♪お気に入り映画
■陽のあたる教室 [Mr. Holland's Opus]
■1995年 アメリカ映画
■監 督
スティーブン・ヘレク(Stephen Herek)
■音 楽
マイケル・ケイメン(Michael Kamen)
■出 演
リチャード・ドレイファス(Richard Dreyfuss)/グレン・ホランド
グレン・ヘドリー(Glenne Headly)/アイリス・ホランド
ジェイ・トーマス(Jay Thomas)/体育教師ビル・マイスター
オリンピア・デュカキス(Olympia Dukakis)・/ヘレン・ジェイコブズ校長
ウィリアム・H・メイシー(William H. Macy)/ジーン・ウォルターズ副校長
アリシア・ウィット(Alicia Witt)/少女時代のガートルード・ラング
ジョアンナ・グリースン(Joanna Gleason)/ガートルード・ラング知事
テレンス・ハワード(Terrence Howard)/ルイス・"ルー"・ラス
ジャン・ルイサ・ケリー(Jean Louisa Kelly)/ロウィーナ・モーガン
ニコラス・ジョン・レナー(Nicholas John Renner)/6歳のコール・ホランド
ジョセフ・アンダーソン(Joseph Anderson)/15歳のコール・ホランド
アンソニー・ナタール(Anthony Natale)/28歳のコール・ホランド
アレクサンドラ・ボイド(Alexandra Boyd)/サラ・オルムステッド先生
デイモン・ウィテカー(Damon Whitaker)/ボビー
バルサザール・ゲッティ(Balthazar Getty)/スタドラー
【注意…ネタバレあります】
いったい何をもって人生の成功と言うのでしょうか。もちろん価値観は人それぞれだから、成功の意味も人それぞれ違ってくるでしょうね。
ここに一人のミュージシャンがいます。音楽の道だけで生活してゆくことが厳しいため、不本意ながら教師として高校に勤め始めます。いずれ素晴らしい作品を書きあげたら、教師をやめて音楽に専念することを夢見ながら。
ホランド先生(R・ドレイファス)
しかしホランド先生(リチャード・ドレイファス)の夢はついに叶わず、高校を退職する日が来ます。在職中の30年間は、思い通りに勉強しようとしない生徒たちに頭を痛め、私生活を優先させたいにもかかわらず教師としての職務に時間を取られ、組織の利益を最優先させる石頭の副校長(W.C. マーシー)に絶望し、やっと授かった子供は聴覚障害を持っていたことから精神的な葛藤に苦しむという、波乱続きの日々でした。
さて、彼の人生は失敗に終わったのでしょうか?
ガートルードとホランド
ホランド先生は、大きな劣等感を持つガートルード(アリシア・ウィット)という少女に自信を持たせたことがきっかけで、次第に教師としての責任に目覚めます。対立していた校長(オリンピア・デュカキス)からものちには厚い信頼を得るほどになります。
ジェイコブズ校長とホランド
心から職務に打ち込むことができるようになった頃、息子コールが生まれます。聴覚障害を持っているコールとは意思の疎通が思うようにゆかず、そのために父と子の間に深い溝が生まれてしまいます。
妻アイリスとホランド
また天性の歌の才能を持った少女ロウィーナ(ジャン・ルイサ・ケリー)と出会い、お互いに惹かれ合うようになります。そして、自分の未来を試すことを決意したロウィーナからは、一緒にニューヨークへ行こう、と懇願されます。
苦労して音楽の楽しさを教えた、フットボール部のスターだったルー(テレンス・ハワード)はベトナムで戦死、ホランドは無力感を味わいます。
ロウィーナとホランド
ホランドはとても人間くさく描かれていて(だから共感できるのですが)、問題が起きるたびに自分を見失いそうになるのだけど、最後は必ずその問題と向き合います。そして妻アイリス(グレン・ヘドリー)や、無二の親友となる体育教師のビル(ジェイ・トーマス)などに支えられながら、自らの努力でそれを解決しようとするのです。
親友の体育教師ビルとホランド
コールとの父子の絆を取り戻し、ロウィーナの前途を心配しつつも、妻アイリスと育んできた夫婦の愛を取り戻そうとします。階段を一段ずつ上がるように、自らもひとつずつ成長を続けていくわけです。
コールの前で手話を交えながらジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」を歌うシーンがあります。はっきり言ってホランドの歌は下手でした。しかしあんなに感動した「下手な歌」を聴いたのは初めてでした。
