波乱万丈 乳がん転移ライフ!

39歳で乳がん ステージⅢ告知。術後1年経たずに肝臓、骨に転移。そこから始まる長い転移ライフ!

瀬尾まいこ著「そして、バトンは渡された」を再読してまた涙~映画公開を機に・・・

2021-11-13 00:01:44 | 感動の出来事(読書)
読書の秋・・・
11月になっても日中は20℃前後の暖かい日が続いていて、秋というよりもこの季節感は春だなと感じていました。

そして、先日いつものコースを散歩していたらツバキの花を見つけました。えっ、ツバキって秋だったっけ・・・?
その話を会社でしたら同じことを思っている人がいて、ツバキは春先なのに勘違いしてもう咲き始めたようです。

植物も春と勘違いする程暖かい秋ですが、映画「そして、バトンは渡された」が2週間前に公開されたのを機に、
「ああ、また読みたい」と、2019年の本屋大賞受賞の瀬尾まいこさんの原作を引っ張り出して読み返しました。

本屋大賞受賞を機に読んだ当時も、涙と共に何とも言えない温かい気持ちになったことを覚えていますが、
今回もやっぱり温かい気持ちに包まれ、もう分かっているのにまた最後のくだりで泣くのを止められませんでした。

「困った。全然不幸ではないのだ。」から始まる物語の主人公は高校2年生のごく普通の女の子・・・
ごく普通でないのはその家庭環境なのですが、映画上映中のためこれ以上詳しくは書けないのが残念・・・

福山雅治主演で是枝裕和監督作品の「そして父になる」にテーマが似ていて「家族の在り方」を問う物語・・・
「そして父になる」は親からの視点で、「そして、バトンは渡された」は子からの視点でそれを描いている。

100人いれば100通りの家族、家庭があると言われるほど、家族の構成や在り方は様々・・・
アッピアに先立たれた我が家は男2人の家族ですが、私の実家は母親、妹、姪っ子の女3人の家族・・・

単身世帯や三世代に渡る大家族、居候や間借り、ホストファミリー、寮やシェアハウスのような共同生活など、
様々な形態の家族があるからこそ、そこに様々な物語がある。そして家族の構成は変化し続ける・・・

実家では当たり前のように4人家族の生活を送り、高校卒業後は一人暮らし、社会人になってからの同棲生活、
アッピアとの結婚生活、息子が生まれてからの3人家族の生活、そして今の生活、そしてこの先は・・・

キャリア形成のための有名な理論に心理学者クランボルツの提唱する「計画的偶発性理論」というのがあります。
ビジネスで成功した人の8割が、その成功のきっかけとなったのが予期せぬ偶然の出来事によるというもの・・・

元々なりたかった職業で夢を叶えている人もいますが、予期せぬ出来事や出会いにより成功した人の方が多い。
とは言えただ待っていても何も起きないし、大事なのは常に選択肢を広げ、偶然の出来事を意図的に作り出すこと。

よくノーベル賞を受賞した人からその発見や思いつきが、失敗したことや偶然がきっかけということが語られます。
興味のあることに向けて学習し行動し続けること、そして準備や努力を怠らないことで偶然の出来事が生まれる。

この物語の主人公も独特の家庭環境にあっても、それを厄介なことや困難なことと捉えず前向きに生きている。
全てはその人の考え方次第なんだけれども、周りがそれを不幸なことにしたがるし、バイアスをかけようとする。

「毎日弁当も夕食も作るなんて偉いね」「大変だね、よくやってるね」・・・アッピアを亡くしてから何度も言われた。
別に偉くも大変でもなく普通に生活しているだけなんだけど・・・と嬉しい気持ちの一方で何度思ったことか・・・

一般的ではない、普通ではないと思うと人は勝手に大変なことだと思いたがる。それは自分自身も含めて・・・
その人が前向きに生きていれば何の問題もなく、もしも困っているのであればそれを察知して手を差し伸べる。

