キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

色のあふれる、なつかしい世界 - スリランカの絵本

2012-10-25 14:51:24 | 絵本
かさどろぼう
Sybil Wettasinghe,猪熊 葉子
徳間書店

        シビル・ウェッタシンハはスリランカの絵本作家です。17才から働き始め、

        絵は独学で学んだそうです。スリランカののどかな村の人々や動物をい

        きいきと、ユーモラスに描いた魅力的な絵本をたくさん出している人です。

        

        むかし、あるスリランカの小さな村の人たちは、傘を見たことがありません

        でした。ある日初めて町へ行ったキリ・ママおじさんは、いろいろな傘を見

        て感心し、一番気に入った模様の傘を1本買って帰りました。ところが、

        村のお店でコーヒーを飲んでいる間に、傘がなくなってしまいました。「だ

        れかが盗んだに違いない」。キリ・ママおじさん、また町に行って2本目の

        傘を買って来ました。でもそれもなくなって、、、。次から次から買ってくる

        かさはみんな盗まれました。おじさんは決心しました。犯人を捕まえてやる

        ぞ。傘の中に小さい紙切れをいっぱい詰め込みました。やっぱり傘は盗ま

        れました。おじさんが地面に落ちた紙切れを辿って行くと、木の枝になくなっ

        た傘がきれいに並んでぶらさがっていました。おじさんは、1本だけ残して、

        持ち帰り、傘屋を開きました。村人たちは大喜びで傘を買いました。あくる

        日、おじさんが1本残した傘はどうなったかと行ってみると、木の枝に開い

        た傘がぶらさがり、その中に子ザルが座って、にっこり笑っていました。

きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ)
シビル ウェッタシンハ,Sybil Wettasinghe,松岡 享子
福音館書店

        『かさどろぼう』の子ザルも、この『きつねのホイティ』のきつねも、村の

        日常の暮らしに何の違和感もなく溶けこんでいるからでしょうね。遠い

        日本でこのお話を読む私の心にもすっと入ってきて、何とも言えず伸びや

        かなユーモアを感じさせてくれます。カラフルな絵は、結構渋めの色使い

        なのですが、イタリアなどの色とはまた違い、そのアジア的な絵と相まっ

        て、非常に良い味を出しています。

ねこのくにのおきゃくさま (世界傑作絵本シリーズ)
Sybil Wettasinghe,松岡 享子
福音館書店

         この『ねこのくにのおきゃくさま』は、働くことも大事だけれど、歌っ

         たり、踊ったり、楽しむことも必要なんだよと教えてくれる絵本です。
コメント
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