我が家は朝日新聞を購読しているのですが、昨日は朝刊の社会面を見てビックリしました。
あのレッド・ツェッペリンが一夜限りの再結成ライヴを行う、という記事が掲載されていたのです。
朝日に勤務している知人が、「これを掲載せずしてどうするか」とばかりに上層部とかけあって記事にしたそうなんですが、スポーツ紙の芸能面ならともかく、一般紙の社会面にロック・バンドの記事が載るなんて、ひと昔前までは考えられなかった快挙ですよね。
朝日新聞 レッド・ツェッペリン再結成コンサートの記事
などという感慨にひたりながら思い出したのが、少し前に、ろ~ずさんや、黒マニキュアのママさん、オンデン1970さんなどが紹介して下さっていた「わが青春のロック黄金狂時代」という本の存在です。いずれは買おうとは思っていたのですが、ツェッペリンの記事で勢いのついた昨日、さっそく買いに行ってまいりました。
この本は角川SSC新書から発行されています。173ページで756円。著者は東郷かおる子さん。10代~20代の頃に「ミュージック・ライフ(以下ML)」誌を愛読していたぼくにとっては、馴染みのある懐かしい名前です。そう、彼女は1979年から90年までML誌の編集長を務めていたんですね。
編集者としての始まりがロック黄金期の始まりと重なっていたという東郷さんが、ML誌編集部に配属されてから関わってきたさまざまなロック・ミュージシャンとの邂逅を編年体方式で綴っています。
出てくるのは、グランド・ファンク・レイルロード、レッド・ツェッペリン、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、サンタナ、エリック・クラプトン、クイーン、レインボウ、キッス、チープ・トリック、ロッド・スチュアート、エアロスミス、ヴァン・ヘイレン、デヴィッド・ボウイ、ジョン・レノン、マイケル・シェンカー、エリック・カルメン、ミック・ジャガー、ボン・ジョヴィなどなど、1970~80年代にロックにどっぷり浸かっていた人たちならばヨダレの出そうなミュージシャンばかりです。彼らのバック・ステージでのエピソードが存分に語られています。
東郷かおる子さん(左) 右はリッチー・ブラックモア
東郷さんが体当たりでインタビューしたこれらミュージシャンの数々ですが、一貫して言えるのは、東郷さん自身がロックに浸る喜びを知っていて、彼らに対しても根底には愛情と敬意を持っている、ということです。ミュージシャンたちに注ぐ眼差しも、ちょっとミーハーがかかっているところが微笑ましいですね。
しかし奇人変人の集まりとも言えるロック・ミュージシャンたちからは、その奇行で悩まされもします。でも、困りはしても批判がましい言葉は出てこなくて、それらをも含めてロックに関わっていられた喜びがにじみ出ていると思います。
ロックが生まれ育った60年代、それがさらに発展した70年代、熟成してゆく80年代、それらを東郷さんは「面白かった時代」、「そりゃあスリル満点だった」などと書いています。バラエティに富んだバンドの数々が雨後の筍のように出現していた当時は、まさに目が離せなかった時代だったのでしょうね。そして、「今、人生の折り返し点に立ち、あの時代を素直に『面白かった、楽しかった』と笑顔で言える、かつてのロック少年は多分、幸せな人だ」とも述べています。東郷さんと同じく60~80年代(後追いではありますが)のロックに馴染んだぼくにとっては、おおいに頷ける言葉です。
難しい音楽論とは対極にある、楽しい本です。まるで以前のML誌の囲み記事が満載、といった風情で、1時間ほどで気軽に読み終えることができますよ。
◆わが青春のロック黄金狂時代
ビートルズからボン・ジョヴイまで
■著者
東郷かおる子
■発行所
角川SSコミュニケーションズ (角川SSC新書)
■第1刷発行
2007年10月30日