ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

イーグルス (Eagles)

2007年04月13日 | ミュージシャン
 
♪お気に入りアーティスト55


 ぼくが初めて聴いたイーグルスの曲は「ホテル・カリフォルニア」でした。曲そのものも気に入ったし、後半に聴かれる見事なツイン・リード・ギターにも惚れ惚れしたものです。
 その頃のぼくはビートルズをはじめ、クィーンなどのブリティッシュ・ロックや、初期のシカゴが好きだったので、イーグルスにもゴリゴリのロックのイメージを求めました。イーグルスのファンだった同級生から初期のアルバムを借りて聴いてみたのですが、思っていたのとちょっと違うなぁ、というのが正直な感想で、それ以上はイーグルスを聴いてみようとは思いませんでした。


     
     「ホテル・カリフォルニア」


 何年かして、アメリカン・ロックの魅力に気づいたぼくは、ドゥービー・ブラザーズなどを好んで聴くようになっていました。イーグルスを再び聴いてみたのはそれからのことです。
 最初に聴いた時はアコースティックな音が軟弱に思えたものですが、改めて聴いてみると、曲はいいし、コーラス・ワークはぶ厚くてきれいだし、派手さはないけれどタイトなグルーヴを発しているし、なによりつまらないとしか思えなかったアコースティックな響きが爽やかに感じることができたんです。アコースティックなサウンドだからといって軟弱なわけじゃないんですよね。


 イーグルスはもともとはリンダ・ロンシュタットのバック・バンドだったのですが、独立してデビューし、すぐに「テイク・イット・イージー」をヒットさせます。メンバーはグレン・フライ(vo,g)、バーニー・レドン(g,vo,banjo)、ランディ・マイズナー(vo,b)、ドン・ヘンリー(vo,drs)の四人。とくに初期のイーグルスはバーニー・レドンの影響がとても大きく作用しているようです。バーニーのもつC&W色がイーグルスのアコースティックな部分を支えているように思います。実際、バーニーの脱退前と脱退後では、サウンドの質が違っています。


     


 ドン・フェルダー(g,vo)、ジョー・ウォルシュ(g,vo)らが加わり、バーニーが脱退すると、いっそうロック色を強めるイーグルスですが、西海岸サウンドの放つ香りは持ち続けます。
 フェルダー&ウォルシュのツイン・リード・ギターや、ドン・ヘンリーの色気のあるハスキー・ヴォイスばかりが目立ちがちですが、メンバー全員がヴォーカルを取れるほど歌がうまく、そのコーラス・ワークはイーグルス・サウンドの中でも重要な部分を占めていることを見逃すわけにはいかないと思います。
 また、ベースのランディ・マイズナーは、派手なテクニックこそありませんが、「呪われた夜」や「ホテル・カリフォルニア」「駆け足の人生」などで聴かせてくれるグルーヴィーなベース・ラインはイーグルスの魅力のひとつではないでしょうか。


     
 ぼくが好きなイーグルスの曲は、
「ならず者」(デスペラード)、「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」、「呪われた夜」、「ホテル・カリフォルニア」、「駆け足の人生」などです。どちらかといえばロック色の強いものが多いかもしれませんね。


     
     再結成後のイーグルス


 1994年に再結成したイーグルスは、その後はマイ・ペースで活動を続けています。2004年には来日して話題になりましたね。
 もう一度くらい来日してくれないかなあ。



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ボブ・ディラン グレイテスト・ヒッツ第2集

2007年04月12日 | 名盤


 もし英語が堪能なら、ボブ・ディランを聴く時にはもっと違った感慨が生まれていただろうな、と思う。
 文学的なディランの歌詞は、ノーベル文学賞にノミネートされたこともあるそうだが、たしかに訳詞を読んでみると、よく噛み締めて読めば読むほど深く掘り下げることのできる、思索的で比喩に満ちた、イメージ豊かなものだと思う。
 プロテスト・ソングを歌っていただけあって、メッセージ色の濃い歌もたくさんある。あるいは聖書から引用した宗教的な内容を含んでいたりする。
 せっかくの味わい深い歌詞なのに、英語が分からないばかりにディランの主張が訳詞なしにはダイレクトに伝わってこないのはなんとも残念だ。


 特に革新的でもないディランの歌が崇拝されているのは、自己に忠実な、まるで自画像のような歌を作り、それをストレートに吐き出しているからだろう。
 荒れた高校に赴任した教師の、生徒とのふれあいを描いた映画「デンジャラル・マインド」では、(僕の大好きな)ミシェル・ファイファー演じるルアン先生が、落ちこぼれている生徒たちにボブ・ディランの詞を課題として出している。麻薬、銃、犯罪と隣り合わせの世界に生きている生徒たちの心を解きほぐすきっかけとなる詞、それは「ミスター・タンブリンマン」だった。





 今日は春の陽気に満ちていたけれど少しばかり気分が重く、なぜかディランの曲が聴きたくなった。
 精神的に疲れていたのか、飾りたてた音楽よりは、骨太でシンプルな音楽に、なんとなく気持ちを委ねたかったのだ。
 「癒されたい」とかそういうのではなくて、重い気分を音楽と共感したかった、とでも言ったらいいのか。。。
 フォーク・ブルースに根ざしたディランの曲は泥臭く、そして歌は人間の持つ温かみにあふれている。
 このベスト・アルバムは、エレクトリック・ギターの入ったフォーク・ロックも入っているが、アコースティック・ギターとハーモニカが中心のシンプルな曲も多い。





 ディランの曲は他のミュージシャンにカヴァーされると、不思議に輝きを増す。このベスト・アルバムに入っている21曲の中で、カヴァーされたものを聴いたことがあるものが意外と多かった。
 「ウォッチング・ザ・リヴァー・フロウ」はガッド・ギャングが4ビートで洗練されたノリの良いブルージーな4ビート・ジャズに仕立てている。「マイ・バック・ペイジズ」はキース・ジャレットやコジカナツルがエネルギーに満ちたゴスペル・ロック風にアレンジしている。「見張り塔からずっと」はジミ・ヘンドリックスやデイヴ・メイスンの名演で有名だ。「イフ・ノット・フォー・ユー」はオリヴィア・ニュートン・ジョンがC&W風にリメイクしている。「アイ・シャル・ビー・リリースト」はザ・バンドが感動的な演奏を聴かせてくれる。そのほか、バーズやプレスリー、ジュディ・コリンズなど多くのミュージシャンがディランの曲を取り上げている。
 ディランの曲は、オリジナルでも充分魅力があるが、カヴァーされるとオリジナルにはない新たな輝きを見せてくれる。


