箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子育ては、厳しく、やさしく

2020年10月05日 08時04分00秒 | 教育・子育てあれこれ


親はわが子を厳しく育てているのに、おじいちゃん・おばあちゃんは孫を甘やかす。

こういう不満を話される親御さんは結構います。

まして、その親御さんにとって祖父や祖母が義理の関係であるときには、「やめてください」とは強く言えないことが多いようで、ストレスがたまる原因になることもあります。

晩ごはんの前なのに、おじいちゃんは部屋に呼んで、孫にお菓子を食べさせる。

寝る前なのに、甘いものを食べさせる。子どもは「おいしい」と喜んでいる。

子どもが欲しがるものを親はガマンさせているのに、おばあちゃんが買い与え、子どもは喜んでいる。

あんなことをわが子がしていたら、お父さんがしかるのに、おじいちゃんは「いいよ、いいよ」と何でもOKにする。・・・・・


祖父母が実の親である場合は、親の要望を「こうしてよ」と言えるですが、そのときでも別の感情がわいてきます。

「自分の子ども(いまの父、母のこと)には厳しく接していたのに、孫になるとほんとうに甘いんだから もう!」

このような矛盾やギャップを感じて、おかしい、しつけができないと思う親御さんもいます。

じっさい、私にも孫がいますが、おじいちゃんやおばあちゃんにとって、孫は「かわいい」のひとことに尽きると思います。それしかありません。

なぜ、祖父母と父母では、このようなちがいが生まれるのでしょうか。

それはおそらく、視点がちがうからだと思います。

親は子どもの「将来」をみています。でも、祖父母は「いま」を見ています。

つまり、親は将来この子が大人になったとき、困らないように育てたいという思いです。
ところが、祖父母は「いま、目の前にいる孫を喜ばせたい」という気持ちです。「虫歯になったらこまる」ことなどどうでもいいことなのです。

私自身も三世代同居の家に生まれ、祖父母と一緒に子ども時代を過ごしましたが、祖父母から厳しく叱られたという思い出は皆無です。


そこで、私は思うのですが、子育てには両面が必要なのです。
子どもが健やかに育つためには、どちらも必要なのです。

子どもが幼いときは、親は子育てのなかで、「やめなさい」と制止したり、しかったりすることは必ずあります。

このとき、多かれ少なかれ子どもは落ち込んだり、しょぼんとしたりします。

すると、一時的でも子どもの「自尊感情」や「自己肯定感」が下がります。

それを回復させてくれるのが、おじいちゃんやおばあちゃんの「いいんだよ、大丈夫」という言葉なのです。

親としては、わが子が将来幸せにならないことを望むような人はいません。

ただし、子どもが幸せになるためには、「将来」と「現在」の両方の見方が必要なのです。

中学生なら、親の言うことと祖父母が言うことに齟齬や矛盾があっても、理解しています。もう、そういう年齢です。

たとえば、「寝る前にチョコレートを食べたことは、お母さんには黙っておくね」と、おじいちゃんやおばあちゃんにそっと伝える器量をもっています。

でも、幼い子でもある程度大きくなると理解できるようになります。

お父さん・お母さんとおじいちゃん・おばあちゃんのルールがちがっていても、「たまに」だからいいのだなと、子どもなりにわかるのです。

ということなので、お母さん・お父さんは、「なぜ、夜に甘いものを食べさせないのか」をシャカリキになって子どもに伝えなくてもいいのです。

自分が思う価値観を穏やかに子どもに話せばいいのです。

おじいちゃん・おばあちゃんを引き合いに出して子どもに話したり、否定する必要もありません。

なおかつ、お母さん・お父さんが、おばあちゃん・おじいちゃんの価値観に迎合する必要もないのです。

両面が必要なんだと思えば、親にストレスはたまりません。


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