「スーパー・トリオ」。
ぼくは、このアルバムは、メンバーの顔ぶれを見ただけで買ってしまいました。
タイトルにはひねりがないとは思うけれど、そこはそれだけで人の目を引くだろうというレコード会社の自信なのでしょうね。
少なくともメンバーは「看板に偽りなし」です。
キース・ジャレットやハービー・ハンコックらと並ぶ、現代ジャズ・ピアノ最高峰のひとりであるチック・コリア、文句なしのトップ・ベーシストであるクリスチャン・マクブライド、名前にかけて「GOD」とも呼ばれる名ドラマー、スティーヴ・ガッド。
この3人が集まるとどのようなサウンドになるのか、ピアノ・トリオ好きのぼくとしては興味を抑えることができませんでした。
クリスチャンのベースの音色は黒っぽくて太く、生きたビートでバンドをぐいぐいと引っ張っています。
16ビートや8ビート系でのセッションが多いスティーヴのドラミングは正確さでは定評があるところですが、4ビートのスウィング感も素晴らしく、よく歌っています。
そして、このふたりの相性がとてもいいと思うのです。
チック・コリアのピアノって、ぼくの中では好きな部分と苦手な部分がはっきり分かれています。とくに、フュージョン系の音楽で目立つ計算されたような緻密さというか、幾何学的な硬い雰囲気は今でもあまり好きになれません。
でも、このアルバムでのチックのピアノは、勢いは相変わらずながら、心なしか穏やかさがあるというか、柔らか味を帯びているようです。緊張感と温かさがのブレンドがほどよい、という感じ。名手ふたりの鉄壁のバックに乗って安心して弾いているのでしょう。だから聴いていて気持ち良かったです。
収録曲も、『スペイン』をはじめ、『ハンプティ・ダンプティ』、『マトリックス』、『ウィンドウズ』など、チック・ファンには馴染みのあるものばかり。
ただ、『スペイン』が曲の途中でフェイド・アウトして終わっているのはとっても残念です。
すでに60歳を超えているチックですが、へんに枯れておらず、チックらしいフレーズ満載で、以前のままのアグレッシヴな雰囲気にやや穏やかさの加わわったかのようなプレイを聴くことができました。
クリスチャンの正統的かつ驚異的なベース、スティーヴの精密ながらも痛快なドラミング、そしてこの3人の創造的な融合も存分に味わうことができました。
◆スーパー・トリオ/Super Trio Corea/Gadd/McBride
■演奏
チック・コリア/Chick Corea (piano)
クリスチャン・マクブライド/Christian McBride (bass)
スティーヴ・ガッド/Steve Gadd (drums)
■リリース
2006年3月
■録音
2005年4月3日 テキサス州オースティン、ワン・ワールド・シアター
■プロデュース
チック・コリア/Chick Corea
■レーベル
ストレッチ/Stretch
■収録曲
① ハンプティ・ダンプティ/Humpty Dumpty
② ザ・ワン・ステップ/The One Step
③ ウィンドウズ/Windows
④ マトリックス/Matrix
⑤ カルテット#2 Part1/Quartet #2 Part1
⑥ シシリー/Sicily
⑦ スペイン/Spain
※All songs composed by Chick Corea
■戦場のピアニスト [The Pianist]
■2002年 ポーランド・フランス合作
■監督…ロマン・ポランスキー
■音楽…ヴォイチェフ・キラール
■出演
☆エイドリアン・ブロディ(ウワディスワフ・シュピルマン)
☆トーマス・クレッチマン(ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉)
☆フランク・フィンレイ(シュピルマンの父)
☆モーリン・リップマン(シュピルマンの母)
☆エド・ストッパード(ヘンリク・シュピルマン)
☆ジェシカ・ケイト・マイヤー(ハリーナ・シュピルマン)
☆ジュリア・レイナー(レジーナ・シュピルマン)
☆エミリア・フォックス(ドロタ)
☆ルース・プラット(ヤニナ)
☆ミハウ・ジェブロスキー(ユーレク)
☆ロイ・スマイルズ(イサク・ヘラー) etc・・・
