銅版画制作の日々

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ポー川のひかり◎Cento Chiodi

2009-09-07 | 映画:ミニシアター


ある日、川をさかのぼってキリストさんがやってきた。
そして廃屋で村人に語り始めるーーー。

9月3日、京都シネマにて鑑賞。午後7時15分からの上映なので、仕事が終わってからシアターへ直行しました。1日2回のみの上映。5日以降は何と1回のみらしい。上映回数が少ないのは困ります。

「木靴の樹」の監督さんの作品だった!何と30年の月日が経っているんですね。カンヌ国際映画祭グランプリに輝いたのですね。観ましたよ。でも忘れてしまっている(汗)
エルマンノ・オルミ監督、今年78歳。本作が映画人生、最後の長編劇映画と位置づけているそうです。今後はドキュメンタリーを撮り続けるという。お元気ですね。生涯現役というのは本当に素晴らしいことです。

 エルマンノ・オルミ監督
映画を撮り始めた頃のように、撮り続けるだろう・・・・。凄いパワフル!!

ポー川。この川はイタリア北部を西から東へ、茫漠とした平原を蛇行し、ゆったりと流れる大河で。古くからイタリアの芸術家に愛されてきたそうです。そのポー川の流域の美しい牧歌的な雰囲気のなかに、監督は現代の寓話を見たのかもしれません。脚本もオルミ監督のオリジナルです。

現代の寓話か・・・。いいですね!映画の中で、時間がゆっくり流れて行いくところが、凄く良いです。
世界のあちらこちらで勃発している戦争、環境の危機に経済危機等・・・・。いい話を聞くことはない現代。病める時代に聖書の世界を通して、人生の豊かさは一体何か?希望のとなるものは?を本作で見つめていこうとしているわけです。


釘がうたれた古文書はあたり一面に・・・・。


司教:書物は忠実な友だ。あれらの書物には“世の英知”が収まっている。

教授:“世の英知”は欺瞞です!!

司教:何を言うのだ!神の言葉は欺瞞か?

教授:神は本など書かない。書物はどんな支配者にも、神にも仕える。

このシーンが印象的でしたね。長いので省略・・・・。

さてSTORYです。

イタリアのボローニャ。夏休みに入った人気のない大学の図書館で大量の古文書が太い釘で床に貫かれるという衝撃的な事件が起きる。容疑者として浮かび上がったのは、事件後に忽然と姿を消した哲学教授(ラズ・デガン)だった。若くして将来を嘱望された彼がなぜこんなことをしたのだろうか?

その頃、教授はあてもなく車を走らせていた。途中で、車も、ジャケットも財布も、ほとんどの物をポー川に投げ捨てる。そして教授は川岸に沿って歩き始めた。やがて朽ちかけた小屋に辿り着く。彼はここを住処にしようと考える。


暮らしに必要なものを買い出た町で、郵便配達の青年ダヴィデにパン屋の場所を教えてもらい、そのパン屋で若い娘ゼリンダ(ルーナ・ベンダンディ)と知りあう。


次の日、廃屋の修理をしていると、配達で通りかかった彼女が声をかけてきた。毎朝通るので何か持ってきてくれると言う。
今度はダヴィデがやってきて、もとは煉瓦工だったと話し、廃屋の修理の手伝いを申し出る。
親切で素朴な村の人々に、自然と教授の顔に笑顔が戻る。
一方ポー川からは教授のジャケットが発見され、警察はZISATUを疑い始めた。

廃屋の近所に、共同生活を営む老人たちがいた。彼らも教授に関心を持ち始める。廃屋の修理にダヴィデがやってくると、老人たちも加わって、立派な家が出来あがった。
いつからか彼らはこの見知らぬ男(教授)のその風貌からキリストさんと呼ぶようになった。


完成の祝杯を交わしながら、老人の一人が《葡萄酒の奇跡》の話をしてほしいと言う。静かに語り始めた彼を、老人たちはじっくりと見つめる。
夜更け、息子が戻ってくる夢を見て、《放蕩息子の帰還》の話を聞きたいとやってきたカルロ。


ゼリンダとキリストさんはいつしか愛し合うように・・・・。

「今まで誰も本気で抱きしめてくれなかった」と打ち明けたゼリンダ。
キリストさんはいつのまにか、彼らにとってかけがえのない人になっていた。

ある日、ポー川流域管理局の職員が訪れ、中流に港を建設すると言い、老人たちに立ち退きを命じる。そういえば、モーターボートで見知らぬ男たちがやってきて測量をしていたのはこのためだったと知る。
老人たちは立ち退き拒否の請願書作成をキリストさんに頼む。彼は自分たちの言葉で作るべきだと言い、ひとり一人の言葉を聴きとっていった。

請願書を出したところ、政府は次の手を打ってきた。国有地の違法占拠を行ったとして罰金を科すというものだった。

追い詰められた老人たちに、キリストさんは唯一残しておいたクレジットカードを差し出す。しかし、それを使うことは教授を探している警察に手掛かりを与えることだった・・・・。

キリストさんの出現で村の人々にひそやかな幸せが訪れ、皆の心も一つになったが・・・。

さてキリストさんはどうなるのか?村の人たちは立ち退かなくても済むのか?


ポー川沿いにあるキリストさんの廃屋・・・・。


オルミ監督、ラズ・デガン、そしてル―ナ・ベンダンディ

撮影は監督の息子さんファビオ・オルミがつとめている。

メディア 映画
上映時間 94分
製作国 イタリア
公開情報 劇場公開(クレストインターナショナル)
初公開年月 2009/08/01
ジャンル ドラマ

「木靴の樹」の名匠エルマンノ・オルミ監督が、自身最後の長編劇映画と位置づけて撮り上げた人生ドラマ。ある日突然過去を捨て、ポー川のほとりの廃屋に暮らし始めた若き哲学教授が、質素な生活と素朴な村人との交流を通して再生していく姿を牧歌的な美しい風景をバックに寓話的に描き、人生と心の豊かさについて改めて観る者に問いを投げかけていく。

 

オフィシャル・サイト
http://po-gawa.net/
 

 

 

Comments (2)
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