ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ムーンライト・セレナーデ (Moonlight Serenade)

2007年10月19日 | 名曲


 
ムーンライト・セレナーデ (Moonlight Serenade)
■作詞…ミッチェル・パリッシュ(1939年)
■作曲…グレン・ミラー(1935年)
■演奏…グレン・ミラー・オーケストラ (Glenn Miller Orchestra)
 
 
 今日はあいにくの曇り空で月を見ることができませんが、澄んだ空気の秋空にかかる月はとてもきれいなものですね。
 ジャズには月に因んだ曲が結構多く、「ブルー・ムーン」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」「ムーン・リヴァー」「ムーンライト・イン・ヴァーモント」、そして「ムーンライト・セレナーデ」などなど多くを数えます。


 今日はなんとなくビッグ・バンドのスウィング・ジャズが聴きたくなって、グレン・ミラー・オーケストラを聴いています。グレン・ミラー・オーケストラのテーマ曲としてあまりにも有名なのが、「ムーンライト・セレナーデ」です。ちなみに「セレナーデ」とは、国語辞典をひいてみると、「愛人の窓の下で聴かせるための甘美な歌曲」とあります。日本語では「小夜曲」と訳されていますね。


     
     『グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ』


 グレン・ミラーがまだトロンボーン奏者兼アレンジャーとしてレイ・ノーブル・オーケストラに在籍していた1935年当時、ジョセフ・シリンガーに師事して編曲法などを学んでいました。この曲はその頃、作曲と編曲の練習のために作ったものだということです。やがてエドワード・ヘイマンが歌詞を書き、「ナウ・アイ・レイ・ミー・ダウン・トゥ・ウィープ(身を投げてすすり泣く)」という歌曲になりました。クラブなどで歌われましたが、当初はまったく注目されなかったらしいです。


 そのあたりのエピソードは、映画「グレン・ミラー物語」でも観ることができます。できたばかりの曲を愛妻にピアノで弾いて聴かせる場面、初演の時の演奏が、ミラーの抱く楽想とまったく違ったものになっていて、聴きに行っていたミラー夫妻がガッカリする場面、などが思い出されます。


     
     グレン・ミラー


 その後ミラーはテンポをスローにし、アレンジにも手を加え、タイトルを変えて1939年にビクターで録音、フランキー・カール作曲の「サンライズ・セレナーデ」とのカップリングで発表したものがミリオン・セラーの大ヒットを記録しました。 間もなくミッチェル・パリッシュが歌詞をつけ、歌曲としても歌われるようになりました。


 サックスなどの木管楽器の柔らかい音色を生かしたテーマは、ちょっぴり甘く、ちょっぴり切ないですね。ブラス・セクションの出す音色はあくまでまろやか。中間部のクラリネット・ソロと、間を縫うように弾かれるピアノがとても印象的です。まさに月の夜、愛しい人の窓の外で優しく奏でられるにふさわしい名曲だと思います。


     
     シカゴ『ナイト・アンド・デイ』


 グレン・ミラー・オーケストラの演奏のほか、フランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルドの歌も有名です。1976年にはボビー・ヴィントンの歌ったものがヒットしました。また、ブラス・ロック・バンドのシカゴが16ビートにアレンジしたものが1997年に発表され、フジテレビ系ドラマ「シングルス」の主題歌に使われましたね。小野リサも1999年にこの曲をカヴァー、これは三菱自動車のCMに使われました。その他、映画「スウィング・ガールズ」の劇中で演奏されていましたし、また近年は、カーリー・サイモンもこの曲を取り上げているようです。今年7月には再び三菱自動車(デリカD:5)のCMに、ブラッドホームズが歌ったヴァージョンが取り上げられました。


【ムーンライト・セレナーデ】
私は君の家の戸口に立って 
月の光を歌う
私は6月の夜に 
君が手を差し伸べてくれるのを待つ
バラはそっとため息をつく 
ムーンライト・セレナーデ



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コメント (6)
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