戦争がもたらす不幸のひとつは、人間の尊厳が徹底的に踏みにじられることだ。あるいは、人間が、同じ人間の尊厳を惨たらしく踏みにじることだ、とも言えるだろう。その最悪の例のひとつが、ナチス・ドイツが行った、ユダヤ人に対する大量虐殺(ホロコースト)である。
この作品は、ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ(ウワディク)・シュピルマンが、第二次世界大戦(1939~1945)中に、ナチス・ドイツ占領下のポーランドで体験した恐怖の日々を映画化したものだ。
ウワディスワフ・シュピルマン(1911~2000)
1939年9月にポーランドを占領したナチス・ドイツは、対ユダヤ人政策を強化する。ダビデの星のついた腕章の着用強制をはじめ、所持金額、立ち入り場所、就職、教育、結婚などの制限など、ありとあらゆるところでユダヤ人を迫害してゆく。そのうえ激しい「ユダヤ人狩り」を行うのだ。逮捕するのに理由はない。ただユダヤ人だから、というだけだ。逮捕されたユダヤ人の行く先は、収容所である。
ユダヤ人たちは、1940年には居住地さえも制限されるようになる。
劇中では、シュピルマン一家が強制的に移住させられたワルシャワ市内のゲットー(ユダヤ人居住区)の極限状態が生々しく描かれている。
ゲットーと一般区域の間には壁が造られるが、この壁にはユダヤ人の命を絶望のふちに追いやるかのような残酷さがある。
ゲットー内には、略奪、搾取はおろか、同じユダヤ人を「売って」まで生き延びようとする人もいれば、人間の尊厳をかけてナチスに抵抗しようとする人もいる。
その中でひっきりなしに襲ってくる飢えの恐怖と、ナチスによる「選別」の恐怖。ナチスの軍人たちはユダヤ人の人間性など認めていないのだ。
これらの悲惨な様子は、この映画でメガホンを取ったポランスキー監督の実体験も反映されている。シュピルマンと同じユダヤ系ポーランド人のポランスキー監督には、ゲットーでの生活と、そこからの脱出の経験がある。
1942年8月、ゲットーの大半の人間は、悪名高いトレブリンカ絶滅収容所へ送られる。この時シュピルマンの家族も移送列車に詰め込まれるが、シュピルマンは友人の助けによって、ゲットーに残る。
静まり返ったゲットーの中には殺された同胞の遺体や荷物類が散乱しているだけである。その中を力なく泣きながら歩くシュピルマンの姿を観ると、もはや言葉も出ない。
その後シュピルマンはゲットーを脱出する。隠れ家に身を潜めているとはいえ、見つかれば一巻の終わりなのだ。死の恐怖に怯える毎日。そんな中でシュピルマンが人間らしくいられたのは、ひとえに音楽に対する思いだったのだろう。
ある時は隣室から聴こえるピアノに耳を澄まし、ある時は隠れ家に置いてあったピアノを見て、音楽に対する思いをはせる。そして、廃墟と化した病院に隠れながらも、頭の中で鳴っている音楽に合わせて指を動かすシュピルマン。
自分がこういう極限状態にあったとしたらどうだろう。愛するものの存在を大切に胸にとどめておくことができるだろうか。
1943年4月のワルシャワ・ゲットー蜂起の場面
1944年8月、ワルシャワ蜂起。ポーランド人たちはナチス・ドイツに対して反乱を起こすが、20万人以上の犠牲を出したうえ、ワルシャワ市内はほとんど破壊される、という悲惨な結果に終わった。廃墟と化したワルシャワ市内の中にシュピルマンがただひとり彷徨っているさまは、凄惨でさえある。
この時に身を隠した建物の中で、シュピルマンはドイツ軍の大尉に出会うのだ。
大尉に発見されたシュピルマンは死を覚悟したことだろう。
しかし大尉は静かにいくつかの質問をシュピルマンに投げかけ、シュピルマンがピアニストだと知ると、「何か弾いてみろ」と命ずる。
シュピルマンは半ば怯えながらピアノの前に座る。少しためらったのち、鍵盤に指を置くシュピルマン。しかしいったん弾き始めると、全身全霊をピアノに込める。曲はショパンの「バラード第1番ト短調 作品23」である。
大尉が立ち去ったのちシュピルマンは嗚咽をもらす。まだ生きていられる安堵感なのか、再びピアノを弾くことができた喜びなのか。おそらくその両方なのだろう。