・・・そういうことが大事なんだと、改めて感じた読書の秋でした。

2021年11月12日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村

乳がんランキング
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」~少年の成長から教えられたこと

2020-05-23 00:27:56 | 感動の出来事(読書)
首都圏と北海道以外は緊急事態宣言が解除されましたが、私の住む神奈川は新規感染者数トップを更新中・・・
首都圏は一体で判断されるので、自分たちが足を引っ張っている感じがしてどうも落ち着かない。

来週には解除の方向に向かっているので、出来るだけ早く身も心も少しは開放されて自由になりたいものです。
今回のような事態になって、改めて不自由さが人間を疲れさせること、自粛が人を疲弊させることを実感しました。

ある心理学者の言葉ですが、「人間は生きるための活動だけでは、気分はどんどんすり減っていく」・・・
「人間には必ず遊びや気晴らしが必要」なのだと・・・

気晴らしは人それぞれながら、私にとっては「ライブ、映画、演劇」・・・がそれだったのだと気づかされました。
ステイホームの今の気晴らしは音楽と読書で、ピアノを弾くこと、音楽を聴くこと、本を読むこと・・・

そして、ステイホーム中に読んだ本で強く心に残ったのが、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」・・・
ベストセラーにもなりましたが、ひとりの少年の成長から多くのことを教えられた楽しい本でした。

作者は、洋楽好きが高じて渡英を繰り返しながら、アイルランド人と結婚して英国に住む「ブレイディみかこ」さん

日系企業で働いたり保育士をした後、子育てをしながら現在はライターとして活躍する彼女が、
中学生の息子との学校生活を中心にした日常を描いた、少年と母親の成長物語・・・

見た目は日本人ながら日本語が全く出来ない少年が、英国の中学校で様々な問題にぶち当たりながら、
成長していく姿を描いたものですが、直面する深刻な事柄もさることながら面白いのは全体に流れる軽やかさ・・・

話の随所に出てくるアーティストやバンド名などは、さすがに洋楽好きの彼女らしさですが、
全体の文章にも音楽的な感覚が表れていて、何か軽快でリズミカルな感じを受けて入り込みやすかった。

英国での生活なのに、まるで自分もその場所にいるようにイメージできて絵が浮かんでくるんですよね。

たまたま、裕福な家庭の子供が通う平和な名門のカトリック小学校ですくすくと育った少年が、
地元の多種多様な生徒が存在する中学校に進学してから遭遇する出来事を中心に描かれています。

その学校は、現在の英国の殺伐としたある意味リアルな社会を反映した学校で、これまでは知らなかったような
差別や格差などの様々な出来事にぶち当たり、葛藤し、リアルな社会の現実を学んで成長していきます。

そうした葛藤の日々の中で、本人がノートの端に走り書きした落書きがこの本のタイトルとなっています。

とにかく、登場する友達や、その家族など多種多様で面白く、直面する出来事も多様な社会ならでは・・・
そういった中で、葛藤しながらも自分の考えをしっかりと形成していく少年の成長ぶりが頼もしい。

印象的だったのが、差別的なことを口にする友達に憤慨する少年に母親が行った言葉・・・
「それは無知なんだよ。誰かがそう言っているのを真似しているだけ。知るときが来れば、無知ではなくなる。」

その時は神妙な顔つきで聞いていた彼が、その子を避けずに積極的に関わっていこうとして言ったのが、
「だって無知な人には、知らせなきゃいけないことがたくさんあるんだよね」

その友達は、その後も差別的な言動を繰り返し、学校の仲間からはぶられていじめを受け孤立するようになる。
ある日体調のよくない息子に「きつかったら学校休んだら」と言うと、「僕が休むと彼がひとりになるから」

色々なことにぶち当たり、でもそれを避けずに自分で考えながら、彼は既に一人の人間として成長している。
色々なことを知って、どうするのがいいかを誰よりも本人が一番よく考えていたことに感動させられました。

2020年5月22日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村

乳がんランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「神様のカルテ」第1~第3作を一気に読んで~新作発売に当たり

2019-02-16 22:11:59 | 感動の出来事(読書)
ベストセラーとなった「神様のカルテ」の新作「新章 神様のカルテ」が発売されました。
第1作が発売されてからちょうど10年、第3作の発売から7年となりますが、前3作からの続きの物語となります。