 ちょっと重い気分だったのだけれど、ディランの語りかけるような歌と、ハートフルなハーモニカを聴いているうちに、次第に気持ちが楽になった今日の午後だった。






◆グレイテスト・ヒッツ第Ⅱ集/Bob Dylan's Greatest Hits Vol.Ⅱ
  ■歌・演奏
    ボブ・ディラン/Bob Dylan (vocals, guitar, harmonica) 
  ■リリース
    1971年11月17日(アメリカ)
  ■録音
    1962年~1971年
  ■プロデュース
    ジョン・H・ハモンド、トム・ウィルソン、ボブ・ジョンストン、レオン・ラッセル/John H. Hammond, Tom Wilson, Bob Johnston, Leon Russell
  ■収録曲
   [Disc 1・・・side A]
    ① 河の流れを見つめて/Watching The River Flow
    ② くよくよするなよ/Don't Think Twice, It's All Right
    ③ レイ・レディ・レイ/Lay Lady Lay
    ④ メンフィス・ブルース・アゲイン/Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again
   [Disc 1・・・side B]
    ⑤ アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト/I'll Be Your Baby Tonight
    ⑥ オール・アイ・リアリー・ウォント/All I Really Want To Do 
    ⑦ マイ・バック・ペイジズ/My Back Pages
    ⑧ マギーズ・ファーム/Maggie's Farm
    ⑨ 今宵は君と/Tonight L'll Be Staying Here With You
   [Disc 2・・・side A]
    ① シー・ビロングズ・トゥ・ミー/She Belongs To Me
    ② 見張塔からずっと/All Along The Watchtower
    ③ マイティ・クィン/The Mighty Quinn (Quinn, The Eskimo)
    ④ 親指ト
ムのブルースのように/Just Like Tom Thumb's Blues
    ⑤ はげしい雨がふる/A Hard Rain's A-Gonna Fall
   [Disc 2・・・side B]
    ⑥ イフ・ノット・フォー・ユー/If Not For You
    ⑦ イッツ・オール・オーヴァー・ナウ、ベイビー・ブルー/It's All Over Now, Baby Blue
    ⑧ 明日は遠く/Tomorrow Is A Long Time
    ⑨ マスターピース/When I Paint My Masterpiece
    ⑩ アイ・シャル・リリースト/I Shall Be Released
    ⑪ どこにも行けない/You Ain't Goin' Nowhere
    ⑫ ダウン・イン・ザ・フラッド/Down In The Flood
    ※all songs written by  Bob Dylan
  ■チャート最高位
    1972年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)14位、イギリス12位
    1972年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)51位




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愛にさよならを (Goodbye To Love)

2007年04月11日 | 名曲

 
 1983年にカレン・カーペンターが亡くなってからも愛され続けているレパートリーの数々を誇るカーペンターズ。
 TBS系のドラマ「未成年」で「トップ・オブ・ザ・ワールド」や「青春の輝き」が使われたことでブームが再燃、ベスト・アルバムが100万枚以上の売り上げを記録しました。この時にカーペンターズを知ったファンも多いようで、「来日はしないのか?新アルバムはいつ出るのか?」という質問がレコード会社に相次いだそうです。


 カーペンターズの曲で好きなものはたくさんありますが、その中でもぼくが一番好きなのが、この「愛にさよならを」です。高校の時に友人の家で聴かせてもらった曲です。ロック好きなぼくにはこれが合うんじゃないかな、と言われて聴かせてもらった覚えがあります。その通り、この曲のギター・ソロのカッコよさにはマイってしまいました。


     
     「ア・ソング・フォー・ユー」(カーペンターズ)


 リチャードの弾くピアノとカレンの歌だけでシンプルに始まります。歌の間を縫うようなオーボエの美しいオブリガードが雰囲気を盛り上げます。きれいなストリングスとコーラス・ワークも聴き逃せません。そして、さりげない転調がしゃれています。
 アレンジはもちろんリチャードだと思いますが、音を詰め込みすぎない、過不足のない自然なサウンドに仕上げていると思います。リチャードのセンスのよさと音楽性の幅広さが伺えます。
 そして中間部とエンディングで聴かれるトニー・ペルーソによるギター・ソロ、これが実にメロディアスでカッコいいんです。ポップなカーペンターズの曲の中では珍しく音を歪ませてロックしまくっているギター・ソロです。
 イージー・リスニング調のバラードにファズで歪ませたギター・ソロを持ち込むというアイデアを出したのはリチャードでした。当時その発想の斬新さについていけなかったメディアや評論家たちの反応は否定的でしたが、今ではこの曲はパワー・バラードのはしりだと言われており、高く評価されています。


     


 この曲は息継ぎをするのがとても難しいうえに、メロディーがとても起伏に富んでいるのでかなりの技術がないと歌い切れませんが、歌のうまいカレンは難なく歌いこなしています。しかしさすがのカレンもこの曲に限っては10回近く歌い直してようやくOKをもらったんだそうです。
 それにしてもこのようなバラードにはカレンの澄んだ声はピッタリ合いますね。


     


 今でもCDが売れ続けているカーペンターズ。カレンの死後、リチャードは「代わりのヴォーカリストを探せばいいじゃないか」と多くの人に言われました。しかしリチャードは「カレンが一番素晴らしい声の持ち主だ」とガンとしてそれを拒み続けているそうです。

 

[歌 詞]

[大 意]
愛にさよならをしましょう 私が生きようと死のうと誰も気にしないわ
今までに何度も恋のチャンスは私の前を通り過ぎていき
私が知っているのは愛なしで生きていく方法だけ
とても見つけられそうにないわ

だから一人で生きていかなければならないと心に決めたのよ
簡単な事じゃないけれど充分分かっているつもりよ
愛にさよならするのは・・・

この心にはもう明日なんてないの 時がたてばこの苦い記憶もきっと消えて
私も知るわ 信じてついてゆける人や生きがいにどこかで出会えると

長い年月空しく探し続けてきたけど ついに終着駅に着いたわ
寂しさと空虚な日々だけがこれから私の唯一の友達になるのよ
今日からは恋など忘れ 精一杯生きていくわ

未来のことなど誰にも分かりはしない
運命の車輪がどこで止まるかは誰にも分からない
私が間違っていたと知る時がくるかもしれないけれど
でも今歌っているのはこの私よ

そしてこれは愛への別れの言葉 愛にさよならしましょう
 

 
 
 
◆愛にさようならを/Goodbye To Love
  ■リリース
    1972年6月19日
  ■収録アルバム
    ア・ソング・フォー・ユー/A Song For You(1972年)
  ■作詞・作曲
    リチャード・カーペンター & ジョン・ベティス/Richard Carpenter & John Bettis
  ■プロデュース
    ジャック・ドーアティー/Jack Daugherty
  ■録音メンバー
   [カーペンターズ]
    カレン・カーペンター/Karen Carpenter(lead-vocal, backing-vocals)
    リチャード・カーペンター/Richard Carpenter(piano, electric-piano, organ, backing-vocals, orchestration)
   [ゲスト・ミュージシャン]
    トニー・ペルーソ/Tony Peluso(electric-guitar)
    ジョー・オズボーン/Joe Osborn(bass)
    ハル・ブレイン/Hal Blaine(drums, percussion)
    アール・ダムラー/Earl Dumler(oboe)
  ■チャート最高位
    1972年週間チャート アメリカ(ビルボード)7位、イギリス9位、日本(オリコン)55位
    1972年年間チャート アメリカ(キャッシュボックス)72位、イギリス78位



「愛にさよならを」カーペンターズ (日本武道館 1974年)

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悲しみのアンジー (Angie)

2007年04月10日 | 名曲

 
 リズム&ブルースを源流として、黒人音楽をリスペクトしているローリング・ストーンズのレパートリーからはちょっと異色と言えるかもしれないバラードです。バラードと言えば「愚か者の涙」なんかも好きなんですけれどね。
 「アンジー」は1973年に全米1位となる大ヒットを記録しています。
 