もしこの映画が、「ユダヤ人の命を助けたドイツ軍大尉」という美談仕立てになってしまっていたら、感動も半減したと思う。そういうドイツ軍人がいたからといって、それはナチス・ドイツの犯罪に対する免罪符にはならないからである。
大尉とシュピルマンにまつわるエピソードは、人間と人間のひとつの邂逅だと捉えるべきだと思う。大尉の名前が劇中では出てこないことの理由も、大尉をひとりの人間として描こうとしているからではないだろうか。(実際に名乗らないままだったかもしれないけれど)
映画の終わり近くで、ソ連軍に拘束された大尉が、偶然通りかかったシュピルマンの友人(彼もユダヤ人として囚われていた)に、「私はシュピルマンを助けた。彼に私を救って欲しいと伝えてくれ」と必死で頼むシーンがある。大尉の運命を思うと、胸の痛むシーンである。
戦後シュピルマンは手を尽くして大尉の行方を探したそうだが、大尉は1952年にソ連の捕虜収容所で亡くなっている。
この大尉の名は、ヴィルム・ホーゼンフェルト。
大尉の人間らしい振る舞いは、ナチズムに凝り固まっていたSS(ナチス親衛隊)の所属ではなく、軍人としての誇りを持つ国防軍の軍人であったこと(国防軍の内部にはヒトラーを軽蔑している者がかなりいた)、平時には教職に就いていたことなども関係があるのかもしれない。
大尉がシュピルマンに別れを告げる時に言った「生きるも死ぬも神のご意思だ。そう信じなくては」という言葉、これも大尉がナチズムに毒されていなかったことの証明だ。当時のドイツのキリスト教会の教義は、ナチズムに都合のよいようにねじ曲げられていたにもかかわらず、きっと大尉は神の前に謙虚な人間でい続けたのだろう。
人間として立派に振舞う大尉に出会ったことはシュピルマンの幸運であり、大尉がドイツ軍人だったことは大尉にとっての不運だったとも言えるかもしれない。
この作品の重みは、シュピルマン役のエイドリアン・ブロディの抑えた演技や、大尉役のトーマス・クレッチマンの威厳のある素晴らしい演技はもちろん、ゲットー内の大勢のユダヤ人役のエキストラの存在によるところも大きいと思う。
また、ゲシュタポの残虐さ、ゲットー内のユダヤ人の蜂起、ワルシャワ蜂起などの様子が、シュピルマンの視線で描かれているため、描写がドキュメンタリーを見ているかのような真に迫ったものになっている。
ひとつだけ注文があるとすれば、ポーランド人同士、ユダヤ人同士の会話が英語でなされていることだ。ここはやはり、ポーランド語やイディッシュ語を使って撮影して貰いたかった。
第二次世界大戦前のポーランドのユダヤ人の人口は推定約330万人。そのうち終戦時に生き残っていた者は、推定わずか30万人だったという。ヨーロッパ全体でも、約600万人(ヨーロッパのユダヤ人の67%)のユダヤ人が殺されたそうである。
この作品は、歴史の貴重な証言だと思う。
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『伝説のチャンピオン』。
ここ最近、「聴かない日はない」と言ってもいいくらいよく耳にする曲だ。
車やテレビのCMなどに使われているし、カヴァー・ヴァージョンもいくつかあるようだ。
この曲が収められているアルバムが、『世界に捧ぐ』である。
ぼくの同級生に「ヤヨイちゃん」という、ちょっと可愛いコがいた。クラスが違っていたのでほとんど話をしたことはなかったけれど、ヤヨイちゃんが自他ともに認めるクィーン・ファンだということはなんとなく知っていた。
その頃のロック好きな友達の間では、「○○君はストーンズが好きらしいぞ」とか、「△△さんはポール・マッカートニーのファンなんだって」なんていう話をしたりしてもいたから、たぶん誰かから「ヤヨイちゃんはクィーンのファンだ」ということを聞いていたのだろう。
その頃の洋楽では、エアロスミスとかキッス、イーグルスなどがよく聴かれていたが、ぼくもヤヨイちゃんと同じくクィーンがお気に入りだったし、廊下ですれ違う時など、ヤヨイちゃんが恥ずかしそうにニッコリしてくれたことも何回かあったから、よけい気になっていたのだと思う。
ある日、教室の入り口で誰かがぼくを呼ぶ声かした。なんだろう、と思って行ってみると、ヤヨイちゃんがモジモジしながら友だちと立っている。可愛いコがそんな風にしてぼくを呼びにきたら、誰だってちょっとは期待するじゃない?
