キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

草と土と梨の芯

2011-09-21 16:04:39 | アート
             

             人の知ってる草の名は、わたしはちっとも知らないの。

             人の知らない草の名を、わたしはいくつも知ってるの。

             それは私がつけたのよ、すてきな草にはすてきな名を。

             人の知ってる草の名も、どうせだれかがつけたのよ。

             ほんとの名前を知ってるのは、空のお日さまばかりなの。

             だからわたしはよんでるの、わたしばかりでよんでるの。 
             
                            金子みすゞ  「草の名」

             

             母さん知らぬ草の子を、

             なん千万の草の子を、

             土はひとりで育てます。

             草があおあおしげったら、

             土はかくれてしまうのに。

                            金子みすゞ  「土と草」

          

          名もないもの、見えないもの、小さなもの、だれも見向きもしないもの、

          そんなものにだって、尊い命があるんだよと、金子みすゞの詩を読む

          度に思い出します。自分を犠牲にして草を育てても、だれもほめてく

          れない土にまで、愛情を注ぐみすゞさんです。だって、捨てられるだ

          けの「なしのしん」の行く末まで心配しているみすゞさんですから。

                   

            なしのしんはすてるもの、だからしんまで食べる子、けちんぼよ。

            なしのしんはすてるもの、だけどそこらへほうる子、ずるい子よ。

            なしのしんはすてるもの、だからごみばこへ入れる子、おりこうよ。

            そこらへすてたなしのしん、ありがやんやら、ひいてゆく。

            「ずるいこ子ちゃん、ありがとよ。」

            ごみばこへいれたなしのしん、ごみ取りじいさん、取りに来て、

            だまってごろごろひいてゆく。

                           金子みすゞ    「なしのしん」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする