20万回の瞬きで自伝を綴った、驚異の実話!
圧倒的な映像美で描く、きらめく愛の感動作
2月16日、京都シネマにて鑑賞・・・・・。
実在した奇跡の伊達男、ジャン=ドミニク・ボビー
彼はファッション界を左右するフランス版ELLEの名編集長だった。2人の子持ちだった。42歳のとき、突然脳梗塞で倒れて、生死をさまよった後に目覚めると、左目以外は動かない状態になっていた意識、知力は元のままなのに、身体的自由はすべて奪われた状態、ロックト・イン・シンドローム。(詳細はクリックしてご覧ください)
E、S、A、R、I、N、T~~。使用頻度に基づいて並び替えられたアルファベットを読み上げてもらい、瞬きで合図するという新しいコミニュケーション方法を身につけて、自伝「潜水服は蝶の夢を見る」を書き上げたのだ。この作品は世界31ヶ国で発売されるやベストセラーとなる。
この作品を読み、感銘を受けたジャン=ジャック・べネックス監督はジャン=ドミニク・ボビーとクロードの執筆の模様を「潜水服と蝶(Assinge Residence)」という短編に収めている。
そして何と、ジャン=ドミニク・ボビーは、が出版されてすぐ、合併症で亡くなった。
今回、ジュリアン・シュナーベル監督によって、この作品は映画化された。彼が描く、“生きる”ことへのメッセージは・・・・・・。
元々監督は、70年代後半ニューペインティングの旗手としてニューヨーク美術界に彗星のごとく現れた、現代の寵児となった画家だったそうです。同じ画家仲間で友人のジャン=ミシェル・バスキアを描いた「バスキア」で監督デビュー。続く「夜になるまえに」でキューバの亡命作家、レイナルド・アレナスの生涯を壮絶な迫力で描き、ヴェネチア映画祭審査員特別賞を受賞という素晴らしい監督。そんな彼が待望の3作目として描いたのが、“生”。美しい映像が確かに印象的前半はジャン=ドミニク・ボビーの視点で語られていきます。まるで彼と一緒にいるような気になる。彼の想いや大切な人たちへの想いにも遭遇していく。身体は動かなくなったけど、“生きる”ことに目覚めた。生には必ず終わりがある。だからこそ、一度限りの人生を輝かしく、一瞬たりとも無駄にしてはいけないジュリアン・シュナーベル監督はそんなメッセージをこの映画を通じて送っている。
さてジャン=ドミニク・ボビーを演じる俳優はフランス映画界なくてはならない存在、マチュー・アマルリック、「キングス&クイーン」で、気になっていた方です。最近では、スピルバーク監督の「ミュンヘン」といった作品にも出演しています。007シリーズ22作目にも出演が決まっているらしいです。今回のこの役にはあのジョニー・デップも切望したらしいですが。でもこの難役はマチューの方がやはり適役のように思える多分マチューのナチュラルさがはまっていると思うんだけどね。
ジャン=ドミニク・ボビーの父親 マックス・フォン・シドー
あのイングマール・ベルイマン監督と出会い、多くの作品に出演し、国際的に名前が知られるようになる。デヴィッド・リンチ監督作品「砂の惑星」(84)、ウディ・アレン監督作品 「ハンナとその姉妹」(86)、スピルバーグ監督作品「マイノリティ・レポート」(02)、そうそうあの実写版「ハイジ」のおじいちゃん役も彼なのだ。そして何とあのジャッキー・チェン主演の「ラッシュアワー」にも登場していた?らしい。
口には特注の入れ歯を入れて麻痺した表情を出したという。大変でしょうね。
STORY(少し冒頭の文と重複しますが・・・・。)
