々の偉大さを知る。
そして、なぜ人々が非日常という「祝祭」に対して全力を傾けていたのか、理解できる気がする。
穢れた自分を洗い流す、見つめなおすタイミングがどうしても必要なのだ。
そうでなければ、私たちは「けもの」に過ぎない。
日常は尊い。
けれど、同時に日常は怖い。
そういう中で自分をどう保ち、どう高まらせるか。
………
年末年始、新婚ということもあり、親戚にあいさつ回りに行った。
私の実家、私の親族、そして奥さんの実家と親族。
周りが気を遣ってくれるので、私は楽しい時間を過ごさせてもらった。
自分がなぜ、ここにいるのか。
どのように生かされてきたのか。
そんなことを考えさせられた。
奥さんの実家に泊まったとき。
奥さんの祖母が、就寝前に一心に般若心経を唱えていた。
「オリジナルで特に誰かから習ったわけではない」というその祈りのことばの中に、私の名前も加わっていた。
その祖母は、30分も、同じような内容をずっと一心不乱に祈り、感謝と願いを口にしていた。
孫娘が嫁ぎ、新たな生活を出発させて、祈る以外に何ができるだろう。
幸せになってほしい、と仏様や神様に祈る以外に、遠く離れた場所に住む私に何ができるだろう。
しかし、私には信仰という名の祈りがある。
そんな張り裂けそうな思いを感じた。
私が、いま、ここで生きるということは、他の誰かが願ってくれた思いや願いや、祈りがこめられているのだ。
もちろん、具体的にお経を唱えたり、聖書を読む人は少ないかもしれない。
問題は、そんなことではない。
そこに信仰というものの本質があるし、人が社会でいきるという本質がある、そんな気がするのだ。
話しをすこし戻そう。
私たちは日常を生きている。
年末年始の短い休みが終われば、また日常に戻っていく。
その中で、遠い親戚や普段会えない人と会うことの意味を、こんな年になってようやく理解しはじめてきたのかもしれない。
穢れながらそれでも生きる。
それは感謝とか、責任とか、そんな単純な言葉で言い表すことができないものだろう。
そんなことを思った、年末年始だった。
これからはご夫婦で映画の日々ですね。
今年も映画批評、楽しみにしてます。
すみません、返信が遅くなりました。
ばたばたしているわけではないのですが……。
結婚によって、生活の優先順位が変わって来つつあるのかもしれません。
つぎは「96時間リベンジ」をみたいと思っています。
日曜にいけるかなぁ。
>向かいのiPhoneさん
夫婦での共通の観たい映画がないのですよ。
趣向が全く異なるので、結果的に一人で見ることが増えています。
家事もしないといけないし、仕事もしないといけないし……。
ぼちぼちでいきます。