その時のぼくも「もしかして」なんて思ったんだけど、ヤヨイちゃんは恥ずかしそうに、「MINAGIくん、クィーンの『世界に捧ぐ』、聴いた?どうだった?」とぼくに訊ねただけだった。内心ちょっとガッカリしたけれど、ひとしきりクィーンについてあれこれと話してみた。
思えば、ヤヨイちゃんと会話らしい会話をしたのは、それが初めて最後だったと思う。彼女とは、何年か経って、街のレコード店で偶然会ったきりで、それからは今に至るまで二度と会う機会がない。「ヤヨイちゃんはMINAGIくんのこと気に入ってたみたい」ということを聞いたのも、だいぶあとになってからのことだ。
『世界に捧ぐ』を聴くと、こんなことが思い出される
フレディ・マーキュリー(vo,pf) ブライアン・メイ(g)
クィーンの『シアー・ハート・アタック』、『オペラ座の夜』、『華麗なるレース』の3枚には好きな曲がぎっしり詰まっていたので、『世界に捧ぐ』が発売された時、ぼくはまっしぐらにお店に走り、乏しい小遣いをはたいたものだった。
クィーンは、『華麗なるレース』までは、華やかなギター・オーケストレイションとクラシカルなコーラス・ワークを前面に出して、イギリスのバンドらしい重厚さを出していたので、ぼくは、『世界に捧ぐ』にもその路線を期待していた。
しかし聴いてみると、なるほど『伝説のチャンピオン』や『永遠の翼』などの曲はたしかに従来のクィーンらしさに満ちているように思ったが、全体的には異質な感じがして、正直言ってちょっとあてが外れたような気分だった。1曲目の『ウィ・ウィル・ロック・ユー』からして、今までとは全く雰囲気の違う曲だったから。
その異質さは、きっとクィーンの見せた新たな面から感じたものだと思う。
パンクっぽいハード・ロックの『シアー・ハート・アタック』や『秘めたる炎』、また、それまでのクィーンにはない新しい感覚のヘヴィ・ロックである『ウィ・ウィル・ロック・ユー』や『ゲット・ダウン・メイク・ラヴ』などの曲では、当時破竹の勢いだったニュー・ウェイヴに敏感に反応しながら、豪快にROCKしている。
今このアルバムを聴いてみると、これらのサウンドは、さらに進化しようとするクィーンの意欲の表れのように受け取ることもできる。
『ウィ・アー・ザ・チャンピオンズ(伝説のチャンピオン)』や、挑戦的な『ウィ・ウィル・ロック・ユー』といった曲のタイトルからも、クィーンの4人の自信に満ちた様子が窺えるではないか。
ロックが本来持っているパワーを存分に見せつけながらも、南欧風味の『恋のゆくえ』、ブルース・ナンバーの『うつろな人生』、シンプルだけれど美しいバラード『オール・デッド』、正統派ハード・ロックの『イッツ・レイト』、スタンダード・ジャズのような雰囲気を持つ『マイ・メランコリー・ブルース』など、相変わらず多彩な内容でクィーン・ワールドを形作っている。
ジョン・ディーコン(b) ロジャー・テイラー(drs)
このアルバムの中でとくにぼくの好きな曲は、『伝説のチャンピオン』『イッツ・レイト』『オール・デッド』などだろうか。
ただ、最初は違和感を覚えた『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は、今では結構好きな曲となっている。そういえばこの曲、ジャズ・シンガーのケイコ・リーもカヴァーして、ちょっとした話題になってたっけ。
今夜は『世界に捧ぐ』を聴きながら、ヤヨイちゃんのことをもう少し思い出してみるのもいいかもしれない。
◆世界に捧ぐ [News Of The World]
■歌・演奏
クイーン/Queen
■リリース
イギリス1977年10月28日、日本1977年11月25日
■プロデュース
クイーン、マイク・ストーン/Queen, Mike Stone
■録音メンバー
【Queen】
フレディ・マーキュリー/Freddie Mercury (piano, vocal①~⑤,⑦,⑨~⑪, cowbell⑨)
ブライアン・メイ/Brian May (guitar, vocal④⑧, maracas⑨)
ジョン・ディーコン/John Deacon (bass, acoustic-guitar⑨)
ロジャー・テイラー/Roger Taylor (drums, vocal⑥, bass③⑥, guitar③⑥)
■収録曲
[Side-A]
