箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

将来への先行投資としての教育

2023年02月05日 07時04分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わが子が小さいときから、買い物にいったとき、娘は「ガチャポン」の機械を見つけ近づき、「したい」とよくせがまれました。

それから20年以上がたちますが、今もガチャポンは子どもたちの中で人気があります。

さて、そのガチャポンをもじって、いま「親ガチャ」という言葉が使われます。

ガチャポンは、どのケースが出てくるか、また容器を開けてみないと中身はわかりません。

「子どもは親を選ぶことができない」。転じて生まれた家庭環境でどんな人生かが決まる」という意味で使われています。

家庭や親が貧困だと、子どもは貧困から抜け出せず、子どもも貧困になる。

いわゆる「貧困の連鎖」です。

一般的に学力の高さと家庭環境の豊かさが比例関係にあることは、学校関係者なら知っています。

家庭の経済が貧しければ、子どもの教育への「投資」が少なくなり、習いごとや文化的活動、学習塾に子どもを通わせる余裕がない。

家庭が貧困であるほど、子どもが学校の授業を理解しにくい。将来を展望しにくい。

結果的に学力がつかないという傾向があります。

そうなると、進学にも影響し、いまの日本社会のしくみでは望む仕事に就けない、そして子どもも貧困に陥りがちになるという連鎖です。

今までなら、放課後に学力不振の子に付き添い、補習をする教師がいました。

わたしも高校受験を控えた生徒に放課後の学習会をよくしたものでした。

しかし、いまそれを教師に求め、単発ではない継続的な学習会をするのは難しくなっています。

それほど、学校の教師は多忙をきわめるようになったからです。

授業時間は増え、学習内容も増え、ICT教育やプログラミング学習、英語教育など、社会が学校に求める取り組みは増え続けています。

また今の時代は学校教育に福祉的な視点を取り入れて、スクールソーシャルワーカーが常駐し、困窮家庭を支えて、学校の教師と連携する手立てが必要です。

しかし、日本の教育政策は、教育や子育てへの公的支出は世界的に見ても低くとどまっているという状況です。

教育や子育ては家庭の責任が第一義という態度を貫いてきた国の方針はいまでも変わりません。

今回、国がこども家庭庁を創設するのも、根底には「家庭がしっかりしていないから」という考えがあるように思います。

公的な学校の役割は、だれでもが安心して暮らすことができ、自己の将来の夢を描くことができるようにサポートすることです。

子どもにとって何が大切でしょうか。

それは、学習面でも生活面でも気にしてかかわってくれるおとなの存在です。

おとなの子どもへのかかわりの密度を増やすには、報酬面での財源の確保も大切です。

教育へお金と人をつけない国は衰退の道をたどります。

教育は日本の未来社会への「先行投資」です。







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