評価点:55点/2015年/アメリカ/138分
監督:J・J・エイブラムス
漂う同窓会の香り。
ルークの活躍により、デススターは壊滅、暗黒面に落ちた者たちの銀河帝国軍は残党となって戦いを続けていた。
一方、ルークは忽然と姿を消してしまう。
次第に力をつけてきたファースト・オーダーを名乗る暗黒面の者たちは、ルークの居所を探していた。
一方共和国の代表レイアたち「レジスタンス」は、ルークの居所をつかむ地図を手に入れた。
その地図をBB8に託したレジスタンスの戦士ポー(オスカー・アイザック)は、スイーム・トルーパ―たちに襲われてしまう。
そのBB8を見つけたのは、ジャクーに住むレイ(デイジー・リドリー)だった。
ルーカスがこのシリーズから降り、適任と思われるJ・J・エイブラムスがメガホンを取った。
「スタートレック」を見事に復活させた手腕を買われての大抜擢である。
公開前からすでにちまたではスターウォーズのグッズが世に出回り、「日本ってこんなに好きだったの?」てなくらいにフィーバーしている。
とりあえず売れるものは売っておきたいという関連商品に群がる業者の思惑に完全に踊らされているようにさえ見える、今回の騒動。
私はシリーズはすべて観てはいるが、期待せずに見にいった。
結論から言えば、今作はすくなくとも「ビデオで十分」という印象だ。
▼以下はネタバレあり▼
スターウォーズが映画史に残るとすれば、それはVFXの技術が素晴らしかったからではない。
ストーリーが素晴らしかったわけでもない。
監督の手腕に期待するなんて、それはおもしろいジョークだ。
まして、その演出が素晴らしいなんて、冗談でも言えない。
じゃあ、なぜこんなに人々が熱狂する(した)のか。
それは「熱い」からだ。
ルーカスが素晴らしい監督だとは私は思っていない。
けれども、彼のパッションがアメリカを中心とする人々に動かされたのだ。
この映画で最も足りないのは、その「熱」だ。
だから、なんにもおもしろくない。
ホットコーヒーなのに、冷えているようなものだ。
氷を入れてアイスにはできない。
帝国軍の残党は、新しくファースト・オーダーとなり、反抗を強めていた。
その砦となるのが、またしても「デス・スター」のオマージュ「スターキラー」である。
その砦を破壊するためには、またしても主要装置の破壊である。
レイアとハン・ソロの息子であるカイロ・レン(アダム・ドライバー)は自分がルークほどの戦士でないことを不安視し、それがきっかけとなり暗黒面に落ちた。
しかし、暗黒面に落ちきれていなかったレンは、ハン・ソロを殺すことでその迷いを断ち切る。
これも、どこかで聞いた話だ。
ソーラレイ、じゃなかった、新兵器によって共和国の多くの星を壊滅させてしまう。
おいおい、スターキラーはどれだけの威力があるのだ?
つっこみどころが満載で、なんら蓋然性がない。
もっと言えば、ほとんど世界観に説得力がないのだ。
ただ、壮大なだけで、レジスタンスと名乗るレイアの軍隊も、優位なのか劣勢なのかもよく分からない。
ほとんど説明がないし、その説明もその世界観にはまるだけの説得力がない。
謎をおいておいて、そのことで次作にひっぱろうという魂胆なのだが、何よりも足りないのは、「熱さ」なのだ。
同窓会のような懐かしさは確かに感じる。
だが、そこに悪を憎んだり、冒険をして新しい世界の扉を開いていくような期待感などはとてももてない。
だから、記号で遊ぶことはできる。
これとこれはエピソード○のオマージュだな、と。
マニアならヨダレをたらして喜ぶのかもしれないが、新しいファンを獲得するには何もかもが足りない。
私はそれほどファンでもマニアでもない。
ただ、映画が好きなだけだ。
そんな私にとっては、エピソード4~6で感じた「熱さ」は伝わってこない。
これじゃあ、「フォースの覚醒」ではなく、「フォースのまどろみ」である。
TVシリーズを1話も観たことのなかった「スタートレック」でさえ、おもしろいと感じたのに、今回は懐かしいとしか思わなかった。
これでは満足度は低いことになるだろう。
商業的には成功しているそうだ。
映画館を出るときにグッズ売り場で何かを買おうと考えていた。
だが、何かを買わせるだけの熱さがなかったので、結局なにも買わずにそのままに映画館を出た。
人気シリーズのメガホンを取ることは難しいことだとは百も承知だが、それにしても熱のない物語に熱狂する新しいファンはいないだろう。
残念な仕上がりだが、17年に公開されるという次作を観るしか、評価のしようもないだろう。
余談だけど、この作品について書く前に、エピソード「4~6」の記事を読み直した。
批評とはほど遠い内容に閉口したが、それも「menfith」なのでそのままさらしておく。
もう一度見直して書き直そうかとも思う。
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