① ウィー・ウィル・ロック・ユー/We Will Rock You (May)
② 伝説のチャンピオン/We Are The Champions (Mercury) ☆全米4位、全英2位
③ シアー・ハート・アタック/Sheer Heart Attack (Taylor)
④ オール・デッド/All Dead, All Dead (May)
⑤ 永遠の翼/Spread Your Wings (Deacon) ☆全英34位
⑥ 秘めたる炎/Fight From The Inside (Taylor)
[Side-B]
⑦ ゲット・ダウン・メイク・ラヴ/Get Down, Make Love (Mercury)
⑧ うつろな人生/Sleeping On The Sidewalk (May)
⑨ 恋のゆくえ/Who Needs YOu (Deacon)
⑩ イッツ・レイト/It's Late (May) ☆全米74位
⑪ マイ・メランコリー・ブルース/My Melancholy Blues (Mercury)
☆=シングル・カット
■チャート最高位
1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)3位、イギリス4位、日本2位
1978年年間チャート アメリカ(ビルボード)29位、日本(オリコン)47位
今日は朝からオリヴィア・ニュートン・ジョンを聴いています。
爽やかな5月の朝に合う音楽をかけたかったので、オリヴィアの初期ベスト・アルバム(『アーリー・オリヴィア』)をCD棚から引っ張り出してきたんです。
透明感のあるきれいな歌声が、澄んだ空気に気持ちいい。
かつて朝の情報番組で流れていた『カントリー・ロード』が大ヒットしたこともあって、ぼくには「オリヴィアの歌には朝が似合う」というイメージがあるんです。
オリヴィアは清楚な雰囲気に満ちた美貌の持ち主でもあり、ぼくはウットリしたものでした。
彼女は、ぼくの子供時代のアイドルだったんです。
1966年にイギリスでデビューしたオリヴィア・ニュートン・ジョンの長い歌手生活の中でよく知られているのは、ジョン・トラボルタと共演した映画『グリース』、ELOと共演した『ザナドゥ』、ダンス・ミュージックを大胆に取り入れた『フィジカル』などですが、ぼくが一番好きなのはアメリカでのデビュー(1971年)から『グリース』(1977年)以前までのオリヴィアです。
初期はカントリー・フレイバーあふれる歌を歌っていたオリヴィアには、どこか土の香りのする、ナチュラルな雰囲気がありました。オーストラリア育ちで、動物好きということも、そのイメージに拍車をかけたのだと思います。
デビュー当初は、ボブ・ディランの『イフ・ノット・フォー・ユー』やジョージ・ハリスンの『美しき人生』、クリス・クリストファースン作でジャニス・ジョプリンが歌った『ミー・アンド・ボビー・マギー』など、カントリー・アンド・ウェスタンにポップ・ロックをミックスしたような明るい曲が多かったような気がします。
1970年代中頃には、ソフトでメロウな良質のポップスをたくさん歌っていますが、ナチュラルで透明感のある美しい歌声は、この時期の曲にとてもよく似合っているような気がします。
とくに『そよ風の誘惑』は、タイトル通りやわらかな風かそっと吹き抜けていくような気持ちよさに満ちた名曲だと思います。
少しせつなくて、より澄み切ったアコースティックなバラードの『愛の告白』も忘れることができません。
ジョン・デンヴァー作の『カントリー・ロード』も、よくギターを弾きながら歌ったし、『ジョリーン』や『レット・ミー・ビー・ゼア』は深夜放送でよくオン・エアされていたような記憶があります。いずれも、オリヴィアのレパートリーの中では大好きで、よく聴いた曲です。
当時は、洋楽女性シンガー・ファンの中では「オリヴィア・ニュートン・ジョン派」と「リンダ・ロンシュタット派」の二大勢力があり、雑誌などでもそのふたりを対比させる形で紹介している記事が多かったようです。
ぼくは、最初はもちろん「オリヴィア派」だったのですが、どことなく悪女っぽくて、愛らしいタヌキ顔のリンダのこともすぐ好きになりました(もちろん歌も含めて、です)。
今になって思いますが、われながら節操がないですねえ。。。(;^ω^)
