原題:The Secret Life Of Bees
京都での上映はないと思って諦めていた作品「リリィ、はちみつ色の秘密」がRCSで公開された。主演はダコタちゃん。天才子役として注目を浴びている彼女も、今年15歳だそうで・・・・。大きくなっちゃった!そんな彼女の10年後は?ぼんやりしたものではなく、今わかっていることは必ず大学に行って、演技も続けているだろうということ。目標はしっかり決めているんだね。ちなみに目標の女優さんはジョディ・フォスター。
嬉しいのは原作者が女性で、監督・脚本も女性のジーナ・プリンス=バイスウッドという女性中心であるところでしょうか。そして製作総指揮はジェイダ・ピンケット=スミス(ウィル・スミスの奥さん)。まさに女性主体の作品だ。そしてそれに付け加え、当時のアメリカの社会問題にも鋭く目を向けている。
物語は1964年のアメリカが舞台である。公民権法の制定が出来て、黒人に選挙権が与えられたのにも関わらず、白人と黒人の平等性の実感は薄いように思える。
そんな1964年のアメリカ、リリィ・オーウェンズ(ダコタ・ファニング)はサウスカロライナ州シルヴァン郊外の桃農園で、父のT・レイ・オーウェンズ (ポール・ベタニー)と暮らしていた。
リリィには、母デボラの悲しい思い出があった、リリィが4才のとき、家出の荷物をまとめるデボラと、それを止めようとする父T・レイが争う光景をクローゼットの中から見ていたリリィは、母が落とした拳銃を拾って渡そうとして、誤って引き金をひいてしまったのだ。
以来10年間、「大好きな母を殺してしまった」という罪の意識を背負いながら生きてきたリリィ。
何よりも辛いことは、乱暴で薄情な父との生活に疲れ、救いを求めたくても大好きな母はいないこと。そしてその母を帰らぬ人にしてしまったのが自分自身だという事実。そんなリリィの人生を一変させる出来事が起こった。それは14歳の誕生日を迎えた夏の日のことだった。
その日、オーウェンズ家で働く黒人家政婦のロザリン(ジェニファー・ハドソン)が選挙権の登録に行った町で白人の嫌がらせにあい、袋叩きにされたあげく、警察へ連行される事件が起きた。ロザリンを助けようとしないT・レイに、怒りと不満をぶつけるリリィ。思わず「ママがいたら」と口走る。そんな彼女に父の冷酷な一言は「ママはお前を捨てて逃げた。死んだ日は、持ち物取りに来ただけだ」
リリィが描いていた優しい母のイメージを覆す、信じたくない言葉だった・・・・。
「母は私を愛していなかったのか?」。心の中で大きな疑問を抱いたリリィは、答えを見つけるために旅に出ようと決意する!
