関越自動車道の渋川伊香保インターで降りて草津温泉や、四万温泉の方へ
向かうと吾妻渓谷という素晴らしく風光明媚な渓谷があります。殊に紅葉の
季節は言葉を失うほどの美しさです。
数年前に行って、あまりに美しかったので、再度訪れたのですが、
ちょっと早すぎたようです。それでもきれいでしたが。
吾妻川のこの少し上流は、民主党政権時代の仕分けでも有名になった「八ッ場
ダム」の建設予定地です。下の2つが元々かかっていた橋、上の橋がダムのた
めに新しくできた橋です。
渓谷のすぐ横の川原湯温泉はダムができれば完全に水没します。渓谷自体
も部分的に水没するようです。1952年着工で、なんともう60年経っています。
その間猛烈な反対運動があったり、中止になりかけたり、でも結局川原湯
温泉の人たちは補償金をもらって移転して、今ではこのゲートのこちら側で
営業している温泉宿はなく、ゴーストタウン化しています。
新しく高台に共同浴場ができていますが。その時々の政治や人々
の思惑に翻弄されて半世紀。古い名湯の地は消えてしまいました。
この橋の橋脚のかなり上まで水が貯まるそうです。私のふるさと奈良吉野
の大滝ダムは、「西の大滝、東の八ッ場」と称されて、これまた膨大な費用
と年月をかけて作られたあげくに、周辺に地滑りが起こり、ダムなのに水
溜められないという情けない事態になって、巨額を投じたムダなダムなん
て笑われていましたが、今やっと水が溜まってきました。こちらはそんな
ことにならないとは思いますが。未だ完成まで5、6年かかるようです。
この美しい渓谷がなるべく元のままの形で残り、川原湯温泉も
新しい形でよみがえることを願うしかありませんね。