オリヴィアの祖父はノーベル賞を受賞したドイツの物理学者、マックス・ボーンであることはよく知られていますが、彼女が歌手活動のほかに動物愛護や環境問題などにも大きな関心を寄せているのは、こうしたことも無関係ではないのかもしれません。
アメリカでは、社会問題にも積極的に発言する大スターは珍しくありませんが、オリヴィアのそうした姿勢も、まだコドモだったぼくの目には眩しく映りました。
1992年には乳ガンの手術を受けてファンを心配させましたが、1994年には見事にカムバック。
2000年のシドニー・オリンピック開会式で「Dare to Dream」を歌うなど、以後も着実に歌手として活動しているようです。
年齢を重ねても、とても魅力的なオリヴィア。
まだまだ彼女の歌を待っているファンも多いようですね。
もちろん、ぼくもそのうちの一人です。
【2022.8.10追記】 2022年8月8日、オリヴィア・ニュートン=ジョンは、がんのため73歳で死去しました。
♪今日の空。いい天気です。(^^)
ほんとにいい天気ですね~。+。:.゜ヽ(*´∀`)ノ゜.:。+゜
なんとなく気分も晴れ晴れします。
連休だし、天気はいいしで、きっと今日はあちこち人出で賑わうでしょうね。(ヒトデで賑わったらちょっとコワいな。)
ぼくは去年から多少体調を崩しているのですが、それ以来まだ本調子ではないので、今年のゴールデン・ウィークはとくに予定も入れず、のんびり過ごすつもりでいます。
でも、引きこもるなら引きこもるで、やりたいことってあるんですよ。
じっくり本を読みたいし、時間の許す限りDVDで映画を観たい。
もちろん音楽にも浸りたい。
ブログもこの際だから凝りまくって、ワケわからんくらい思い切りコムズカしい記事を書いてみたりして・・・(これはウソです ワハハ)(^^;)
元気があったらだけど、部屋の模様替えなんかもいいかもしれない。
凝った料理を作ってみるのもいいし、
古本屋巡りや中古CDショップ巡りもしてみたい。
あ、そうだ、友人がカフェをオープンしたばっかりなんだ。覗いてみたいな。
それから、一日くらいは、わりと近くの小高い山の中にある遊歩道の散策もしてみたいです。我が家から歩いて行けるところにその遊歩道の入り口があるんですが、その道は数キロにわたって続いているので、ちょっとした遠足気分が味わえるんですよ。
こうしてみると、半分引きこもるつもりでいても、結構楽しみなことがありますね。おかげで、とても「充実した引きこもり」が満喫できそうです。(^^)
相棒たち。長い付き合いです。
そして忘れてはならないベースの練習。(^^;)
体調が良くないと気力も失せがちです。体調のこともあって今はライブの回数を減らしているんですが、練習の時間まで減ってしまったせいで、マメで固まっていた指先が、ここのところ柔らかく戻りつつあるんです。これはベース弾きとしてはとてもマズイ! 指先はいつもマメで固めておかないと、演奏に差し支えるのです。
というわけで、先週あたりから集中的に練習しています。再びマメを固めなければならないので、とにかくガムシャラに弾いています。あんまりムチャ弾きをすると腱鞘炎になったりするのですが、一刻も早く指先を固めておきたいんです。
でも、その甲斐あって、再び指先が硬くなってきたので、少し安心。それに、せっかく少し気力が戻ってきているので、この連休中は楽器と戯れる時間を増やして、愛器ともっとコミュニケーションを取ることにします。やっぱり相棒ですからね。気持ちがいつも通じ合うようにスキンシップに励みます。
これはこれで楽しいことなんですよ。
指先のマメ。これがあると安心。
あ~、なんだか引きこもるのが楽しくなってきちゃったな~ でも、果たして本当にこんなことでいいのかなあ・・・。(;^ω^)
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テレビをほとんど観ないぼくですが、時間のある時は欠かさず観ている数少ない番組が、「探偵!ナイトスクープ」です。
関西発のバラエティー番組らしく、アホらしさ満点。(^^)
視聴者から寄せられたさまざまな依頼を、「探偵局」の探偵たちが徹底追跡・調査し、真相を解明するというもので、日常に潜むいろんな(しょーもない)謎を解き明かすのはもちろん、追跡調査、珍奇なお願いなど、毎回爆笑依頼のオン・パレードです。