 アンジーとはいったい誰でしょう。
 ミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイは親友でもありますが、その当時のボウイ夫人であるアンジェラのことを歌ったものだ、という噂が流れたのはあまりにも有名ですね。もしそれが本当なら、この曲は第二の「レイラ」だと言えそうですが、事実はそうではないらしく、この「アンジー」というタイトルもキース・リチャーズが考えたものだそうです。
 「アンジー」とはきっと、みんな誰もが心の中で熱く思う相手のことではないでしょうか。
 ちなみに、キースの娘ダンデライオンは、この曲がリリースされた何年か後に「アンジェラ」と改名したそうです。


     


 美しいアコースティック・ギターで始まるこの曲、歌いだしの「アエンジィ」と呼びかける歌声がとてもせつなく響きます。日頃やんちゃなミックが心をこめて歌うバラードだけに、よけいに物悲しく聴こえるのでしょうか。ニッキー・ホプキンスの弾くピアノがとてもロマンティック。曲後半のストリングスがいっそうこの曲をしっとりとしたものにしています。


 「アンジー」は、録音場所であるジャマイカの名物料理をタイトルにした「山羊の頭のスープ」というアルバムに収録されています。
 また、フジテレビ系のドラマ「フェイス」の主題歌としても使われていましたね。
 最近(2002年)では、ヨーロピアン・ジャズ・トリオがこの曲をカヴァーしているそうですが、ジャズにアレンジされた「アンジー」、いったいどういう仕上がりになっているか聴いてみたいです。


     
     「山羊の頭のスープ」(ローリング・ストーンズ)


     
     「悲しみのアンジー」(ヨーロピアン・ジャズ・トリオ)



[歌 詞]
[大 意]
【悲しみのアンジー】
アンジー アンジー
あの雲はいつになったらなくなるだろうか
アンジー アンジー
ぼくたちはこれからどこへ行くのだろうか

心に愛もなく
上着には金もなく
ぼくたちに不満はないなんて言えないね

アンジー アンジー
ぼくたち,頑張らなかった訳じゃないだろ

アンジー 君はきれいだ
でもそろそろ別れた方がいいね
アンジー まだ君を愛している
ぼくたちが泣いたあの夜を覚えているかい

ぼくたちが夢見た夢は全部
煙みたいに高く上って行くみたいだった
君の耳元で囁かせてくれ

アンジー アンジー
ぼくたちはこれからどこへ行くんだろう

アンジー 泣かないでくれるか
君のキスは今でも甘い
君の目にあるその悲しみは見たくない

でもアンジー アンジー
もうそろそろ別れるときが来たんじゃないか?

心に愛もなく
上着には金もなく
ぼくたちに不満はないなんて言えないね

でもアンジー まだぼくは君を愛している
どこをみても君の目が浮かぶ
君に勝てる女なんていやしない
さあ, 涙をふくんだ

アンジー アンジー
生きているっていいことじゃないか
アンジー アンジー
ぼくたち頑張らなかったなんて言わせないよね。




悲しみのアンジー/Angie
■歌・演奏
  ローリング・ストーンズ/Rolling Stones
■収録アルバム
  山羊の頭のスープ/Goats Head Soup (1973年)
■シングル・リリース
  1973年8月20日
■作詞・作曲
  ミック・ジャガー/Mick Jagger & キース・リチャーズ/Keith Richards
■プロデュース
  ジミー・ミラー/Jimmy Miller
■録音メンバー
 *ローリング・ストーンズ
  ミック・ジャガー/Mick Jagger(vocal,backing-vocal)
  キース・リチャーズ/Keith Richard(acoustic-guitar)
  ミック・テイラー/Mick Taylor(acoustic-guitar)
  ビル・ワイマン/Bill Wyman(bass)
  チャーリー・ワッツ/Charlie Watts(drs)
 *ゲスト
  ニッキー・ホプキンス/Nicky Hopkins(piano)
■チャート最高位
  1973年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス5位、日本(オリコン)26位
  1997年週間チャート 日本(オリコン)61位
  1973年年間チャート アメリカ(ビルボード)85位



ローリング・ストーンズ『悲しみのアンジー』


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ザ・ビートルズ (The Beatles "White Album")

2007年04月09日 | 名盤


  アルバム・ジャケットは、いたってシンプルな真っ白(そのため通称"ホワイト・アルバム"と呼ばれています)ですが、それに反して内容はとても多彩な作品です。
 ハード・ロック、カリプソ、フォーク、バラード、アバンギャルド、ボードビル、ブルース、ロックンロール、カントリー、ジャズなどなど、いろんな種類の曲が30曲も詰め込まれています。
 「散漫な内容である」との批評もよく見かけます。たしかに統一感はやや薄いものの、それ以上にメンバーそれぞれのパーソナリティや、バラエティに富んでいるビートルズの音楽性が存分に発揮されているので、グレードの高い小品集という趣きが感じられるアルバムになっていると言えるのではないでしょうか。むしろ、彼らの才能の豊かさに驚かされるばかりです。


     
 
 
 この頃、バンドのイニシアティヴはポールが取っており、それに嫌気がさしたリンゴは録音中にスタジオを離れてしまいます。冷静さを取り戻したリンゴが一週間後にスタジオに戻ると、愛用のドラム・セットの上に「出戻り歓迎」のメッセージと花束が飾られていた、という話が残っています。
 この話からは、結束の堅さを誇っていたビートルズの中にこの頃から亀裂が生じ始めていたことが伺えます。しかし、メンバー間にヒビ割れが生じても、これだけのアルバムを作ることができるんですね。


 このアルバムの中でぼくが好きなのは、
 エリック・クラプトンの泣きのギターが聴かれる「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」、楽しさいっぱいのカリプソ風の曲「オブラディ・オブラダ」、場面展開が劇的な「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」、アコースティック・ギターが美しい「ブラック・バード」「マザー・ネイチャーズ・サン」、フォーク・ロック調のラヴ・バラード「アイ・ウィル」、ブルース・ロックの「ヤー・ブルース」、ハードなロックンロールの「バック・イン・ザ・USSR」「バースデー」、ヘヴィ・メタルのはしりのような「ヘルター・スケルター」、テナー・サックス4本とバリトン・サックス2本のアンサンブルがカッコいい「サヴォイ・トラッフル」などです。
 これらの多彩な曲群の曲順には必然性があると思います。しっくりくるんですね。このアルバムの構成はこうでないと、という意思が見える気がします。