「潜水服は蝶の夢を見る」の主人公は、パリのファッション誌「ELLE」の編集長だったジャン=ドー、42歳。彼は、超一流の服を着て、超一流の食事と酒を楽しみ、超一流の旅を満喫して、超一流の女と戯れている、そんなちょいワルオヤジだ。だが、ある日、愛車のジャガーを転がして、パリ郊外の(事実婚状態の)妻と暮らす子供たちの元へ遊びに行った帰り、彼の人生は急転直下する。脳梗塞を起こした彼は、左目の瞳と瞼の筋肉としか動かなくなり、左目の視覚と聴覚以外のすべての感覚がマヒしてしまうのだ。
肉体という檻に閉じこめられた“ロックト・イン・シンドローム”という症状に陥り、潜水服を着たような状態になったジャン=ドーは、絶望の淵に落とされるが、蝶のように飛躍できるイマジネーションと記憶を頼りに自伝を書き始める。
美しい言語療法士が苦心の末編みだしたコミュニケーションの手段を使って、綴るわけだ。彼女が「E、S、A、R、I、N……」とフランス語単語の使用頻度順に並べたボードのアルファベットを読み上げる。ジャン=ドーは(聴覚はあるので)欲しい文字の時、2度ウィンクして1文字ずつ選んでいく。そうして20万回のまばたきの果てに完成するのが、ジャン=ドーによる自伝「潜水服は蝶の夢を見る」である
スティーブン・スピルバーグ監督の「ミュンヘン」で謎めいた小男の武器商人ルイを演じたフランス人俳優マチュー・アマルリックは、スピルバーグの右腕である同作プロデューサーのキャスリーン・ケネディに請われて、この難役に挑んだ。ついでながら、美しい言語療法士役のマリ=ジョゼ・クローズも「ミュンヘン」に出演していたし、撮影監督のヤヌス・カミンスキーをはじめとするスタッフはスピルバーグ組で固められている。
映画が感動的なのは、「奇跡の人」のヘレン・ケラーとサリバン先生ではないが、ジャン=ドーと美しい看護師、美しい妻や恋人との苦痛にも似たコミュニケーション法をじっくりと語っているからだろう。まばたき20万回など、狂気の沙汰としか思えない。そしてまた、彼の左目と化したカミンスキーのカメラワークが圧倒的に素晴らしい。
シュナーベル監督はこの映画でゴールデン・グローブ監督賞と外国語映画賞を受賞。また、米アカデミー賞でも監督・撮影・脚色・編集賞の4部門にノミネートされるという快挙を成し遂げた。
シュナーベル監督の信奉者で、前作「夜になるまえに」でボンボンという抱腹絶倒のおかまキャラを演じたジョニー・デップは、07年にもっとも感動した映画としてこの作品を挙げているほどだ。
その秘密を探るべく、現在製作中の007シリーズ最新作「007/クォンタム・オブ・ソラス(Quantum of Solace)」で、ジェームズ・ボンドの敵、ドミニク・グリーン役に抜擢され、今後国際的な活躍が期待される、パリにいたマチュー・アマルリックを電話で直撃した。難役ジャン=ドーを演じた苦労話から、感動のツボとなる脚本やカメラワークについて明かしてくれた。(eiga・comより)
主演のマチューが語ってくれています→こちらです
追記:E、S、A、R、I、N、T~~がいまだに記憶として残っています。何故か?
(続)追記:感想等・・・・。私が仕事でかかわっている人たちもハンデイを持った人たちだ。その多くは先天的な人なので、この主人公のような中途障がいではない。言葉も持たない人、わずかな単語のみという人もある。だからどこまで自分のことを理解しているか?わからないけど。特に突然の病魔によって“ロックト・イン・シンドローム”のような状態に陥ったとき、どこまで当事者が受け入れられ、そして前向きに考えられる人がどれだけいるのだろうか?と・・・・ふと考えてしまった。でもジャン=ドミニク・ボビーの生き方を見て、凄く勇気づけられた人も多いだろうし、病気によって何かのハンディを抱えることになった方、ぜひこの映画を観て欲しいと思う。