かさどろぼう | |
Sybil Wettasinghe,猪熊 葉子 | |
徳間書店 |
シビル・ウェッタシンハはスリランカの絵本作家です。17才から働き始め、
絵は独学で学んだそうです。スリランカののどかな村の人々や動物をい
きいきと、ユーモラスに描いた魅力的な絵本をたくさん出している人です。
むかし、あるスリランカの小さな村の人たちは、傘を見たことがありません
でした。ある日初めて町へ行ったキリ・ママおじさんは、いろいろな傘を見
て感心し、一番気に入った模様の傘を1本買って帰りました。ところが、
村のお店でコーヒーを飲んでいる間に、傘がなくなってしまいました。「だ
れかが盗んだに違いない」。キリ・ママおじさん、また町に行って2本目の
傘を買って来ました。でもそれもなくなって、、、。次から次から買ってくる
かさはみんな盗まれました。おじさんは決心しました。犯人を捕まえてやる
ぞ。傘の中に小さい紙切れをいっぱい詰め込みました。やっぱり傘は盗ま
れました。おじさんが地面に落ちた紙切れを辿って行くと、木の枝になくなっ
た傘がきれいに並んでぶらさがっていました。おじさんは、1本だけ残して、
持ち帰り、傘屋を開きました。村人たちは大喜びで傘を買いました。あくる
日、おじさんが1本残した傘はどうなったかと行ってみると、木の枝に開い
た傘がぶらさがり、その中に子ザルが座って、にっこり笑っていました。
きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ) | |
シビル ウェッタシンハ,Sybil Wettasinghe,松岡 享子 | |
福音館書店 |
『かさどろぼう』の子ザルも、この『きつねのホイティ』のきつねも、村の
日常の暮らしに何の違和感もなく溶けこんでいるからでしょうね。遠い
日本でこのお話を読む私の心にもすっと入ってきて、何とも言えず伸びや
かなユーモアを感じさせてくれます。カラフルな絵は、結構渋めの色使い
なのですが、イタリアなどの色とはまた違い、そのアジア的な絵と相まっ
て、非常に良い味を出しています。
ねこのくにのおきゃくさま (世界傑作絵本シリーズ) | |
Sybil Wettasinghe,松岡 享子 | |
福音館書店 |
この『ねこのくにのおきゃくさま』は、働くことも大事だけれど、歌っ
たり、踊ったり、楽しむことも必要なんだよと教えてくれる絵本です。