「探偵局局長」の西田敏行さん、「秘書」の岡部まりさんが司会進行役で、それに毎週「顧問」役としてゲストのタレントさんが加わります。
探偵役として、桂小枝さんをはじめ、石田靖さん、松村邦洋さん、北野誠さん、間寛平さん、長原成樹さん、竹山隆寛さんらが名を連ねていて、それぞれが持ち味を生かした名(迷?)探偵ぶりを発揮してくれます。関西の番組らしく、歴代の探偵役は、関西在住のタレントが務めていることが多いかな。ちなみに前局長は、あの上岡龍太郎さんでした。
今までぼくが観た中で印象に残っているのは、
■お父さんが家の前に植えた桜の老木。嬉しい時も悲しい時も子供の頃からずっと自分を見守ってくれたこの桜の樹が道路拡張工事で切り倒されることになったので、なんとか桜の樹を救ってほしい、というのが依頼者のお嬢さんの頼みです。
市役所に陳情に行ったけれど色よい返事は貰えず、そのうえ番組が頼んだ樹医軍団がそろって「もうこの木自体弱ってます」というつれない診断。そこで、最後に桜の下で思い出話をしながら花見をしたい、という依頼者の頼みに、番組と桂小枝探偵が桜を思い切りライトアップ。可愛いお花見弁当をつくってきた依頼者がライトアップされた桜の樹をみた瞬間、感極まって涙をこぼすシーンは見ているこちらも感動の嵐。依頼者のお嬢さんがすっごく感じのいい方だったのも◎だったけれど、最後の花見に市役所の職員もやってきて、木の移植を約束してくれて、ハッピーエンドに終わったのもよかった。笑いと涙の感動編でした(^^)。
■トラックの『バックします』というアナウンスが『ガッツ石松』に聴こえる、というもの。これには笑った。
■ルー大柴さんが、大好きだった死んだおじいちゃんに瓜ふたつなので、ぜひ家に来て一日だけ娘のためにおじいちゃんになってほしい、というあるお母さんからの依頼も印象深いです。中学生だったか高校生だったかの女の子が、ほんとうにおじいちゃんを好きだったことが垣間見えて感動しました。最後はその子もお母さんも涙、涙。ルー大柴の目も潤んでいたなあ。これも泣ける一編でした。
■道路は朝渋滞して通勤にすごく時間がかかるので、川を下って出勤したい、という依頼もありました。結局ムチャクチャに遅刻して会社に着き、上司からすごく叱られて、気の毒やらおかしいやら・・・(;^ω^)
■爆発卵。これは単純だったけどキョーレツでした。電子レンシで殻ごと加熱してゆで卵を作り、殻をむいて食べようとする瞬間に爆発する、というもの。みんなのリアクションがサイコーです!(・∀・)もう腹の皮がよじれるかと思った。
■阪神タイガースにいたラインバックに会いたい、という依頼。実はラインバック氏は不慮の事故で亡くなっていたんです。依頼者はお墓に甲子園球場の土をかけ、最後には泣き崩れていました。これも涙なくしては観られないものでした。
■関東出身で、就職で大阪に来た依頼者の、大阪人に関する疑問。
①若く見えますね、というと「アホやから」と答える。
②おばちゃんは嬉しい時に相手を叩く。
③指をピストルのようにして、相手を撃つマネをすると、みんな倒れてくれる。
④自分の着ている服は安い、と自慢する。
③では、みんな「ウッ、やられた~」とノリよく撃たれたのに爆笑!
■辻学園調理専門学校の「林繁和先生モノ」も面白さ満点。なにせ依頼のあったとんでもないものを次々に料理していくんです。食材は、母乳、ナメクジ、ドブ貝、靴(!)などなど、ゲテモノばかり。はてはマンホールの蓋で巨大ワッフルを作ったり。それらを食べられるように調理してしまう林先生の腕もすごいです。
タニシの卵でスパゲティーを作ったら、タニシ研究家「ドブの味がします」。タルトを作ったら、依頼者「甘いドブの味がします」;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ブッ
林 繁和さん
アホらしさ、おかしさ満点ですけど、依頼者たちはみな大マジメ、探偵たちも知恵をしぼって依頼者の期待に応えようとするところがいいんですよね。
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探偵ナイトスクープVol.1&2 Vol.3&4
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