評価点:76点/2018年/アメリカ/140分
監督:クリスチャン・グーデカスト
うまい!と思わず唸る。
銀行強盗がもっとも世界で多発する都市、ロサンジェルス。
そのロスで一台の現金輸送車がドーナツ店の前で奪われた。
激しい銃撃戦があり、警官が数名殺された。
しかし、その中身は何もなかった。
不思議におもった公安局のニック・オブライエン(ジェラルド・バトラー)は、その手口から今まで未解決だった銀行強盗事件に関与している可能性が高いメリーメン(パブロ・シュレイバー)という男が、数ヶ月前に仮出所したことを嗅ぎつける。
出入りしているバーを訪れたニックは、バーテンとの関与を疑い、バーテンのドニーを脅しつける。
メリーメンの関与が強くなったことで、ドニーを監視しながら次の一手を伺うニックの元に、妻からの離婚届が届く。
ちょっと気になっていたクライムアクション映画。
アマゾンプライムにて鑑賞。
やはりほとんど予備知識なく再生したので期待値はゼロだ。
邦題がいただけない。
原題は「泥棒の巣窟」くらいの意味らしい。
似たようなタイトルのトム・クルーズの映画があったようななかったような。
「法外者」ではたしかに全く理解できない。
かなり邦題に悩んだことだろうが、それにしてもセンスがなさ過ぎる。
英語の辞書をめくればいくらでもそれっぽいタイトルは見つけられただろうに。
主演は「エンド・オブ・ホワイトハウス」などでも有名なジェラルド・バトラー。
仕事一筋な悪態刑事を熱演している。
申し訳ないが、私生活も乱れまくっているのではないかと思えるくらい説得力がある。
タイトルに惑わされずに見てみるのも面白い。
次回作が決定しているらしいが、果たしてどうやら?
▼以下はネタバレあり▼
私生活をまったく疎かにしている刑事と、仲間との絆が強い「ワイルド・スピード」みたいな銀行強盗団のリーダーとの戦いを描く。
銀行強盗を家業にしている、という話は「ザ・タウン」でも描かれていた。
ますますロスに行ってみたくなってきた私だが、冒頭の数値はどれだけ本当なのか私は知らない。
今時そんなに銀行にお金があるのかとあまり説得力はないが、あるところにはあるのだろう。
紙幣を廃棄する前に少しだけ分けてほしい。
前評判や情報をつかんでいないほうが楽しめる映画だ。
いわゆるミスディレクション系の映画で「インサイド・マン」などと趣は近い。
けれども、ミスディレクションの映画である、ということさえ分からなくさせているので、わかったときの驚きは大きい。
140分という長い映画だが、それもそのはずだ。
アクションとしても面白いし、ドラマとしても見せ方が巧い。
特に終盤の連邦銀行を襲う場面は、非常に緊張感がある。
その緊張感を出しながら、実はラストで……という見せ方は、王道であり、だまされる楽しさがある。
先にも触れたように、捜査官と強盗団のリーダーとのやりとりが秀逸だ。
どちらも一流であり、その道のプロだ。
仲間思いで、人間味がある。
捜査官は家族をダメにしながら、それでも悪を許さないという強いプライドがある。
一方で、一般人を殺さないというプロフェッショナルの強盗団のリーダーは、冒頭で警官を殺してしまったことに強い後悔を覚えている。
彼は強盗を行うが人を殺さない。
ラストのブラフの銀行強盗でも、人質を殺していない。
流儀がある、という点に、観客も好感がもてる。
この二人のキャラクターが非常にしっかりしている。
だから、「ヒート」や「フェイス・オフ」のような、二人の対峙が緊張感を生む。
とはいえ、捜査官のほうは家族を破滅に追いやって、強盗団のほうは、仲間の家族にまで気にかける優男(やさおとこ)でもある。
こういう対比が、この映画のオチを覆い隠す。
観客はこの映画は善悪の二人の対決の映画である、と思い込む。
あえて金曜に銀行を襲うという話を持ちかけて、待ち構える捜査官と、武装した銀行強盗という対峙を描くことで、ますますオチが見えにくくなる。
しかし、実際にはドライバーだったドニーがすべてを仕組んでいた。