 このアルバムもビートルズらしい遊び心と実験的精神に満ちていると思います。



◆ザ・ビートルズ/The Beatles
  ■歌・演奏
    ビートルズ/Beatles
  ■リリース
    1968年11月22日
  ■プロデュース
    ジョージ・マーティン/George Martin
  ■収録曲
   [side-A]
    ① バック・イン・ザ・U.S.S.R./Back In The U.S.S.R [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ② ディア・プルーデンス/Dear Prudence [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ③ グラス・オニオン/Glass Onion [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ④ オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ/Ob-La-Di, Ob-La-Da [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑤ ワイルド・ハニー・パイ/Wild Honey Pie [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑥ ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル/The Continuing Story Of Bungalow Bill [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon, Yoko Ono  ]
    ⑦ ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス/While My Guitar Gently Weeps [ Harrison Lead-vo : Harrison ]
    ⑧ ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン/Happiness Is A Warm Gun [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
   [side-B]
    ⑨ マーサ・マイ・ディア/Martha My Dear [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑩ アイム・ソー・タイアード/I'm So Tired [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo :Lennon ]
    ⑪ ブラックバードBlackbird [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑫ ピッギーズ/Piggies  [ Harrison Lead-vo : Harrison ]
    ⑬ ロッキー・ラックーン/Rocky Raccoon [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑭ ドント・パス・ミー・バイ/Don't Pass Me By [ Starr Lead-vo : Starr ]
    ⑮ ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード/Why Don't We Do It In The Road? [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑯ アイ・ウィル/I Will [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ⑰ ジュリア/Julia [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
   [side-C]
    ⑱ バースデイ/Birthday [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney, Lennon ]
    ⑲ ヤー・ブルース/Yer Blues [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo :  Lennon]
    ⑳ マザー・ネイチャーズ・ザン/Mother Nature's Son [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ㉑ エヴリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー/Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ㉒ セクシー・セディ/Sexy Sadie [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ㉓ ヘルター・スケルター/Helter Skelter [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ㉔ ロング・ロング・ロング/Long, Long, Long  [ Harrison Lead-vo : Harrison ]
   [side-D]
    ㉕ レヴォリューション1/Revolution 1 [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ㉖ ハニー・パイ/Honey Pie [ Lennon=◎McCartney Lead-vo : McCartney ]
    ㉗ サヴォイ・トラッフル/Savoy Truffle  [ Harrison Lead-vo : Harrison ]
    ㉘ クライ・ベイビー・クライ/Cry Baby Cry [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Lennon ]
    ㉙ レヴォリューション9/Revolution 9 [ ◎Lennon=McCartney ]
    ㉚ グッド・ナイト/Good Night [ ◎Lennon=McCartney Lead-vo : Starr ]
  ■録音メンバー
   ※Beatles
    ポール・マッカートニー/Paul McCartney (bass①~④ ⑥~⑩ ⑫~⑮ ⑲㉑㉒㉔㉕㉗㉘, piano①②③⑦⑨⑩⑭⑮⑱㉒㉕㉖, organ㉔㉕,  guitars①⑤⑨⑪⑮⑯⑱⑳㉓, drums①②⑨, percussions①②⑤⑳㉑, recorder③, fluegelhorn②, lead-vocals, backing-vocals, chorus)
    ジョン・レノン/John Lennon (guitars①②③⑥⑦⑧⑩⑰⑱⑲㉑㉒㉕㉖㉘㉙, 6st-bass①⑬㉓, piano④㉘㉙, organ⑥⑩㉒㉘, mellotron㉙, drums①, percussions①⑯㉑㉙, harmonica⑬, sax㉓, lead-vocals, backing-vocals, chorus)
    ジョージ・ハリスン/George Harrison (guitars①~④ ⑥⑦⑧⑩⑫⑲ ㉑~㉕ ㉗㉘㉙, bass①, 6st-bass⑱㉖, organ⑦㉗, percussions①㉑, lead-vocals, backing-vocals, chorus)
    リンゴ・スター/Ringo Starr (drums③④ ⑥~⑧ ⑩⑬⑭⑮⑱⑲ ㉑~㉘, percussions③④⑥⑦⑧⑫⑭⑯⑱㉑㉒㉘, piano⑭)
   ※Additional Musicians
    マル・エヴァンズ/Malcolm Evans (trumpet㉓, backing-vocals②)
    ジャッキー・ロマックス/Jackie Lomax (backing-vocals②)
    クリス・トーマス/Chris Thomas (mellotron⑥, harpsichord⑫, piano㉔, electric-piano㉗)
    オノ・ヨーコ/Yoko Ono (vocal⑥, backing-vocals⑥⑱, spoken-word㉙)
    モーリン・スターキー/Maureen Starkey (backing-vocals⑥)
    パティ・ボイド/Pattie Boyd (backing-vocals⑱)
    フランシー・シュワルツ/Francie Schwartz (backing-vocals㉕)
    エリック・クラプトン/Eric Clapton (guitar⑦)
    ジョージ・マーティン/George Martin (piano⑬, harmonium㉘, spoken-word㉙,celesta㉚)
    マイク・サムズ・シンガーズ/Mike Sammes' Singers (chorus㉚)
  ■チャート最高位
    1968年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス1位
    1968年年間チャート イギリス2位
    1969年年間チャート アメリカ(ビルボード)8位、イギリス10位
    1987年週間チャート アメリカ(オフィシャル・チャート)18位、日本(オリコン)4位
    2009年週間チャート アメリカ(ビルボード)7位、イギリス21位、日本(オリコン)19位
    2018年週間チャート アメリカ(ビルボード)6位



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天国への階段 (Stairway To Heaven)

2007年04月08日 | 名曲

 数あるロック・クラシックスの名曲の中でも長年にわたって人気を保ち続けているのが、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」です。
 ツェッペリンのレパートリーの中でも「胸いっぱいの愛を」と並んでよく知られているこの曲は、名盤と言われる「レッド・ツェッペリンⅣ」(正式にはこのアルバムは無題。便宜上、Ⅳ『フォー』と言われることが多い)に収録されています。
 ぼくの世代でロック・ギターを弾いていた人ならば誰でも一度は弾いてみたことがあると言ってもいいくらい人気のある曲です。もちろんぼくもよく弾いて遊んでいました。
 映画「ウェインズ・ワールド」の一場面に、『試奏するお客がそろいもそろって「天国への階段」ばかり弾くため「天国への階段お断り」の張り紙を出した楽器店』というネタが出てくるほどです。


     


 壮大な構成を持つ、約8分の長い曲です。
 美しいギターのアルペジオとリコーダーの奏でるメロディーで始まりますが、この部分はトラディショナルなフォークのようです。
 静かに始まった曲は、徐々に盛り上がりを見せてきます。
 中間部のギター・ソロはとても有名で、「ロック史上に残るソロ」とも「ジミー・ペイジの弾いた最も美しいソロ」とも言われているものです。
 この後一転してロバート・プラントのシャウトと激しいリフが曲を支配し、ハード・ロックの醍醐味が満喫できます。この辺り、まさにツェッペリンの真骨頂といっていいでしょう。
 この曲は単なるハード・ロックの枠に留まっているものではありません。トラッド・フォークとロック、そして難解で神秘的な歌詞が融けあった、ツェッペリンの音楽性の幅広さを物語る記念碑的ナンバーだと思います。





 「天国への階段」がライヴで演奏される時にジミー・ペイジが使っていたのがギブソンEDS-1275という、12弦ギターと6弦ギターのダブル・ネックギターです。
 12弦アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの両方を使用してレコーディングした「天国への階段」をライヴで演奏するため、特別にギブソン社にそのダブルネックのギターを作って貰ったんだそうです。
 このギター、長く製造中止になっていましたが、このほど36年ぶりに再製造されることになり、2007年3月18日に発売されました。レプリカ製造にはペイジ自身も協力しています。





 合計275本が作られるそうですが、そのうち25本はペイジのサイン入り、そのうえツェッペリンのDVDボックスやペイジの特別インタヴューつきで1本なんと3万3500ドル(約385万円)。サインなしの250本のお値段は1万~1万2000ドル(約115~138万円)。
 う~ん、どんな人が買うんだろう。(^^;)


[歌 詞]
[大 意]
輝くものは全て黄金だと信じる女性がいた
そして彼女は天国への階段を買う
彼女は知っている もしどの店も閉まっていてもあそこで
一言かければ お目当てのものが手に入ることを
そして彼女は天国への階段を買う

