鶴ヶ岡八幡宮のすぐ近く、小町に"宝戒寺”というお寺があります。
こじんまりしたお寺です。鎌倉幕府は高時の時に新田義貞に責められ
一族郎党800人この近くの東勝寺で自刃し、滅びたのだそうです。近くに
「腹切りやぐら」なる痛ましい史跡もあります。そのお陰で鎌倉の街自体
は無傷で次の支配者に受け継がれたとか。ただ、あまりにも哀れに思っ
た後醍醐天皇が、北条一族の菩提を弔うために、足利尊氏に命じて、
北条氏の屋敷後に宝戒寺を建立したのだそうです。その後醍醐天皇も
尊氏の謀反に遭い、逃れた先の吉野で憤死します。諸行無常ですね。
宝戒寺は白萩のお寺として有名です。訪れてみるとほんとうに境内
一面に、あふれんばかりに白萩が咲いていました。
とは言え、小さな地味な花です。もっと色の濃い花や、桜のような華
やかさはありません。でも、何とも言えず密やかな気品があります。
純白の可愛い花です。萩は秋の七草の一つで、しかも白は白秋とい
う言葉もあるように、秋を表す色です。まさに秋の精のような花です。
ピンクの花が混じっている枝もあり、かわいらしい風情です。「萩の月」
という銘菓がありますが、萩をお団子や薄と一緒にお月様にお供えする
風習もあるそうです。でも今年の中秋の名月は大型台風が通り過ぎ、大
荒れになりました。今日の十六夜の月はきっときれいに見えるでしょう。