ドライバーではなく、彼が計画の全貌を考えて、リーダーとしてメリーメンを立てた。
ドニーは捜査官達にうまく情報を流しながら、メリーメンとも通じている。
日本食レストランで、ニックとドニー、メリーメンの邂逅後、メリーメンがドニーを刑事とつながっているだろうと脅す。
しかし、「いやなら止めよう」というドニーに対して、驚くほどすんなり計画を進めることを決める。
ここに違和感があるのだが、額が大きいため、それもありうるのかな? と思っていた。
しかし実際にはすべての参謀はドニーなのだから、そのおまえが言うのだから間違いない、ということだったのだ。
お金をすりかえたのはどこか、という問題もあるが、それはドライバーを二重にすればそれほど問題はない。
もしくはゴミ収集車のドライバーにすり替えてもらっておけばよいわけだ。
物語の序盤で、メリーメンやその仲間がどういう経歴なのかということを警察が分析する場面がある。
この部分をよく聞いていると、ドライバーとメリーメンとの関係がわかるようになっている。
というのは、メリーメンは銀行強盗を計画できるような経歴ではないのだ。
だから、彼が黒幕だというのは考えにくいという伏線になっている。
(コナン君やホームズでないかぎり気づかない)
二人の対峙の映画、と思っていたら違っていた、というのは非常に面白い。
それに気づいても気づかなくても、どちらにせよアクション映画としても面白いので、ばれても損害は少ない。
秀逸な映画だった。
だが、気になるのはバーの客だった彼の仲間だ。
ラストで、ドライバーがニックらに捕まったとき、車の中で悔しがる。
電話を切った後にそれほど怒りをあらわにするのはどうにも不自然だ。
どこまで計画の内だったのかわからないが、メリーメンが捕まっても計画的には全く損害がなかったはずだ。
もしくはニックは捕まる予定ではなかった、ということなのかもしれない。
どちらにしても、それほど強く悔しがるのは、観客をだますための演出になってしまい、ちょっと不自然だ。
バーでの記念写真も不自然だ。
足が付く可能性がある写真を、わざわざバーに飾るものなのか。
また、バーテンダーを辞めたのならその写真も外しておくべきだった。
短い時間で真相を明かしたかったから、仕方のない演出なのだろう。
次回作が公開されるのなら、劇場で見てみたい気はする。
監督:クリスチャン・グーデカスト
うまい!と思わず唸る。
銀行強盗がもっとも世界で多発する都市、ロサンジェルス。
そのロスで一台の現金輸送車がドーナツ店の前で奪われた。
激しい銃撃戦があり、警官が数名殺された。
しかし、その中身は何もなかった。
不思議におもった公安局のニック・オブライエン(ジェラルド・バトラー)は、その手口から今まで未解決だった銀行強盗事件に関与している可能性が高いメリーメン(パブロ・シュレイバー)という男が、数ヶ月前に仮出所したことを嗅ぎつける。
出入りしているバーを訪れたニックは、バーテンとの関与を疑い、バーテンのドニーを脅しつける。
メリーメンの関与が強くなったことで、ドニーを監視しながら次の一手を伺うニックの元に、妻からの離婚届が届く。
ちょっと気になっていたクライムアクション映画。
アマゾンプライムにて鑑賞。
やはりほとんど予備知識なく再生したので期待値はゼロだ。
邦題がいただけない。
原題は「泥棒の巣窟」くらいの意味らしい。
似たようなタイトルのトム・クルーズの映画があったようななかったような。
「法外者」ではたしかに全く理解できない。
かなり邦題に悩んだことだろうが、それにしてもセンスがなさ過ぎる。
英語の辞書をめくればいくらでもそれっぽいタイトルは見つけられただろうに。
主演は「エンド・オブ・ホワイトハウス」などでも有名なジェラルド・バトラー。
仕事一筋な悪態刑事を熱演している。
申し訳ないが、私生活も乱れまくっているのではないかと思えるくらい説得力がある。
タイトルに惑わされずに見てみるのも面白い。
次回作が決定しているらしいが、果たしてどうやら?
