JR大阪駅の改装工事「大阪ステーションシティ」構想の一環として、2011年の春に駅ホームの上空を南北方向の形で覆う橋上駅舎が新しく建設されました。今後JR大阪駅北側の梅田北ヤードの開発が本格的に始まると、大阪駅を南北に通り抜ける人の数が激増することになり、それを見越した処置なのです。
JR大阪駅6番線・京都線普通列車ホームから見上げると「ノースゲートビルディング」の巨大な構造物が目の前にそびえ立っています。そして建物の高層部から駅ホーム全体を覆っている大屋根を見上げることができます。まるでヨーロッパの長距離列車の発着するターミナル駅の中にいる感じです。
大屋根完成後に雨がホーム内に吹き込むことが判明し、ガラス屋根で覆われていますが、ガラス越しでもホーム全体が大屋根で覆われている光景は圧巻です。
橋上駅舎から撮影した大阪駅在来線ホーム。文字通りホーム全体が大屋根に覆われいる感じです。JR大阪駅の北側は阪急梅田駅や建設作業が佳境を迎えている阪急百貨店梅田本店など、駅周辺は西日本一のターミナルとなっています。
2011年(平成23年)4月1日に供用が開始された「新・橋上駅舎」の様子です。天井が非常に高くて開放感が有り、駅ホームに面した壁面は総ガラス張りになっています。梅田北ヤードなど大阪駅北側が発展すれば、この連絡通路も今以上に多くの人たちが行き交うことになると思います。
大阪駅北側に建っているノースゲートビルディングの南側に入居している「JR大阪三越伊勢丹」。伊勢丹といえばJR新宿駅から歩いて10分ほどの場所の新宿三丁目に巨大な本館が建っていますし、三越は日本橋北詰に大正時代に建設された本館と真新しい新館の建物が建っています。東京を代表する二大百科店がコラボを組んで百貨店の本場である大阪に殴り込みをかけている構図となっています。
この百貨店は本来は三越が単独で入居する流れだったのですが、2008年(平成20年)4月に三越と伊勢丹が経営統合します。三越主導で計画が勧められてたはずが、急遽伊勢丹が主導権を握るというどんでん返しとなり、「ファッションの伊勢丹」と「中高年に人気のある三越」の協同開発という形となりました。「大阪ステーションシティ」全面開業となる2011年5月4日に開店しました。
JR大阪駅構内の中で最も人の流れが激しいのは地下鉄御堂筋線・阪急・阪神電鉄とJRが地下連絡通路で結ばれている地下一階です。そこにつながる地下一階のフロアに女子大生など若年女性をターゲットとした“カワイイ”をコンセプトの「イセタンガール」を配置させます。「イセタンガール」は「イセタンメンズ」と同様に、百貨店スタッフがブランド商品の配置を決める「自主編集売り場」であることが特徴です。その結果は売上面では惨敗だったそうです。
一年半前の大阪駅のグランドオープン直後からJR大阪三越伊勢丹の苦戦という報道が続いています。大阪駅・梅田周辺には建て替え工事中の阪急百貨店梅田本店、その阪急と業務提携をしている阪神百貨店、増床工事が実施された大丸梅田店など、新参者である三越伊勢丹にはライバルが多すぎます。
それ以上に三越伊勢丹の経営戦略が間違っていたというのが、大阪に住んでいる方たちの認識だそうです。三越伊勢丹の生命線とも言える「イセタンガール」はこの日に中に入ってみましたが、閑散としていました(平日の昼間)。東京で支持されている伊勢丹流の“カワイイ”は大阪・阪神地域の女性たちには通用しなかったということでしょうか。首都圏に住んでいる緑としては「認めてもらえればいいなぁ」と思っていますが・・・。
駅ビルの北側に入居しているのはファッションビルの「ルクア」です。こちらルクアは三越伊勢丹よりも売上が非常に好調で、いつ来ても多くの人たちで賑わっています。レディス中心の衣料品が中心ですが、メンズのブランドもかなりの割合を占めているので、男性である緑もこのルクアが気に入っています。緑がよく利用する新宿駅東口のマルイとはまた違った魅力があります。
三越伊勢丹とルクアの中間点のエスカレーターに乗って「時空の広場」へ向かいます。
大阪駅の橋上コンコースや橋上通路があるフロアからエスカレーターで時空の広場へ向かうことができます。時空の広場は橋上駅舎の最上階に位置する広場で、発着する列車をジオラマのように見下ろせる幅38メートル・面積3000平方メートルの大広場です。
天気がいいと大屋根の明かり取り用の強化ガラスを通じて日の光が駅ホーム全体に降り注いでくるのですが、この日はあいにく曇り空の天気でした。
時空の広場「金時計前」にやってきました。広場の中は所々にベンチが設置されていたり、オープンカフェがあるので、待ち合わせ場所としても便利です。
JR大阪駅は「梅田」と呼ばれる地域の中にあります。JRは「大阪駅」を名乗っていますが、周辺の阪急・阪神・大阪市営地下鉄は「梅田駅」を名乗っています。大阪駅は基本的に南側が大都会として発展していて、北側は梅田北ヤードの広大な鉄道用地や倉庫街が広がっているだけでした。近年では梅田北ヤードの再開発工事など、北側の発展が注目されています。