壁には「よく確かめよ」という印があった
なぜなら言葉には時々ふたつの意味があるから
小川のそばの木にさえずる鳥がいた
我々は不安でいっぱいだった

ああ、どうしたことか

西へ向いた時 私にはある感情がわいてきた
私の魂は体から離れたがって泣く
頭に浮かぶのは木々の間から出る煙の輪
そして立って見ている者たちの声

こんな囁き声がする もしあの曲を吹くように頼めば
笛吹きは我々が道筋をたてて考えるよう仕向けてくれる
そして長く立ちつくしていた者たちに新しい朝がくる
そして森に笑い声がこだまする

もし君の家の生垣が音をたてても驚いてはいけない
それは五月祭の女王を迎えるための春の大掃除なのだから
そう 君が行く道はふたつあるが
結局今君がいる道を変える機会はまだあるということ

君は耳鳴りがしている とてもしつこく思うだろう
笛吹きが一緒にこないかと誘っている声だと分からなければ
ねえ君 風が吹くのが聞こえないか 分からないか
君の階段はさらさら吹く風に乗って横たわっていることが

そして我々が曲がりくねった道を進むにつれ
我々の影は我々の魂よりも高くなる
向こうにみんなが知っている女が歩いている
彼女は白い光りを輝かせ 教えたくて仕方がないのだ
どうやってすべての物が黄金になるのかを
もし懸命に耳を傾けるならば あの調べはついに聞こえるだろう
皆がひとつになり ひとつが皆になり
転がりはしない岩になる

そして彼女は天国への階段を買う




天国への階段/Stairway To Heaven
  ■歌・演奏
    レッド・ツェッペリン/Led Zeppelin
  ■発表
    1971年11月
  ■収録アルバム
    「Ⅳ」 (1971年)
  ■作詞・作曲
    ジミー・ペイジ&ロバート・プラント/Jimmy Page & Robert Plant
  ■プロデュース
    ジミー・ペイジ/Jimmy Page
  ■録音メンバー
   【レッド・ツェッペリン/Led Zeppelin】
    ロバート・プラント/Ronbert Plant (vocals)
    ジミー・ペイジ/Jimmy Page (guitar)
    ジョン・ポール・ジョーンズ/John Paul Jones (bass, keyboards)
    ジョン・ボーナム/John Bonham (drums)


レッド・ツェッペリン『天国への階段』 from 「The Song Remains The Same」 




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ショーシャンクの空に (The Shawshank Redemption)

2007年04月07日 | 映画
♪お気に入り映画23


■ショーシャンクの空に(The Shawshank Redemption)
■1994年 アメリカ
■監督…フランク・ダラボン
■音楽…トーマス・ニューマン
☆ティム・ロビンス(アンディ・デュフレーン)
☆モーガン・フリーマン(レッド)
☆ウィリアム・サドラー(ヘイウッド)
☆ボブ・ガントン(ノートン所長)
☆クランシー・ブラウン(ハドレー刑務主任)
☆ジェームス・ホィットモア(ブルックス)
☆ギル・ベロウズ(トミー)
☆マーク・ロルストン(ボグズ)


 無実の罪で終身刑を宣告されたアンディ・デュフレーン。ショーシャンク刑務所に投獄された彼はさまざまな苦難に見舞われるが、強固な意志と忍耐で自分自身を保ち続け、希望を決して捨てようとはしない。
 看守たちの所得申告を手伝ってやったり、州議会に手紙を書き続け、刑務所内の図書室あてに予算を獲得したり、希望する囚人には高卒の資格を取らせたりと、人間らしく、積極的に生きようとしている。物静かで知的なアンディは、芯の強さと誠実さで他の囚人たちから徐々に厚い信頼を得る。

 
 対するレッドは、基本的には心の温かい人物だが、「希望を持つのは危険だ。正気を失わせる」と考える。長い間の刑務所暮らしで刑務所内で生きるための価値観を身につけたレッドは、アンディと同じく終身刑である。レッドは、刑務所内でこそ調達屋としてみんなから信頼されているが、塀の外では自分はただの前科者に過ぎないことをよく知っている。
 希望を持ち続けるアンディと、希望を持たないようにしているレッド、正反対の価値観を持つふたりの間に生まれた友情と、「希望と自由」がこの映画の主題だと思う。


 アンディが決して「希望と自由」を捨てようとはしないことが分かる場面がいくつもある。
 サディスティックなハドレー刑務主任に掛け合い、ハドレーにかかる相続税への対策を講じるかわり、一緒に汗を流している囚人仲間にビールを振舞うよう頼む。これはハドレーへのご機嫌取りではなく、仕事のあとのビールのうまさを感じる人間らしい感情を囚人仲間に味あわせてやりたかったのだと思う。
 あるいは、モーツァルトの「フィガロの結婚」のレコードをかけ、懲罰房に入れられる、という場面だ。懲罰房から出てきたアンディは仲間に、「頭と心でモーツァルトを聴いていた」と言う。「音楽は決して人から奪えない。心の豊かさを失ってはだめなんだ。心の中には希望があるんだ」というアンディは、音楽を希望と自由の象徴として捉えているのだと思う。
 そのあとでレッドにハーモニカを贈ったアンディは、レッドに「希望を捨てるな」と言いたかったのだろう。


     


 年老いた図書係のブルックスが仮釈放となるが、人生の大半を刑務所で過ごした彼は外の世界へ出てゆくことに対して大きな不安を持つ。レッドはこう説明する。
「刑務所の壁はおかしなものだ。最初はそれを憎むが、次にそれに馴れてゆく。時間が経つにつれそれを頼るようになってしまうんだ」
 これが「刑務所馴れ」というものだ。ブルックスは長い間の刑務所暮らしで完全に図書係として順応してしまっている。彼は、刑務所内では存在する場所のある人物だが、一般社会では、自分の存在意義を見出すことができなかった。ブルックスは出所後の生活に順応できず、孤独と不安から自殺してしまう。
 このことがあったのちも、アンディはジワタネホ(メキシコにある太平洋に面した町)でホテルを経営することを夢みて「希望を捨てるな」と考える。しかしレッドは「そんな夢は捨てろ。今は塀の中なんだぞ。選択肢はふたつ。必死に生きるか、必死に死ぬか、だ」と言う。ふたりの価値観は正反対のままなのである。


 アンディは、ノートン刑務所長が不正な手段で作った裏金の処理と運用を任されるようになる。スティーブンスという架空の人物を作り上げ、その口座を使って裏金を"洗濯"するのである。
 そんな折りアンディは、新たに入所してきたトミーから、自分の無実を証明できる話を聞き、所長に再捜査を頼むが、不正の発覚を恐れる所長は話を聞き入れない。そのうえハドレーを使ってトミーを射殺する。このことがきっかけでアンディは脱獄の決行を決意する。
 脱獄に成功したアンディは、彼を自分の都合のいい奴隷にしたノートン所長の不正の証拠を新聞社に送り、「スティーブンス」の金を銀行から引き出してメキシコへ向かう。ありきたりの脱獄物語なら、ここで終わってしまうだろう。しかしこの作品の良いところは、その後仮釈放になったレッドが、アンディを探す旅に出るところまで物語が続いている点にあると思う。


     


 レッドも仮出所後、ブルックスと同じ「刑務所馴れ」のために、一般社会に順応できない。もう一度刑務所に戻りたいとさえ願う。しかし、アンディとの約束を思い出したレッドは、アンディに教わった場所を探す。そこにはいくらかの現金とアンディからの手紙があった。手紙には「ぼくのところにこないか」と書いてあった。レッドはここではじめて「希望」に身を委ねることを決めたのだと思う。そして「必死に生きるため」にアンディのところに向かうことを決心する。
 青い空、青い海が見えるジワタネホの浜辺で、ついにふたりは再会する。


