ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

スペイン (Spain)

2007年04月17日 | 名曲


 
スペイン(Spain)
■1972年
■リターン・トゥ・フォーエヴァー
 ☆チック・コリア(ep)
 ☆ジョー・ファレル(fl)
 ☆スタンリー・クラーク(b)
 ☆アイアート・モレイラ(drs)
 ☆フローラ・プリム(vo)


 ほとんどテレビを観ないぼくですが、それでも時には観たい番組もあったりして、テレビのスイッチを入れます。
 この間、テレビをつけていた時に、キリン「新・生茶」のCMを観ました。松嶋菜々子さんが出演している、「ありがとう北大路魯山人」ってやつです。このCMのバックに流れていた曲が、ストリングスにアレンジされたチック・コリアの「スペイン」でした。
 この「スペイン」、今やフュージョンのスタンダードになっています。


     
     『ライト・アズ・ア・フェザー』(リターン・トゥ・フォーエヴァー)


 「スペイン」は、チック・コリアの結成したフュージョン・バンド「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の2枚目のアルバム、「ライト・アズ・ア・フェザー」に収録されています。
 「リターン・トゥ・フォーエヴァー」のスペインの冒頭には、「アランフェス協奏曲」の第2楽章がバース(前奏)風に演奏されています。「アランフェス協奏曲」は、スペインの作曲家、ホアキン・ロドリーゴが1939年に作曲したもので、3楽章から成っています。とくに第2楽章は、ポピュラー・クラシックとして編曲されており、「恋のアランフェス」「我が心のアランフェス」などのタイトルで非常に有名です。


     
     『ザ・ベスト・オブ・チック・コリア』


 チック・コリアは「アランフェス」の部分をエレクトリック・ピアノで哀愁たっぷりに演奏しています。バックにはアルコ(弓)で弾かれるウッド・ベースが流れています。
 ジョー・ファレルの吹くフルートで、スパニッシュなテーマが始まります。
 そしてジャズやフュージョンを演る人なら一度は弾いてみたことがあるであろう複雑な「キメ」が、フルート、エレクトリック・ピアノ、ウッド・ベースのユニゾンで奏でられます。この部分、ぼくはウッド・ベースで弾くと冷や汗モノなんですよ。キマればカッコいいんですけれどね。
 この後は、フルート、エレクトリック・ピアノ、ウッド・ベースの順にソロが回されます。エモーショナルで躍動感あふれるソロばかりです。バックで鳴っているラテン風16ビートがとてもスリリング。
 チックがエレクトリック・ピアノを弾いている「フュージョンな曲」にもかかわらず、人間の体温を感じることのできる演奏だと思います。


     
     『チック・コリア・アコースティック・バンド』


 「チック・コリア・アコースティック・バンド」で演奏されている「スペイン」には冒頭の「アランフェス」がありませんが、ピアノ・トリオというシンプルな構成だけに、また違ったスリルを味わうことができます。
 そしてこの曲、チック自身がカヴァーしているのをはじめ、それこそいろんなミュージシャンに取り上げられています。チックのもの以外だと、アル・ジャロウが歌う「スペイン」なんかも好きかな。


 日本茶に「スペイン」の取り合わせ、ミスマッチなようでいて面白いですね。



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コメント (6)
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