第1作を読んだのはもう随分前で内容もうろ覚えで、第2作と第3作は読んでいなかったため、
新作を読む前にと思い、PCが我が家からいなくなったタイミングで3冊を通しで読み切りました。

現役の医師である著者の夏川草介氏のデビュー作であった第一作目は本屋大賞2位となり、
それ以外にもいくつかの賞を受け映画にもなりましたが、改めて思ったのはとにかく爽快で面白い・・・

結構な分量があり、2週間で3冊を読むのは大変でしたが、読み終わってみるとあっという間でした。

医師が主人公の物語となると「白い巨塔」を筆頭に、シリアスでドロドロした社会的なドラマが多いのですが、
私は病院や企業が舞台のドロドロした人間関係の物語は苦手です。

それに比べて、「神様のカルテ」は救急対応を中心に忙しい医療の現場で様々な事件が起きるのですが、
淡々とした中にも熱くて温かい気持ちを持つ主人公のお陰で、サラ~っと解決していくのが小気味よい・・・

医師である著者により、理想と現実とのギャップに悩みながら成長していく医師の姿がリアルに描かれています。
医師としてではなく人間として患者目線で温かく寄り添う思いが、ベストセラーの所以なんでしょうね。

長野県松本市にある地域の中核病院に勤務する内科医が主人公の物語で、主人公の魅力もさることながら、
医師や看護師の仕事仲間、患者、同じ共同住宅に住む人々など登場人物の個性が豊かで、それぞれが魅力的・・・

また、主人公が呼ぶところの細君もとても魅力的で、これは著者の理想を描いているのかなと想像してしまいます。

因みに、私がアッピアの病気治療で関わることになった医師や看護師もとても魅力的な方々でした。
アッピアのブログに登場する「助さん」「格さん」を筆頭に・・・

「助さん」も「格さん」も本当に有能な医師・看護師でしたが、お二人の掛け合いも含めてユーモアがあり、
私が同席した診察室にはいつも明るい雰囲気が満ちていました。

私が昨年に入院した時もそうでしたが、患者にとって「明るさ」や「安心感」は最大の治療なのだと思います。
この本を読んで、久し振りに「助さん」「格さん」に会いたい気持ちになりました。

ところで、「神様のカルテ」には、1~3以外に「0」も刊行されているのを今回初めて知りました。
主人公の医学生時代のアナザーストーリーのようですが、こちらも大いに気になります。

それにしても、「旧3部作」「アナザーストーリー」「新シリーズ」とは、まるで「スターウォーズ」・・・
多分著者はスターウォーズフリークなのではないかと勝手に想像しています。

話を戻して、第3作では地元密着の中核病院で患者に寄り添いながらの医療を続けて来た主人公が、
このままではだめだと初めて大学病院に移ることを決意して終わります。

新シリーズでは、大学病院と言う大組織の中で主人公が何に直面しどう対応していくのか興味は尽きませんが、
今の私の最大の悩みは「アナザーストーリー」を先に読むか「新作」を先に読むか・・・です。

2019年2月16日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辻村深月著「島はぼくらと」~瀬戸内海に浮かぶ島で唯一の同級生4人の物語

2018-11-02 21:38:20 | 感動の出来事(読書)
☆アッピア夫です。

やっと青空が広がり、カラッとした秋らしい毎日が続いていますね。
明日の文化の日を挟む前後の2週間が「読書週間」・・・と言うことで今回は「読書の秋」の話

今、青春小説にハマっている私は、その後も何冊か読みましたが、
ちょうど今読み終わって爽やかな気分に浸っているのが、辻村深月著「島はぼくらと」・・・

以前コメントで紹介のあった「かがみの孤城」を買おうと、辻村深月さんの作品を物色している内に、
「高校卒業と同時に島を出ることになる男女4人の同級生の物語」と言う設定に惹かれるものがあり、
こちらを先に読み始めました。

「半分、青い。」の主人公の原点である同級生男女4人・・・と重なることにも触発されたかも知れません。

4人それぞれの視点で話が展開するため、感情移入の切り替えがしにくい箇所もあったりするのですが、
全体的には島の穏やかな空気感や風を感じることの出来る爽やかな読後感の青春物語でした。