ホランドの愛息コール
さて、教育費用のカットを目論む教育委員会の方針で、ホランドはやむなく退職せざるを得なくなります。アイリスと、今は聾学校の先生となっているコールとともに、寂しく学校から立ち去ろうとしたその瞬間、ホランドは講堂からざわめきが聞こえるのに気づきます。
いや~、この後のシーンにはとても感動しました。だから、あっさり粗筋を書くのが惜しいような気もするんですよね。
ご存知の方も多いとは思いますが、そうです、講堂ではホランド先生の送別集会が開かれようとしていたのです。そしてそこに来賓として現れたのが、今や州知事になっている、あの劣等感でいっぱいだった少女ガートルードなのです。
彼女のスピーチの抜粋を書いておこうと思います。
「先生は自分の人生を誤ったとお考えかもしれません。たしかに先生は富も名声もありませんが、それで自分を人生の失敗者とお考えならそれは大きな間違いです。
先生はここにいる全員の人生に触れ、より良い人間に育ててくれました。私たちが先生の『交響曲』であり『作品のメロディ』であり、『先生の人生の音楽』なのです。
先生は富や名声を越えた成功を収められたのです」
ホランドとガートルード・ラング知事
そして、最後にホランド自らの手で初演される、長年あたためてきた自作「アメリカ交響曲」の感動的なこと!
「人生における成功」の意味を考える時、たかが映画ではあっても、このガートルードのスピーチはそのひとつの答えになりうると思います。
そしてぼくは、この答えが映画の中だけのものでないことを示すことができれば、とも思っています。
最後に付け加えておくと、映画の中に散りばめられている60~90年代のポップスの数々、それらが劇中のそれぞれの時代を感じさせてくれています。
■陽のあたる教室 [Mr. Holland's Opus]
■1995年 アメリカ映画
■監 督
スティーブン・ヘレク(Stephen Herek)
■音 楽
マイケル・ケイメン(Michael Kamen)
■出 演
リチャード・ドレイファス(Richard Dreyfuss)/グレン・ホランド
グレン・ヘドリー(Glenne Headly)/アイリス・ホランド
ジェイ・トーマス(Jay Thomas)/体育教師ビル・マイスター
オリンピア・デュカキス(Olympia Dukakis)・/ヘレン・ジェイコブズ校長
ウィリアム・H・メイシー(William H. Macy)/ジーン・ウォルターズ副校長
アリシア・ウィット(Alicia Witt)/少女時代のガートルード・ラング
ジョアンナ・グリースン(Joanna Gleason)/ガートルード・ラング知事
テレンス・ハワード(Terrence Howard)/ルイス・"ルー"・ラス
ジャン・ルイサ・ケリー(Jean Louisa Kelly)/ロウィーナ・モーガン
ニコラス・ジョン・レナー(Nicholas John Renner)/6歳のコール・ホランド
ジョセフ・アンダーソン(Joseph Anderson)/15歳のコール・ホランド
アンソニー・ナタール(Anthony Natale)/28歳のコール・ホランド
アレクサンドラ・ボイド(Alexandra Boyd)/サラ・オルムステッド先生
デイモン・ウィテカー(Damon Whitaker)/ボビー
バルサザール・ゲッティ(Balthazar Getty)/スタドラー
【注意…ネタバレあります】
いったい何をもって人生の成功と言うのでしょうか。もちろん価値観は人それぞれだから、成功の意味も人それぞれ違ってくるでしょうね。
ここに一人のミュージシャンがいます。音楽の道だけで生活してゆくことが厳しいため、不本意ながら教師として高校に勤め始めます。いずれ素晴らしい作品を書きあげたら、教師をやめて音楽に専念することを夢見ながら。
ホランド先生(R・ドレイファス)
しかしホランド先生(リチャード・ドレイファス)の夢はついに叶わず、高校を退職する日が来ます。在職中の30年間は、思い通りに勉強しようとしない生徒たちに頭を痛め、私生活を優先させたいにもかかわらず教師としての職務に時間を取られ、組織の利益を最優先させる石頭の副校長(W.C. マーシー)に絶望し、やっと授かった子供は聴覚障害を持っていたことから精神的な葛藤に苦しむという、波乱続きの日々でした。
さて、彼の人生は失敗に終わったのでしょうか?
