secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔

2008-05-26 22:58:18 | 映画(ら)
評価点:81点/2002年/アメリカ

監督:ピーター・ジャクソン

話題ファンタジー大作の第二弾。

一行と別れたホビットであるフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)と
サム(ショーン・アスティン)は、二人だけで指輪を葬るため滅びの山に向かった。
ウルク=ハイにさらわれてしまったホビット・ピピン(ビリー・ボイド)と
メリー(ドミニク・モナハン)は、手がかりとしてエルフに貰ったマントの留め金を道に落とした。
それに気づいた人間の王の子孫であるアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)は、
弓の名手エルフ・レゴラス(オーランド・ブルーム)と、
そのエルフと鉄の絆で結ばれたドワーフ・ギムリ(ジョン・リス=ディビス)とともに彼らの後を追った。
メリーたちはウルク=ハイらがローハンの王子エメオルに襲われている期に乗じ、「古森」に逃げ込んだ。
途中出会ったエメオルにウルク=ハイ襲撃の話を聞いたアラゴルン一行は、襲われたという場所に向かったが、メリーたちの姿を探すことは出来なかった。
古森に彼らの足取りを求めると、なんと死んだと思われていた魔法使い、「灰色のガンダルフ(イアン・マッケラン)」と出会う。
ガンダルフにメリーの無事を告げられたアラゴルンたちは、サルマン(クリストファー・リー)の襲撃を目前にしたローハンに加勢するため、ローハンの首都エドラスに向かう。

ストーリーを書くようにしているのでこの映画も書いてみたが、ご覧のとおり、原作や前作の映画を知るものしか理解できないような難解な文章になってしまった。
原作を読まないでこの映画を見たとしたら、さっぱりわからないかもしれない。
僕は原作を読むことを激しくお勧めします。

▼以下はネタバレあり▼

さて、二作目ということもあり、ある種の安心感をもって見ることが出来るはずだ。
一作目は完成度もさることながら、ほとんどの人が原作さえしらない状態で映画館に向かったことだろうから、どんな内容の話が展開されるかどうかも手探りだった。
そういう意味では、一年間のブランクがあり、より読者人口が増えたので前作のような戸惑いは少ないだろう。
しかも前作のような説明的台詞や場面が少なくなったために、より物語の面白さが増している。
また物語そのものが、「見せ場」であることも手伝っているだろう。
文句なく面白いと思える内容であることは間違いない。
CGの質もすばらしいし、物語という世界を満喫できることは確かである。
しかし、これだけ前評判が高く、しかも前作から一年以上も待たされた僕としては、どうしても、多少の荒さや前作との違い、そしてギムリの扱いに納得がいかないのである。

つくりが「荒い」と感じたのは、旅の移動中の荒野が明らかに使い回ししているような気がしたことと、
エントのCG(「ネバー・エンディング・ストーリー」に出てきそうだった)と、サルマンとローハンとの戦争のカメラワークである。
特にカメラワークは、前作のトロルとの戦いのときにも思ったことだが、カメラの切り替えが早すぎて何がどうなっているか、理解できない。
それでいてそれほどカッコよくもないのだ。
あまり批判のあがらないピーター・ジャクソンだが、戦闘シーンに関しては僕は納得できない。

前作も同様だが、前作にある設定がほとんど生かされていない。
確かに物語には直接かかわらない、どうでもいいような要素も、原作にはあるが、それでも少し急ぎすぎで原作を知るものしかついていけない、
というのはやはり問題であろう。
三時間にも及ぶ大作であるが、やはり原作が長すぎるのか、「完全映画化」とはいかなかったのだろう。
(もっともこのことに関しては前作でも思ったことである程度予測していたが)

そして最後に言っておかなければならない「ギムリ」のこと。
彼はいつからか笑いを提供する役目に成り下がってしまったらしい。
とても腹立たしい。
レゴラスとのオシドリ関係をほとんど描かないで、そうした卑近な役をさせるなんて・・・。
確かにこういう映画には「笑い担当」が必須ではあるけど、それならサムとかメリーとか他にいたはずだ。
笑い担当にするのならもっとカッコいい見せ場を作ってほしかった。

やはり原作とのイメージ差はあった。
一番ショックだったのが木の髭。
彼はもっと大木であってほしかったが、あれでは今にも吹き飛ばされそうな枯れ木だ。
何千年も生きてきたから仕方ないけど、もうちょっと威厳ある姿を望みたかった。
逆にセオデン王はイメージどおりと言っていいだろう。

ギムリ以上に笑えたのは「リヴ・タイラー」である。
アラゴルンの夢の中を縦横無尽に駆け巡る彼女のドアップは、映画が急に変わったのかとビックリさせられる。
原作ではほとんど出てこない役回りにもかかわらず、ギャラや映画の「色」としての役割からか不用意に出てくる。
そう、出まくる。
あの部分を削るとローハンに来るエルフの行動がいまいちよくわからなくなるが、ただでさえ長いこの映画をさらに無駄に長くしたような気がする。

かなり酷評しているような文面になったがそうではない。
面白いからもっと面白くしてほしいのだ。
前作と次回作との間にあるこの作品は、どうしても「つなぎ」という位置づけになってしまいがちで、やはりオスカー像にはたどり着けなかったが、この完成度はかなりのものだ。
早く三作目をみたい。

(2003/03/29執筆)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スパイダーマン(V) | トップ | レッド・ドラゴン »

コメントを投稿

映画(ら)」カテゴリの最新記事