島には、古くから代々住む人、外から来て住み着いた人、その村をまとめている人、
島の経済を支えている人、島の活性化のサポートをする人・・・実に様々な人がいます。

そう言った島に関わる人々が交差する人間関係に、高校生たちが絡んでいく話の展開が面白く、
最後までワクワクしながら読むことが出来ました。

島で暮らす人々は、本土とはフェリーで繋がっているとは言え、ある意味で独立した場所・・・
お互いに協力して生きていくことが当たり前で、大人も子供も関係なく人間関係がとにかく濃密・・・

そのような「島」と言う独特の場所から、毎日フェリーで本土の高校と行き来する4人が、
それぞれの個性と関係性を持ちながら、色々な人や出来事に接しながら成長していく物語・・・

そして、その島で同級生として一緒に育った4人は、大学に進学すると島を離れることになり、
必ずバラバラとなる別れが来る・・・

思春期特有の別れの感情は当然のことながら、4人だけの同級生となるともう兄弟みたいなもの・・・
その彼らが同級生としてどのような別れ方をするのか、ずっと興味を持って読んでいました。

青春期が随分昔となってしまった私にも、自分の青春時代を思い出す時があります。
半年に1回程度、中学時代に仲の良かった女子(・・・今は立派なおばさん)から電話があります。

話題は他愛なく、同窓会をいつ頃に考えているが参加できそうかや、同級生の話題などですが、
当時は勝ち気だった彼女がすっかり落ち着いた穏やかな口調になっていることに時の流れを感じます。

ずっと地元で暮らす彼女の話す言葉は昔のままで、私もすっかり昔の言葉に戻ります。
田舎言葉で話すからこそ躊躇なく当時に戻れるし、何とも言えないノスタルジックな気持ちが湧いてきます。

自分が子供時代を過ごした場所は、自分にとっては原点である特別な場所・・・
そう言った気持ちを思い起こしながら、私の青春小説巡りはまだまだ続きそうです。

古里を思い出す時、不思議と頭の中では「Stand By Me」が流れます。
そして、今初心者に戻ってギターを練習中の私は、その曲を色々なアレンジで楽しんでいます。

2018年11月2日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「恩田陸の『夜のピクニック』」にハマる~今更ながら青春を感じて・・・

2018-08-17 23:37:11 | 感動の出来事(読書)
☆アッピア夫です。

お盆も終わり、「少しは秋めいて来るのかな~」「秋めいて欲しいな~」と言う季節になって来ました。
夏休みが終わるとすぐに息子の学校の学園祭があり、イベントの秋となります。

息子が小学生までは夏休みにイベント満載だったのですが、成長と共に秋のイベントが多くなりました。

また、この1週間は、「歩行祭」と言う24時間ひたすら歩き続ける高校生の秋のイベントを描いた、
恩田陸さんの小説「夜のピクニック」にドップリと浸かっていたので、余計に秋を待ち遠しく感じています。

去年の暮れに「国際音楽コンクール」と言う独特の世界を描いた「蜜蜂と遠雷」を読んで、
これまで全く縁のなかった世界をリアルに感じさせてくれる恩田陸さんの小説の世界に魅了されました。

「夜のピクニック」は、もう13年も前に本屋大賞を受賞した作品で、去年の「蜜蜂と遠雷」を含めて
2度も本屋大賞を受賞した作家は多分初めてだと思います。

この小説は、ただひたすら話しながら歩き続けるだけなのに、そこに色々なものが盛り込まれていて、
次の展開がどうなるかワクワクして仕方がなかったです。

彼女の小説は、描写が自然で全く違和感がないので、自分も一緒に歩いているような感覚になり、
いつの間にかその世界に入り込んでいました。

「夜のピクニック」は、本屋大賞を受賞した時にアッピアから「これ、いいよ」と勧められた小説でしたが、
結局そのまま本棚に眠っていました。

今年になってそれを見つけてからも、他に読みたい本があって後回しになっていたのですが、
やっと読み始めたらもう止まらなくなりました。

「何でもっと早く読まなかったんだろう」とも思いましたが、それがタイミングなんですよね。

恩田さんは多作でジャンルも様々なので、他のジャンルの小説も是非読みたいと思っているのですが、
たまたま読んだのがいずれも青春小説で、しばらくは「青春小説」にハマる予感がしています。

