バグダッド・カフェ/完全版
12月19日より、京都みなみ会館にて上映。
メタボなドイツ人女性、ジャスミンによって心洗われるバグダッドカフェの人々たち。
そして何と言っても、ジェヴェッタ・スティールが歌う『コーリング・ユー』がこのドラマの情感を駆り立てる。良いですね。
原題はOut of Rosenheim。直訳すると、アウトオブローゼンハイム。つまりドイツのローゼンハイムからジャスミンはアメリカ見物にやって来たというのがタイトルになっているんでしょうね。
さて本作は1987年に公開された西ドイツ映画なのですが、1989年3月に、日本で公開されたのは91分のアメリカ・バージョンだそうです。さらに1994年8月に公開された《完全版》は、アメリカバージョンの30シーン以上のパートでカットが長くなっている108分のヨーロッパバージョンだったとのこと。
そして今回の〈ニュー・デレクタ―ズ・カット版〉は1994年のヨーロッパ・バージョンをベースに、監督が自ら色と構図(トリミング)を調整し直し、2008年のカンヌ国際映画祭で初公開されたものなんですね。
何だかややこしいくらい何度も丁寧に再編集されているのには驚きます。それだけ本作は多くの観客を魅了する素晴らしいものだということが手に取るように感じます。
STORY
アメリカ西部、ラスヴェガスとロサンジェルスを結ぶ長距離道路が通過する砂漠のど真ん中で、ドイツの寂れた田舎町ローゼンハイムから旅行にやって来た夫婦は喧嘩の果てに、妻ジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は夫を残し一人で車を降りた。砂漠に不似合いのヒールと大きなトランクを引きずって歩き続ける。そこからそう遠くない、道路脇にたたずむ寂れたカフェ兼モーテル兼ガス・ステーション。
そこには主人ブレンダ(CCH・パウンダー) が家族にもお客にも不機嫌に怒鳴り散らし、亭主さえも追いだしたところだった。
ジャスミンがやっとの思いで辿り着いたのがその店だ。看板に書かれた文字は、
“BAGDADCAFE”。
ここから2人の女性の物語が始まる。たどたどしい英語で部屋を借りたいと申し出るジャスミンに、喧嘩腰で対応するブレンダ。
この店に集まる人々は、ピアノで一日中バッハを弾き続け自分の赤ん坊の世話もしないブレンダの息子、遊び回っているばかりの娘、働かないバーテンに加え、常連客はといえば、誰とも話をしないTATO職人、ハリウッドから来た画家、ヒッチハイカー、不味いコーヒーを飲みに来る一日数人のトラックドライバーたち・・・・・。変り者だらけが集まった。
黄色の魔法瓶はジャスミンのものだった。
画家のルーディ(ジャック・パランス )はこの魔法瓶から注がれたコーヒーをまずい!と一蹴したくせに、お湯で割って飲んだら「少しマシになった」というところは、ヨーロッパの物に対する皮肉という感じなのでしょうかね。
ルーディ(ジャック・パランス)
2006年に87歳で亡くなられたそうです。
いつも気だるいムードが漂うバグダッドカフェ。だがジャスミンが現れてから、彼女を取り巻く皆の心は癒され始めるのだった。あの不機嫌なブレンダさえも・・・。そしていつしか二人は離れがたい思いに結ばれていくのだが・・・。
ジャスミンのマジックショ―は口コミで人気となり・・・・。
あちらこちらから大勢の人たちが詰めかける。うらぶれたバグダッドカフェは大変身となる。
不思議な力を持つジャスミン。“バグダッドカフェ”には無くてはならぬ存在となっていく。「子どもがいない」身の上で、行き場のない母性をカフェの女主人、ブレンダの子供や孫たちに降り注ぐジャスミンの姿に、彼女の知らない過去にわけありのような雰囲気が漂ったりもするけれど・・・・。ギスギスしたブレンダと相反するジャスミンの大らかで優しい物腰が何とも言えず良い。
観客の目線はやはりブレンダ目線なのか?(いや私だけかも)この不思議なオーラを持つジャスミンに疑いと嫉妬さえ持ってしまう。ブレンダ目線は初めそんな感じだったよね。いつしかそんなジャスミンの持つパワーがブレンダを変えていくところが素晴らしい。
旅の途中、ふとしたことからバグダッドカフェに立ち寄ったジャスミン、ビザが切れたため帰らなくてはならなくなった。そして二人は別れることに。。。。。
ジャスミンが去った後、バグダッドカフェはまた元の静けさに。
と思っていたら、またジャスミンは戻って来たのだ!!再会を喜ぶ2人。
オフィシャル・サイト
<ニュー・ディレクターズ・カット版> http://www.bagdadcafe.jp/
メディア | 映画 |
上映時間 | 108分 |
製作国 | 西ドイツ |
初公開年月 | 1994/ |
リバイバル | →IMAGICA TV-2009.12.5 |
ジャンル |
ドラマ |
「Calling you」 Jevetta Steele 『BAGDAD CAFE』