今日は風が強く、寒さを感じる一日でした。そんな中、聴いていたのがニール・ヤングの4枚目のアルバム、「ハーヴェスト」です。このアルバム、1972年2月に発表され、その年のちょうど今頃の時期にチャートを駆け上がり、ミリオン・セラーとなりました。
ギター、ベース、ドラムス、ピアノのベーシックな演奏に加え、バンジョー、ハーモニカ、スティール・ギター、ストリングスなどの多彩な楽器群を使用していますが、トータルな音はいたってシンプル。アコースティックな、土の香りのするサウンドです。
このニールの4枚目のアルバムは、本来ならライヴ・アルバムとして発表されることになっていたのですが、ブートレッグ(海賊盤)が出回ってしまい、そのあおりを受けて発表はいったん中止され、あらためてスタジオでレコーディングされたものが発表されることになった、という裏話があります。
ニール独特の、丸みを帯びた少し高い声、とても存在感がありますね。優しさと寂しさを感じます。歌詞を見てみるとかなり思索的で、英語が分かるとニールの主張していることがもっとダイレクトに伝わるのになあ、なんてことを思わせられます。
収録されているのは全10曲。その中で耳に残るのは、やはり全米チャートでトップになった「孤独の旅路(Heart Of Gold)」です。"金の心"を探して放浪する男の姿を描いた曲です。力強いアコースティック・ギターのカッティングと、哀愁を帯びたハーモニカが曲を引き立てています。
「歌う言葉」では、ニールの独特の音色のエリクトリック・ギターがまた違った魅力を醸し出しています。
アコースティックなんだけれど、骨太の音楽だなあ。演奏は、激しくはないけれど、しっかりロックしていると思いますね。
バック・ミュージシャンは、いつものクレイジー・ホースではなく、このアルバムのために集められたナッシュヴィルの面々(ストレイ・ゲイターズ)ですが、その演奏はカントリー・フレイヴァーに満ちていて、ニールの歌声とうまく溶け合っているようです。ちなみに、バック・コーラスにはクロスビー、スティルス&ナッシュの三人にジェイムス・テイラー、リンダ・ロンシュタットなどが参加するという豪華版です。
ニール・ヤングは濃くて、とても手応えがありますね。あらためてそう思いました。
やっぱりこのアルバム、ニールの数多い作品の中でもベスト3に入るものだと思います。
◆ハーヴェスト/Harvest
■歌・演奏
ニール・ヤング/Neil Young
■リリース
1972年2月1日
■プロデュース
エリオット・メイザー & ニール・ヤング/Elliot Mazer & Neil Young ①②④⑤⑥⑧⑩
ジャック・ニッチェ/Jack Nitzsche ③⑦
ヘンリー・レヴィー & ニール・ヤング/Henry Lewy & Neil Young ⑨
■収録曲
[side-A]
① 週末に/Out on the Weekend
② ハーヴェスト/Harvest
③ 男は女が必要/A Man Needs a Maid
④ 孤独の旅路/Heart of Gold
⑤ 国のために用意はいいか?/Are You Ready for the Country
[side-B]
⑥ オールド・マン/Old Man
⑦ 世界がある/There's World
⑧ アラバマ/Alabama
⑨ ダメージ・ダン/The Needle and the Damage Done
⑩ 歌う言葉/Words (Between the Lines of Age)
※All songs written by Neil Young
※⑨Live at Royce Hall - UCLA
■録音メンバー
ニール・ヤング/Neil Young (lead-vocals, electric-guitars, acoustic-guitars, piano, harmonica)
[ストレイ・ゲーターズ/Stray Gators ①~⑧,⑩]
ベン・キース/Ben Keith (steel-guitar)
ジャック・ニッチェ/Jack Nitzsche (piano, steel-guitar⑤⑧⑩)
ティム・ドラモンド/Tim Drummond (bass)
ケニー・バトリー/Kenny Buttrey (drums)
[ゲスト・ミュージシャン]
テディ・アーウィン/Teddy Irwin (acoustic-guitar④)
ジョン・ハリス/John Harris (piano②)
ジェームス・マクマホン/James McMahon (piano⑥)
ジェームス・テイラー/James Taylor (banjo-guitar, backing-vocals④⑥)
リンダ・ロンシュタッド/Linda Ronstadt (backing-vocals④⑥)
デヴィッド・クロスビー/David Crosby (backing-vocals⑤⑧)
グラハム・ナッシュ/Graham Nash (backing-vocals⑤⑩)
スティーヴン・スティルス (backing-vocals⑧⑩)
デヴィッド・ミーチャム指揮 ロンドン交響楽団/London Symphony Orchestra Conducted by David Meecham②⑦
■チャート最高位
1972年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス1位、カナダ1位
1972年年間チャート アメリカ(ビルボード)1位