▼以下はネタバレあり▼
私生活をまったく疎かにしている刑事と、仲間との絆が強い「ワイルド・スピード」みたいな銀行強盗団のリーダーとの戦いを描く。
銀行強盗を家業にしている、という話は「ザ・タウン」でも描かれていた。
ますますロスに行ってみたくなってきた私だが、冒頭の数値はどれだけ本当なのか私は知らない。
今時そんなに銀行にお金があるのかとあまり説得力はないが、あるところにはあるのだろう。
紙幣を廃棄する前に少しだけ分けてほしい。
前評判や情報をつかんでいないほうが楽しめる映画だ。
いわゆるミスディレクション系の映画で「インサイド・マン」などと趣は近い。
けれども、ミスディレクションの映画である、ということさえ分からなくさせているので、わかったときの驚きは大きい。
140分という長い映画だが、それもそのはずだ。
アクションとしても面白いし、ドラマとしても見せ方が巧い。
特に終盤の連邦銀行を襲う場面は、非常に緊張感がある。
その緊張感を出しながら、実はラストで……という見せ方は、王道であり、だまされる楽しさがある。
先にも触れたように、捜査官と強盗団のリーダーとのやりとりが秀逸だ。
どちらも一流であり、その道のプロだ。
仲間思いで、人間味がある。
捜査官は家族をダメにしながら、それでも悪を許さないという強いプライドがある。
一方で、一般人を殺さないというプロフェッショナルの強盗団のリーダーは、冒頭で警官を殺してしまったことに強い後悔を覚えている。
彼は強盗を行うが人を殺さない。
ラストのブラフの銀行強盗でも、人質を殺していない。
流儀がある、という点に、観客も好感がもてる。
この二人のキャラクターが非常にしっかりしている。
だから、「ヒート」や「フェイス・オフ」のような、二人の対峙が緊張感を生む。
とはいえ、捜査官のほうは家族を破滅に追いやって、強盗団のほうは、仲間の家族にまで気にかける優男(やさおとこ)でもある。
こういう対比が、この映画のオチを覆い隠す。
観客はこの映画は善悪の二人の対決の映画である、と思い込む。
あえて金曜に銀行を襲うという話を持ちかけて、待ち構える捜査官と、武装した銀行強盗という対峙を描くことで、ますますオチが見えにくくなる。
しかし、実際にはドライバーだったドニーがすべてを仕組んでいた。
ドライバーではなく、彼が計画の全貌を考えて、リーダーとしてメリーメンを立てた。
ドニーは捜査官達にうまく情報を流しながら、メリーメンとも通じている。
日本食レストランで、ニックとドニー、メリーメンの邂逅後、メリーメンがドニーを刑事とつながっているだろうと脅す。
しかし、「いやなら止めよう」というドニーに対して、驚くほどすんなり計画を進めることを決める。
ここに違和感があるのだが、額が大きいため、それもありうるのかな? と思っていた。
しかし実際にはすべての参謀はドニーなのだから、そのおまえが言うのだから間違いない、ということだったのだ。
お金をすりかえたのはどこか、という問題もあるが、それはドライバーを二重にすればそれほど問題はない。
もしくはゴミ収集車のドライバーにすり替えてもらっておけばよいわけだ。
物語の序盤で、メリーメンやその仲間がどういう経歴なのかということを警察が分析する場面がある。
この部分をよく聞いていると、ドライバーとメリーメンとの関係がわかるようになっている。
というのは、メリーメンは銀行強盗を計画できるような経歴ではないのだ。
だから、彼が黒幕だというのは考えにくいという伏線になっている。
(コナン君やホームズでないかぎり気づかない)
二人の対峙の映画、と思っていたら違っていた、というのは非常に面白い。
それに気づいても気づかなくても、どちらにせよアクション映画としても面白いので、ばれても損害は少ない。
秀逸な映画だった。
だが、気になるのはバーの客だった彼の仲間だ。
ラストで、ドライバーがニックらに捕まったとき、車の中で悔しがる。
電話を切った後にそれほど怒りをあらわにするのはどうにも不自然だ。
どこまで計画の内だったのかわからないが、メリーメンが捕まっても計画的には全く損害がなかったはずだ。
もしくはニックは捕まる予定ではなかった、ということなのかもしれない。
どちらにしても、それほど強く悔しがるのは、観客をだますための演出になってしまい、ちょっと不自然だ。
バーでの記念写真も不自然だ。
足が付く可能性がある写真を、わざわざバーに飾るものなのか。
また、バーテンダーを辞めたのならその写真も外しておくべきだった。
短い時間で真相を明かしたかったから、仕方のない演出なのだろう。
次回作が公開されるのなら、劇場で見てみたい気はする。
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