箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「職場体験」の始まりの頃

2024年07月05日 06時54分00秒 | 教育・子育てあれこれ
中学生の「職場体験」の学習が始まって約30年になります。

当時中学生が、「社会」を遠いところにとらえている現実のなかで、いまの自分でも「はたらく」という切り口で、社会とかかわることができることを学ばせたい。

当時、青少年による深刻な犯罪が起きていた兵庫県では「トライやるウィーク」として、全国に先駆けて行っていました。

しかし大阪府をはじめとして全国的には、まだほとんど職場体験を実施している中学校は皆無に近い状況でした。

また、当時、おとなと子どもの人間関係が希薄化していくなかで、子どもはおとなとのかかわりの中で成長していくという教育理念から、「地域に開かれた学校づくり」を進め始めていました。

したがって職場体験の場所は当然、自分たちの地域がおもな活動エリアでした。

わたしは大阪府箕面市の中で、まだどの中学校も職場体験をしていない中で、パイオニア校にいましたので、最初は手当たり次第に校区内の阪急電車箕面駅界隈の商店に飛び込みました。

「中学2年生の生徒を2日間ほど働かせてもらえませんか」と美容室、花屋さん、ケーキ屋さんなど手当たり次第に、アポなしで訪れたのでした。

そのとき、二つ返事で「いいですよ」と言ってくださる店が多く、新鮮な驚きでした。

ほかの教職員7〜8名も職場開拓し、わずか3日間で70をこえる体験先を揃えることができました。

初年度(1996年度)では、その体験先から生徒にどの職場にするかを選ばせました。

その当時の学校が、地域に支えられていることをあらためて実感した職場開拓でした。

その後、各中学でも職場体験学習を実施するようになり、3日間で実施する学校、2日間の学校、生徒が自分で職場を見つけてくる方式の学校など、現在にいたっています。

なお、自治体によっては、「職業体験」と呼ぶ場合もあります。

しかし、わたしは、仕事を知るいうよりは、人に出会うということに重点を置くため、人に出会える場という意味で、「職体験」というネーミングにこだわっています。