 見終わったあとで爽快感さえ沸き起こってくる良い作品だと思う。
 この物語からは、たとえば自分が落ち込んでいる時に必要なエネルギーやメッセージが発せられている。
 アンディがレッドに言った言葉、
「心の豊かさを失ってはだめだ」「希望を捨てるな」、
 あるいはアンディがレッドに宛てた手紙の中の一節 、
「忘れてはいけない。希望はいいものだ、たぶんなによりもいいものだ。そしていいものは永遠になくならない」
 これらの言葉は、自分が厳しい局面に向き合っている時にはきっと元気をくれるだろう。



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ヴィーナス(Venus)

2007年04月06日 | 名曲

 スターズ・オンの「ショッキング・ビートルズ45」のイントロに使われて1981年にリバイバル・ヒットしたのが、ショッキング・ブルーの「ヴィーナス」です。1986年にはバナナラマがこの曲をリメイクして全米1位の大ヒットを記録しました。日本でも黒沢ひろみや荻野目洋子、長山洋子らのカヴァーがヒットしましたね。
 最近のジレットのCMでも、倖田來未の歌でこの曲が使われています。


 ショッキング・ブルーはオランダで結成されたバンドです。1960年代中頃にオランダ国内で人気のあったモーションズのギタリストだったロビー・ファン・レーヴェンが中心となり、1967年に結成されました。
 デビュー・シングル「ラヴ・イズ・イン・ジ・エアー」は不発に終わりましたが、セカンド・シングル「ルーシー・ブラウン・イズ・バック・イン・タウン」はオランダのチャートで21位に上昇するスマッシュ・ヒットを記録しました。しかしバンドは、成功までにはまだ至っていない状況でした。





 そのころ、レーヴェンたちはマネージャーや音楽出版社の連中と共にあるパーティーに参加しました。そこでひとりの女性歌手の歌を聴いたのですが、彼らはその歌手のパワフルな声とエキゾチックな容貌にすっかり参ってしまいました。そしてマネージャーが、「ショッキング・ブルーのヴォーカルにならないか?」と彼女を誘いました。その歌手こそがマリスカ・ヴェレスだったのです。
 ショッキング・ブルーはマリスカの参加によって新たなスタートを切ることになりました。


 マリスカを加えたショッキング・ブルーは、「センド・ミー・ア・ポストカード」(オランダ10位)と「ロング・アンド・ロンサム・ロード」オランダ17位)の2枚のシングルをリリースし、いずれもスマッシュ・ヒットさせます。そしてその次にリリースした曲が「ヴィーナス」でした。
 「ヴィーナス」はオランダで3位にまで上昇しただけでなく、ヨーロッパ各国のチャートを席巻し、1970年2月7日付でついに全米1位を記録しました。最終的には、ベルギー、フランス、スイス、スペイン、イタリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、アメリカの9ヵ国でチャート1位を獲得するという世界的大ヒットを記録したのです。


 「ヴィーナス」は、シンプルなリフをベースとした8ビートの曲です。軽快なギターのカッティングは、ザ・フーの「ピンボールの魔術師」を思い起こさせます。
 マリスカのヴォーカルもパワフルで、エッジの利いた8ビートに乗ってロックしています。作曲したレーヴェンの話によると、音関係はすぐにできあがったものの、作詞にとても苦労したそうですが、歌詞の内容はマリスカの持つ雰囲気とうまくマッチしていますね。





 「ヴィーナス」の大ヒットの後、ショッキング・ブルーはオランダ国内では世界的アーティストとして知られるようになりました。その後も「マイティ・ジョー」と「悲しき鉄道員」をオランダで1位に送り込むなど快進撃を続けるのですが、アメリカでは「ヴィーナス」以外にはTop40に曲を送り込むことができませんでした。
 レーヴェンはアメリカで再び成功しようと焦るようになりますが、それがグループ内に不穏な空気をもたらすことになりました。そして地元オランダではまだ売れていると言うのにメンバー間の軋轢が日ごとに大きくなっていったのです。
 結局彼らは1974年に解散を選択してしまいました。


 ショッキング・ブルーは1971年に来日しています。
 その時前座を務めたのはあの鈴木ヒロミツさんがヴォーカルだったモップス。ショッキング・ブルーの演奏を聴いたモップスのメンバーは、「あんまりうまくないじゃないか」と自信を持った、という話が残っています。
 またオランダの音楽雑誌のインタビューに対してロビーは「日本人は金を持っている猿にすぎない」、マリスカは「猿が住む野蛮な土地でも人気があることをアピールしたかった」と発言しており、ふたりは差別主義者として知られることになってしまったのは残念なことです。


 そのマリスカは、2006年12月にガンのため59歳で亡くなっています。






[歌 詞]
[大 意]
山の頂上に君臨する女神は
銀色の炎のように燃えていた
美しさと愛の頂点
ヴィーナスが彼女の名前

   彼女はそんな魅力的な女
   そうよベイビー、彼女は最高
   さあ、私があなたのヴィーナス
   あなたの欲望に火をつける女

彼女の武器はそのクリスタルのように透き通った瞳
そのまなざしで、どんな男も狂わせる
闇夜のような黒いドレスを身につけて
誰にもない魅力をもっていた



ヴィーナス/Venus
  ■歌・演奏
    ショッキング・ブルー/Shocking Blue
  ■シングル・リリース
    1969年7月
  ■作詞・作曲
    ロビー・ファン・レーヴェン/Robbie van Leeuwen
  ■プロデュース
    ロビー・ファン・レーヴェン、ジェリー・ロス/Robbie van Leeuwen, Jerry Ross
  ■収録アルバム(CD)
    アット・ホーム/At Home
  ■録音メンバー
  ☆ショッキング・ブルー
    マリスカ・ヴェレス/Mariska Veres (vocal)
    ロビー・ファン・レーヴェン/Robbie van Leeuwen (guitar)
    クラーシェ・ファン・ダー・ヴァル/Klaasje van der Wal (bass)
    コーネリアス・ファン・ダー・ビーク/Cornelius van der Beek (drums)
  ★ゲスト
    Cees Schrama (electric-piano)
  ■チャート最高位
    1970年週間チャート  アメリカ(ビルボード)1位、イギリス8位、日本(オリコン)2位、オランダ3位
    1970年年間チャート  アメリカ(ビルボード)33位、オランダ28位


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さよならバードランド

2007年04月05日 | 見る聴く感じるその他
 
 1950~60年代にかけて、ニューヨークのジャズ・シーンで中堅どころのベーシストとして活躍したビル・クロウ氏による、自伝的交遊録です。
 ジャズに詳しい村上春樹氏の訳(新潮文庫)によるだけあって、温かみのあるテンポよい文章で綴られています。500ページ以上もある本ですが、楽しく一気に読み終えてしまうことができました。


 ビルはスタン・ゲッツ、ジェリー・マリガンらのレギュラー・ベーシストを務めた中堅どころのベーシストです。決してスター・プレーヤーではありませんが、頼りになる名バイ・プレーヤーでした。
 彼は60年代後半からは次第にジャズの現場から遠ざかることになりますが、その後はニューヨークのミュージシャン・ユニオンの代表として演奏家の権利保護のために活躍するかたわら、ジャズ評論にも手を染め、そのユーモアとウィットに富んだ文章で幅広い読者の人気を得ました。


 この本には、ゲッツ、マリガンをはじめとして、テリー・ギブス、マリアン・マクパートランド、ズート・シムズ、デューク・エリントン、ベニー・グッドマン、チャーリー・パーカー、サイモン&ガーファンクルなど数多くの名ジャズ・ミュージシャンとの交遊が描かれています。この本には彼らたちいろんな仲間と演奏できることや、ジャズという音楽を通じてひとつの時代を築き上げることの喜びに満ちていて、読んでいるこちらもとても楽しくなるのです。


 読んでいて感じるのは、ビルの人間に向ける目の温かさです。ジャズにありがちな破滅的な話はほとんど出てきませんが、その温かい目で、ジャズ界に生きる人々の暮らしを、時にはしんみりと、時には笑えるエピソードを交えながら、いきいきと魅力的に描いています。
 訳者の村上氏自身が深いジャズ・ファンなだけに、その文章はできるだけ原著の雰囲気に忠実であろうとし、かつ愛情をこめて翻訳しているのが伺えます。


 とくにジャズが好きでなくても読み通せる本だと思います。
 楽しく読めるうえに読後感もさわやかで、読み終えてから思わずジャズを聴きたくなります。
 この本が評判となったおかげで、ビルは70歳近くなってから本と同じタイトルの、初のリーダー・アルバムを発表することができました。

     
     ビル・クロウ・カルテット「さよならバードランド」



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ハーヴェスト (Harvest)

2007年04月04日 | 名盤

 
 今日は風が強く、寒さを感じる一日でした。そんな中、聴いていたのがニール・ヤングの4枚目のアルバム、「ハーヴェスト」です。このアルバム、1972年2月に発表され、その年のちょうど今頃の時期にチャートを駆け上がり、ミリオン・セラーとなりました。
 ギター、ベース、ドラムス、ピアノのベーシックな演奏に加え、バンジョー、ハーモニカ、スティール・ギター、ストリングスなどの多彩な楽器群を使用していますが、トータルな音はいたってシンプル。アコースティックな、土の香りのするサウンドです。


     
 
 
 このニールの4枚目のアルバムは、本来ならライヴ・アルバムとして発表されることになっていたのですが、ブートレッグ(海賊盤)が出回ってしまい、そのあおりを受けて発表はいったん中止され、あらためてスタジオでレコーディングされたものが発表されることになった、という裏話があります。
 
 
 ニール独特の、丸みを帯びた少し高い声、とても存在感がありますね。優しさと寂しさを感じます。歌詞を見てみるとかなり思索的で、英語が分かるとニールの主張していることがもっとダイレクトに伝わるのになあ、なんてことを思わせられます。


     


 収録されているのは全10曲。その中で耳に残るのは、やはり全米チャートでトップになった「孤独の旅路(Heart Of Gold)」です。"金の心"を探して放浪する男の姿を描いた曲です。力強いアコースティック・ギターのカッティングと、哀愁を帯びたハーモニカが曲を引き立てています。
 「歌う言葉」では、ニールの独特の音色のエリクトリック・ギターがまた違った魅力を醸し出しています。

 
 アコースティックなんだけれど、骨太の音楽だなあ。演奏は、激しくはないけれど、しっかりロックしていると思いますね。
 バック・ミュージシャンは、いつものクレイジー・ホースではなく、このアルバムのために集められたナッシュヴィルの面々(ストレイ・ゲイターズ)ですが、その演奏はカントリー・フレイヴァーに満ちていて、ニールの歌声とうまく溶け合っているようです。ちなみに、バック・コーラスにはクロスビー、スティルス&ナッシュの三人にジェイムス・テイラー、リンダ・ロンシュタットなどが参加するという豪華版です。


     


 ニール・ヤングは濃くて、とても手応えがありますね。あらためてそう思いました。
 やっぱりこのアルバム、ニールの数多い作品の中でもベスト3に入るものだと思います。



◆ハーヴェスト/Harvest
  ■歌・演奏
    ニール・ヤング/Neil Young
  ■リリース
    1972年2月1日
  ■プロデュース
    エリオット・メイザー & ニール・ヤング/Elliot Mazer & Neil Young ①②④⑤⑥⑧⑩
    ジャック・ニッチェ/Jack Nitzsche ③⑦
    ヘンリー・レヴィー & ニール・ヤング/Henry Lewy & Neil Young ⑨
  ■収録曲
   [side-A]
    ① 週末に/Out on the Weekend
    ② ハーヴェスト/Harvest
    ③ 男は女が必要/A Man Needs a Maid
    ④ 孤独の旅路/Heart of Gold
    ⑤ 国のために用意はいいか?/Are You Ready for the Country
   [side-B]
    ⑥ オールド・マン/Old Man
    ⑦ 世界がある/There's World
    ⑧ アラバマ/Alabama
    ⑨ ダメージ・ダン/The Needle and the Damage Done
    ⑩ 歌う言葉/Words (Between the Lines of Age)
    ※All songs written by Neil Young
    ※⑨Live at Royce Hall - UCLA
  ■録音メンバー
    ニール・ヤング/Neil Young (lead-vocals, electric-guitars, acoustic-guitars, piano, harmonica)
    [ストレイ・ゲーターズ/Stray Gators ①~⑧,⑩]
     ベン・キース/Ben Keith (steel-guitar)
     ジャック・ニッチェ/Jack Nitzsche (piano, steel-guitar⑤⑧⑩)  
     ティム・ドラモンド/Tim Drummond (bass)
     ケニー・バトリー/Kenny Buttrey (drums)
    [ゲスト・ミュージシャン]
     テディ・アーウィン/Teddy Irwin (acoustic-guitar④)
     ジョン・ハリス/John Harris (piano②)
     ジェームス・マクマホン/James McMahon (piano⑥)
     ジェームス・テイラー/James Taylor (banjo-guitar, backing-vocals④⑥)
     リンダ・ロンシュタッド/Linda Ronstadt (backing-vocals④⑥)
     デヴィッド・クロスビー/David Crosby (backing-vocals⑤⑧)
     グラハム・ナッシュ/Graham Nash (backing-vocals⑤⑩)
     スティーヴン・スティルス (backing-vocals⑧⑩)
     デヴィッド・ミーチャム指揮 ロンドン交響楽団/London Symphony Orchestra Conducted by David Meecham②⑦
  ■チャート最高位
    1972年週間チャート  アメリカ(ビルボード)1位、イギリス1位、カナダ1位
    1972年年間チャート  アメリカ(ビルボード)1位




 

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最も偉大な曲500と最も偉大なアルバム500

2007年04月03日 | ネタをたずねて三千里
 
 アメリカの音楽誌「ローリングストーン」が、「最も偉大な500曲」と「最も偉大なアルバム500枚」を選定しました。これは、一般音楽ファンによる人気投票の結果ではなくて、評論家、レコード会社、ミュージシャンなど全米で3000名の音楽関係者へのアンケートをもとにして選んだものなんだそうです。

■偉大な曲10傑

1. Like a Rolling Stone (Bob Dylan)

2. Satisfaction (The Rolling Stones)

3. Imagine (John Lennon)

4. What's Going On (Marvin Gaye)

5. Respect (Aretha Franklin)

6. Good Vibrations (The Beach Boys)

7. Johnny B. Good (Chuck Berry)

8. Hey Jude (The Beatles)

9. Smells Like Teen Spirit (Nirvana)

10. What'd I Say (Ray Charles)

※偉大な曲500



■偉大なアルバム10傑

1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (The Beatles)

