ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ウォーク・ディス・ウェイ (Walk This Way)

2007年04月26日 | 名曲


  最近ではブラッド・ピットが出演したソフトバンクのCM曲に起用されたり、日本テレビ系「踊る!さんま御殿」のエンディング・テーマとして耳馴染みがあるのが、エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」です。「お説教」という邦題がついています。


 アメリカが生んだ最高のロックン・ロール・バンド、と言われるエアロスミスが結成されたのは1970年です。1973年にアルバム「野獣生誕」でデビューすると、その後3年足らずでトップ・バンドにのし上がりました。
 不良っぽい雰囲気と、ラフな音楽スタイルで、かのローリング・ストーンズと並び、ロック少年の憧れの的となります。そういえば、スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーのコンビは、ストーンズのジャガー&リチャーズを髣髴とさせる雰囲気を持っていますね。
 1970年代に全盛期を迎えたエアロスミスですが、1980年代に入るとドラッグ問題やメンバー間の不和などで低迷するようになりました。



エアロスミス『闇夜のヘヴィ・ロック』(1975年)


 「ウォーク・ディス・ウェイ」は、サード・アルバム「闇夜のヘヴィ・ロック」に収録されています。この曲は、1975年にシングル・カットされましたが、当初は単なるローカル・ヒットに終わりました。しかし、1976年11月にバンドの第11弾シングルとして再発されると、これがチャートをじわじわと昇ってゆき、最終的には全米10位の大ヒットとなりました。


 強烈なインパクトを持っている「ウォーク・ディス・ウェイ」、R&Rにファンキーなリズムを採り入れた、「これぞハード・ロック」な曲です。
 一度聴いたら忘れられないシャープなギター・リフ、重厚なバンド・アンサンブル、思わず体が動き出すファンキーなグルーヴ、スティーヴン・タイラーによる研ぎ澄まされたリズム感による歌い回しと、バンドの魅力が詰まっています。現在のライヴでもクライマックスに演奏されることが多いようです。
 けっこう卑猥な歌詞も、やんちゃなエアロスミスらしくっていいですね。



スティーヴン・タイラー(左)とジョー・ペリー


 エアロスミスが低迷していた1986年、ヒップ・ホップ界の重鎮RUN D.M.C.がこの曲をカヴァーし、ビルボードの週間チャートで最高4位を記録する世界的大ヒットを記録しました。この現象に後押しされる形でエアロスミスは第一線にカムバックしたのは有名な話ですね。
 オリジナルでのスティーヴンの歌い方がすでにラップに近かったわけで、もしかするとラッパーたちはそこにヒントを見出していたのかもしれません。「ウォーク・ディス・ウェイ」は、ロックとラップの融合の元祖と言っていいでしょう。
 最近ではカナダ出身でドイツのバンド、ディック・グレイブ・アンド・ザ・バックビーツがこの曲を取り上げ、ハード・ロックとヒップ・ホップにロカビリーのスパイスをふりかけたようなニュアンスでカヴァーしています。



RUN D.M.C.


 1998年に映画「アルマゲドン」のメイン・テーマを手掛けて大ヒットさせたエアロスミスは、2001年にはロックの殿堂入りを果たしました。
 現在、ベーシストのトム・ハミルトンはガンの治療中ですが、バンドはサポート・メンバーを加えて活動を続けています。(追記:2011年にレーザー手術が成功して復帰した)



[歌 詞]
[大 意]
ビビって恋する奴もいて そういう奴はいつも服の下に
自分を隠しているのさ でも
自分がボロボロにならなきゃ なんにも分かりゃしないぜ
そうなってやっと君も 本格的に変わるのさ
俺がリードしてやってもいい なにせ今の俺はホンモノだからな
考えてもみろよ 妹や従妹とだって 愛はキスから始まって
だんだん行くとこまで行くんじゃないか こんな風に…

学校で男の子とシーソーに乗れば 君は両足を上げて
呑気に歌なんか歌っていても 君の体の真ん中の
可愛い子ネコちゃんが まる見えじゃないか
君は気がつかないの?

ところがその子ときた日にゃ 俺の手を取って
「こうやって踊るのよ」などと くだくだ始めやがった
キスだけでよかったのに こんな風に

かなり色っぽい番格の子がいて 
その子がいるせいで相当にツッパったクラスだったぜ
なにしろその子のスカートなんか 膝の上までまくし上げてた
俺はある日三人の女に体育館のロッカー・ルームまで連れて行かれた
俺は劣等生だったからその時まで女の子を知らなかったし
それにちゃんとほかに好きな子がいたんだ 
友だちは言ったね 「あいつらとキスはしなかったろう?」と
当然さ 俺が優しくキスするのは 俺を好いてくれるあの子だけ
こんな風に…



Aerosmith『Walk This Way』



◆ウォーク・ディス・ウェイ/Walk This Way
  ■歌・演奏
    エアロスミス/Aerosmith
  ■シングル・リリース
    1975年8月28日
    1976年11月5日(再発売)
  ■作詞・作曲
    スティーヴン・タイラー & ジョー・ペリー/Steven Tyler & Joe Perry
  ■編曲
    エアロスミス & ジャック・ダグラス/Aerosmith & Jack Douglas
  ■プロデュース
    ジャック・ダグラス/Jack Douglas
  ■録音メンバー
    エアロスミス/Aerosmith
     スティーヴン・タイラー/Steven Tyler (vocal)
     ジョー・ペリー/Joe Perry (guitar)
     ブラッド・ウィットフォード/BradWhitford (guitar)
     トム・ハミルトン/Tom Hamilton (bass)
     ジョーイ・クレイマー/Joey Kramer (drums)
  ■チャート最高位
    1976年週間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)10位
    1976年年間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)90位


コメント (8)
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