キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

野分

2011-09-22 10:19:09 | 天災
              

         「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀・透垣

         などのみだれたるに、前栽どもいと心くるしげなり。、、、」


       「枕草子」の「野分のまたの日こそ」の最初の部分です。前日の台風で垣根

       は乱れ、木は倒れ、庭の草花はなぎ倒されて大変な荒れようなのに、「野

       分の吹いたあくる日は実にしみじみと興味深い」なんて言ってる。でも、

       今朝のうちの裏庭のこの光景を見たら、清少納言さんも「いと見苦し」とお

       っしゃったでしょうね。台風が来るのが分かっているのに、二階の簾をか

       けたままにしておいたら、ばらばらにちぎれて、お隣の庭にまで飛び散り

       ました。今年はどんどん台風が襲ってきます。我が家のあたりは、昨日ちょ

       っと停電くらいで、たいしたことはなかったのですが、大きな被害が出て

       いるところは大変です。

                

       「野分」こと台風は、神代の昔から毎年毎年秋になるとやってくる厄介者で

       す。大変な被害が出る一方で、昔の人はその荒れる様や、後の乱れた様

       子に風流を感じたようです。俳句の秋の季語にもなっていますね。芭蕉に

       も蕪村にもたくさんの「野分」の句があります。そのうちの一句、

              うつくしや野分の後のとうがらし      与謝蕪村

       雨風に洗われた真っ赤なとうがらしがきれいだったのでしょうね。それにし

       ても、とうがらしとは、意表を突きますね、蕪村さん。
コメント
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