2. Pet Sounds (The Beach Boys)

3. Revolver (The Beatles)

4. Highway 61 Revisited (Bob Dylan)

5. Rubber Soul (The Beatles)

6. What's Going On (Marvin Gaye)

7. Exile on Main Street (The Rolling Stones)

8. London Calling (The Clash)

9. Blonde on Blonde (Bob Dylan)

10. The Beatles ["The White Album"] (The Beatles)

※偉大なアルバム500


 このリストを見ると、あらためてビートルズの偉大さが分かります。上位100曲・上位100枚を見てみると、ビートルズはいずれも最多の10曲・8枚。
 ロックンロールやソウル・ミュージックが多くリスト入りしていたり、ボブ・ディランやビーチ・ボーイズの作品が多くリスト入りしているのが、アメリカで選ばれたベスト500らしいところです。


 ちなみに、偉大な曲上位100位の内訳は、
★10曲…ビートルズ
★5曲…エルヴィス・プレスリー
★4曲…ボブ・ディラン
★3曲…ローリング・ストーンズ
     ビーチ・ボーイズ
     チャック・ベリー
     リトル・リチャード

 偉大なアルバム上位100位の内訳は、
★8枚…ビートルズ
★5枚…ボブ・ディラン
★4枚…ローリング・ストーンズ
     レッド・ツェッペリン
★3枚…ジミ・ヘンドリックス
     スティーヴィー・ワンダー

 といったところです。
 年代も1950~70年代のものが多く、それ以降のものはあまり選ばれていないようです。
 先日、BSで上位100曲が放送されたようですが、ぼくはその番組を見ることはできませんでした。残念~。



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八神 純子

2007年04月02日 | ミュージシャン
♪お気に入りアーティスト54


 もしも30年前に「ディーヴァ」という言葉が一般的だったら、八神純子などはその言葉にふさわしいシンガーだと言えるのではないでしょうか。
 よく伸びる高音が特徴の八神純子の歌のうまさは、当時のシンガーの中では有数のものだったと思います。彼女の曲のメロディも、線の太い澄み切ったその高音を生かすようなものが多いような気がします。
 ポッチャリしたかわいらしい丸顔もわりと好きでした。


     


 八神純子は1974年の第8回ヤマハ・ポピュラー・ソング・コンテストに「雨のひとりごと」で出場し、優秀曲賞を受賞しました。その年の世界歌謡祭にも出場しています。
 1978年に「思い出は美しすぎて」でデビュー、翌79年に発表した「みずいろの雨」が大ヒットしてスターダムにのし上がりました。
 80年には日航「JAL」のイメージ・ソングとなった「パープル・タウン」が大ヒットして、松任谷由実に続くニュー・ミュージック・クィーンと言われるようになりました。


     


 彼女の特徴といえば、やはり優しさと力強さを兼ね備えたような高音です。
 洋楽指向が強く、サンバなどのラテン系リズムを取り入れたり、AORのエッセンスを取り入れたりして、センスのよいシティ・ポップを作り上げていました。
 ぼくは「ポーラー・スター」「パープル・タウン」「アイム・ア・ウーマン」などが好きでよく聴いていました。


     


 80年代に入ると名前を聞く機会が急激に減ったのは残念です。87年には渡米して音楽プロデューサーのジョン・スタンリーと結婚しました。ちなみに結婚後はJune Stanleyの名でロサンゼルスを拠点に音楽活動を続けています。


★パープル・タウン★



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キアズマ (Chiasma)

2007年04月01日 | 名盤


 山下洋輔は、ぼくの好きな文章家のひとりです。
 ミュージシャンらしいユーモアと乾いた狂気のようなものが混然となった文章は、とても愉快で面白い。
 山下氏の名はかなり以前から知っていました。でも彼の音楽がフリー・ジャズということで腰が引けてしまい、聴いてみるまでにはいたりませんでした。
 ある日、書店で山下氏の本を見つけました。
 ミュージシャンが書いた本だから音楽のことにも触れているだろうと思い、手に取ってパラパラめくってみたら、これが面白いのなんの。すぐ山下ワールドにハマってしまいました。
 もちろんマジメな音楽論もありましたが、山下流ギャグ満載のエッセイのエネルギーに圧倒されてしまいました。


 著作を読んで山下氏に親近感を覚えたことで、ようやく氏の音楽にも触れてみようと考えたぼくが最初に買ったのが「キアズマ」です。この一風変わったタイトル、細胞分裂に関係した生物学用語らしいです。



    


 「キアズマ」には、1975年6月6日、ドイツのハイデルベルク・ジャズ・フェスティヴァルでの山下洋輔トリオのパフォーマンスが収録されています。
 フリー・ジャズなんて今でも「分かる」とは言えませんが、この「キアズマ」を聴いた時、そのエネルギッシュな音にはただただ圧倒されました。
 爆発的な山下氏のピアノ、坂田明氏のサックスの咆哮、轟き渡る森山威男氏のドラム、この三者が互いの音に触発し、反応し合い、時には情念のおもむくまま全力で疾走しています。そこから湧き上がるエネルギーの凄いこと。


 フリー・フォームなジャズは、大別すると空間や音の隙間を生かすものと、音で空間を埋め尽くすものに分かれると思うのですが、この山下トリオの演奏はもちろん後者。フリー・ジャズが分からなくても、その爆発的なエネルギーを感じることはできます。ちょっと乱暴な言い方ですが、ヘヴィ・メタルなどを聴く時のような高揚感と解放感に近いものがあるでしょうか。即興で演奏するからこそ生まれるパワフルな空気が次々と聴いているぼくに降りかかってきます。このノイズとメロディーの詰まった空間がとにかく気持ちいい。
 また、分からないなりにも、山下トリオの演奏からは歌が聴こえてくるような気がするのです。だからこそ何度も繰り返して聴くことができるのかな、なんて思ったりしました。





 チンプンカンプンだろうと思ったフリー・ジャズでしたが、山下トリオのこのアルバムに限って言えば、分からないなりにも面白く聴くことができたと思います。
 曲も、それぞれに短いながらもテーマがあるので、全く分からない、ということもありませんでした。
 聴衆の反応も凄いです。1曲終わるごとの拍手と歓声の大きなこと、やはりヨーロッパのジャズ・ファンは聴きどころをよく知っているのでしょうね。


 しかしこのパワフルな演奏、まさに山下氏の文章そのままではないでしょうか。






◆キアズマ/CHIASMA
  ■演奏
    山下洋輔トリオ
  ■プロデュース
    ホルスト・ウェバー/Horst Weber
  ■録音
    1975年6月6日 ハイデルベルク・ジャズ・フェスティヴァル(ドイツ)
  ■リリース
    1976年
  ■収録曲
    ① ダブル・ヘリックス/Double Helix (山下洋輔)
    ② ニタ/Nita (山下洋輔)
    ③ キアズマ/Chiasma (山下洋輔)
    ④ ホース・トリップ/Horse Trip (森山威男、山下洋輔)
    ⑤ イントロ・ハチ/Intro Hachi (森山威男)
    ⑥ ハチ/Hachi (森山威男)
  ■録音メンバー
    山下洋輔(piano)
    坂田明(alto-sax)
    森山威男(drums)
  ■レーベル
    MPS Records



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