ガートルードとホランド
ホランド先生は、大きな劣等感を持つガートルード(アリシア・ウィット)という少女に自信を持たせたことがきっかけで、次第に教師としての責任に目覚めます。対立していた校長(オリンピア・デュカキス)からものちには厚い信頼を得るほどになります。
ジェイコブズ校長とホランド
心から職務に打ち込むことができるようになった頃、息子コールが生まれます。聴覚障害を持っているコールとは意思の疎通が思うようにゆかず、そのために父と子の間に深い溝が生まれてしまいます。
妻アイリスとホランド
また天性の歌の才能を持った少女ロウィーナ(ジャン・ルイサ・ケリー)と出会い、お互いに惹かれ合うようになります。そして、自分の未来を試すことを決意したロウィーナからは、一緒にニューヨークへ行こう、と懇願されます。
苦労して音楽の楽しさを教えた、フットボール部のスターだったルー(テレンス・ハワード)はベトナムで戦死、ホランドは無力感を味わいます。
ロウィーナとホランド
ホランドはとても人間くさく描かれていて(だから共感できるのですが)、問題が起きるたびに自分を見失いそうになるのだけど、最後は必ずその問題と向き合います。そして妻アイリス(グレン・ヘドリー)や、無二の親友となる体育教師のビル(ジェイ・トーマス)などに支えられながら、自らの努力でそれを解決しようとするのです。
親友の体育教師ビルとホランド
コールとの父子の絆を取り戻し、ロウィーナの前途を心配しつつも、妻アイリスと育んできた夫婦の愛を取り戻そうとします。階段を一段ずつ上がるように、自らもひとつずつ成長を続けていくわけです。
コールの前で手話を交えながらジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」を歌うシーンがあります。はっきり言ってホランドの歌は下手でした。しかしあんなに感動した「下手な歌」を聴いたのは初めてでした。
ホランドの愛息コール
さて、教育費用のカットを目論む教育委員会の方針で、ホランドはやむなく退職せざるを得なくなります。アイリスと、今は聾学校の先生となっているコールとともに、寂しく学校から立ち去ろうとしたその瞬間、ホランドは講堂からざわめきが聞こえるのに気づきます。
いや~、この後のシーンにはとても感動しました。だから、あっさり粗筋を書くのが惜しいような気もするんですよね。
ご存知の方も多いとは思いますが、そうです、講堂ではホランド先生の送別集会が開かれようとしていたのです。そしてそこに来賓として現れたのが、今や州知事になっている、あの劣等感でいっぱいだった少女ガートルードなのです。
彼女のスピーチの抜粋を書いておこうと思います。
「先生は自分の人生を誤ったとお考えかもしれません。たしかに先生は富も名声もありませんが、それで自分を人生の失敗者とお考えならそれは大きな間違いです。
先生はここにいる全員の人生に触れ、より良い人間に育ててくれました。私たちが先生の『交響曲』であり『作品のメロディ』であり、『先生の人生の音楽』なのです。
先生は富や名声を越えた成功を収められたのです」
ホランドとガートルード・ラング知事
そして、最後にホランド自らの手で初演される、長年あたためてきた自作「アメリカ交響曲」の感動的なこと!
「人生における成功」の意味を考える時、たかが映画ではあっても、このガートルードのスピーチはそのひとつの答えになりうると思います。
そしてぼくは、この答えが映画の中だけのものでないことを示すことができれば、とも思っています。
最後に付け加えておくと、映画の中に散りばめられている60~90年代のポップスの数々、それらが劇中のそれぞれの時代を感じさせてくれています。