父に書置きを残して家を出たリリィは病院で見張られていたロザリンを連れ出し、旅に出る。目指すはティブロン。デボラの遺品に記された町の名前だった。
真実はこの町行けば分かるかもしれない。淡い期待を胸に、リリィとロザリンはヒッチハイクでティブロンへ向かう。
ティブロンのダイナーで、デボラの遺品にあった黒い聖母像のラベルが貼ったはちみつを見つけるリリィ。そのはちみつを作っている黒人女性の家を訪ねることに。
二人の前に現れたのは、養蜂場とはちみつ作りで一家を支える大黒柱のオーガスト(クィーン・ラティファ)、音楽教師をしているジューン(アリシア・キーズ)、そして料理担当のメイ(ソフィー・オコネドー)のボートライト家の三姉妹だった。
リリィの作り話に疑いながらも、行き場を失ったリリィとロザリンを快くはちみつ小屋に迎え入れるオーガスト。その日からリリィの新しい人生が始まった。
知性と個性豊かなボートライト姉妹との生活はリリィにとって新しい発見の連続だった。
蜂を恐れるのではなく、愛を送ることが大切だと教えてくれるオーガスト。
メイ役のソフィー・オコネドーは「ホテルルワンダ」ではドン・チ―ドルの奥さんを演じた方でした。
ジューンは教師仲間ニ―ルとの恋愛を楽しみながらも、結婚には応じない独立心旺盛な態度。そのジューンに驚くリリィ・・・・。
そして人一倍純粋で繊細な心を持つメイ。双子の妹を失った悲しみに耐えながら生きて来た。そのことを知った時、リリィは、心に喪失の傷を負っているのは自分だけでないことに気付く。
ザックとの出会い。養蜂場の手伝いをする黒人青年ザックと友達になった。将来弁護士になりたいと言うザックに、リリィは作家になるのが夢だと話す。しかしこの二人の友情が思わぬ悲劇をもたらす。二人ではちみつを配達に行った帰りに映画館に立ち寄ったとき、リリィと有色人種席に座ったザックは、踏み込んだ白人の手で外へ引きずりだされてしまう。そしてザックは行方不明となる・・・・。
メイはこのザック事件を知り、「この世の重さに疲れたの」というメモを残し、帰らぬ人に・・・・。
やがてザックは無事に戻るが、リリィは胸の罪悪感を拭うことができず。自分がこの家に災いをもたらす疫病神に違いないと捉われる。
ボートライト家から立ち去ろうとした時、オーガストが話し聞かせた物語。それはリリィの母にまつわる驚くべき真実の物語だった。
オーガストと母デボラの関係が明らかになります。偶然そうに見えましたが、実はこうだったのですね。おそらく、リリィがボートライト家を訪ねた時から、オーガストは気付いていたのかもしれません。偶然ではなく、そうなるべくしたお話のように思いましたが・・・・。それはそれで良いとして、あくまでもリリィの傷ついた心の再生の物語として見つめるべきでしょう。彼女がぶち当たった人種SABETU問題もそうですし、行き場のない、心のよりどころのないリリィを包み込んでくれたボートライト姉妹の寛容さもそうです。そのことがリリィの心の闇を消し去ってくれたのです。夢を語ることが素直に出来たリリィの大きな前進と言えるのではないか?と思いました。
父親T・レイにはポール・ベタニー。エンドロールで名前を見て、彼だと気づきました。こんな顔だったか?嫌な奴でしたが、さすがベタニ―、上手いです。
リリィ・オーウェンズ(ダコタ・ファニング)
もうダコタちゃんと呼ぶのはおかしいよね。現在高校2年生だそうです。演技は見事でした。
オーガスト・ボートライト(クイーン・ラティファ)
現在39歳だそうです。女性ラッパーの第一人者。大きな体で貫禄充分。「ヘアスプレー」での彼女も印象的でした。
3人とも歌手出身♪
スー・モンク・キッドの全米ベストセラー『リリィ、はちみつ色の夏』を、ダコタ・ファニング、クイーン・ラティファ主演で映画化した感動ヒューマン・ドラマ。差別が色濃く残る60年代のアメリカ南部を舞台に、幼少期の悲劇が原因で家族の愛を知らずに育った14歳の白人少女リリィが、ひょんなことからめぐり会った養蜂家の黒人三姉妹との交流を通じて成長していくひと夏の物語を優しい眼差しで綴る。共演はジェニファー・ハドソン、アリシア・キーズ、ソフィー・オコネドー。監督はジーナ・プリンス=バイスウッド。
ジーナ・プリンス=バイスウッド監督
メディア | 映画 |
上映時間 | 110分 |
製作国 | アメリカ |
公開情報 | 劇場公開(FOX) |
初公開年月 | 2009/03/20 |
ジャンル | ドラマ |
http://www.foxsearchlight.com/thesecretlifeofbees/ (英語)
オフィシャル・サイト
http://movies.foxjapan.com/hachimitsu/
追記:製作には奥さんとともにウィル・スミスも関わっています。