「青春小説」と言えば、佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」が有名ですが、
私もこの小説を読んだ時には何とも言えない爽やかな感覚になり、思いっきり青春を感じました。

今回も、あの時の感覚が蘇って来た感じで、今はその余韻を楽しんでいます。

「青春」は誰でも持っているものですが、普段は自分の中に大事にしまわれている・・・
それが何かのきっかけで蘇ってくると、色々な感覚が動き始めるような気がします。

息子が今ちょうど青春真っ只中・・・
その息子と接したり話したりしていると、そのきっかけがたくさんあるんですよね。

息子が青春期である間に、自分も刺激をたくさん貰って感覚を呼び覚ましておこうと思います。

「青春のようなキラキラしている大切なもの」
何歳になっても、それが生きる原動力であることに変わりはないかと・・・

2018年8月17日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「藤崎彩織著『ふたご』」~直木賞は逃しましたが「セカオワ」ファンは必読の書

2018-01-20 00:56:09 | 感動の出来事(読書)
☆アッピア夫です。

今回の直木賞の候補作品にノミネートされたセカオワの「Saori」が書いた「ふたご」・・・
残念ながら直木賞は逃しましたが、驚くようなエピソード満載の「セカオワ」ファン必読の書です。

内容は、小説と言うよりも自叙伝・・・
「セカオワ」のキーボード「Saori」とボーカル「Fukase」の二人の関係性と成長過程を中心に、
バンドが独自の世界観を育んでいった過程をリアルに綴ったノンフィクションです。

「Saori」は、友達を作るのが苦手ないじめられっ子で、ピアノだけが友達のような孤独な少女・・・
「Fukase」は、生まれながらに病気を持ち、その影響でハチャメチャな少年時代を過ごします。

そんなはみ出し者同士の二人が、ふとしたきっかけで出会った中学時代から、
まるで双子のように寄り添いながら思春期を過ごし、「バンド」と言うお互いにとっての居場所を作り、
多額の借金を抱えてまで自分たちの「ライブハウス」を創ってしまう。

この作品では、色々なことを感じさせられました。
まず、この作品は「生き方が不器用で不完全な少年・少女の成長物語」であること・・・
ライブハウスに寝泊まりしながら自分たちの音楽を創り上げていく程の「音楽に対するひたむきさ」・・・
そして、そんな危なっかしい彼・彼女らを何も言わずに見守り、共同生活を許せる「親の度量の深さ」・・・

こう言うことがそろって、初めて「セカオワ」と言う独特の世界観が生まれ、
世界に通用するような音楽性が育まれたのだということなんですね。

この「少年・少女の成長物語」を親の立場で読むと、
子供がそれぞれに持つ才能や好奇心の芽を枯らさずに育てるには、
いかに口を出さず手を出さず、必要な時には手をさしのべる用意をしつつ、
黙って成長を見守っていられる度量と忍耐力が試されるのだな・・・と思わされました。

その「Saori」は、現在出産・育児のために活動を休止中で、昨年末に無事に第一子を出産しました。

苦しい少女時代を過ごし、その音楽性を開花させた彼女が今度は親となり、
これから母親としてどのようにバンドと子育てに携わっていくのか興味深く見守りたいと思います。

また、いよいよ2月9日から「平昌オリンピック」が始まりますが、
今回のNHKのテーマソングは「セカオワ」の「サザンカ」と言う曲になります。

作詞は「Saori」と「Fukase」の共作で、歌詞はこの本の内容とイメージが重なります。
ミディアムテンポのセカオワらしい独特の綺麗なメロディで、心に残る素晴らしい楽曲です。

もうすぐNHKでは公式にそのテーマソングも流れることになると思いますが、
セカオワの素晴らしい楽曲と共にオリンピックを存分に楽しみたいと思います。

2018年1月20日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする