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「危機管理」と「リスク管理」はよく似ているようで、本来は違うものです。
危機管理は、すでに起こってしまったトラブルについて、それ以上悪化しないとか二次被害を出さないように状況を管理することです。
一方、リスク管理は、これから起こるであろう危機に備えておくための取り組みということです。
コロナショックは、それ以前のバブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災よりも、経済面での深刻さがうかがえます。
2020年の4~6月期の実質GDPは前期と比べて約3割減少しました。これは第二次世界大戦後では最大の落ち込みでした。
これほどの経済危機が新型コロナウイルス禍で起きたのです。危機としては最大の危機です。
新型コロナウイルスの流行は、疫学の専門家ならある程度予想できていたのかもしれませんが、経済界や政界の人は専門外なので、予測はできなかったのは仕方がありません。
その意味で、新型コロナウイルス禍では、日本のリスク管理ではなく、危機管理がどうであったかを見ていくことになります。
新型コロナウイルス対応に従事した政治家からは、「夏には収束すると思った」「見通しが甘かった」という釈明があり、危機管理の意識が低かったことがあらわになりました。
政府がとった最初の補正予算は、指示してから2か月近くたった4月末でした。
PCR検査を増やすべきだという声があるのに、厚生労働省についた予算は7270億円、それなのに「GoToトラベル」には1.7兆円もつきました。
個人や企業への現金給付は遅れに遅れ、オンライン申請でトラブルが起きました。
リーマンショックとは違って、コロナ危機は感染拡大を防止するため、人為的に経済活動を制限するものです。
だから、困っている企業と個人の収入を優先的に補うことは政府がするべきことです。
政府に限らず、組織を回すには、ふだんから危機意識を高め、危機管理の体制を整えておくことが必要です。
学校でも危機管理の重要性がよく言われます。特に管理職はその意識を高くもち、体制の整備を行わなければなりません。
なぜなら、学校は教育活動の管理下で、多くの大切な児童生徒のいのちを預かっているからです。
以前に、韓国の高校生が乗る大型旅客線が転覆、沈没した事件があり、大勢の高校生がなくなりました。
残された多くの家族、肉親の悲しみは察するにあまりあるものです。
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